2016年01月01日

現状に不満を抱いた人々が扇動に乗ってイスラム国に参入する。戦争の形態が予測できない状態は深刻である。アジアと欧州も、中東の紛争では、様々な対応能力が求められる。

「ジョセブ・ナイ(国際政治学者)著:地球を読む、現代の戦争、読売新聞2015.3.84より」はは面白い。ジョセブ・ナイ氏1937年生まれ。米国務次官補、国防次官補、ハーバード大学ケネディ・スクール学長などを歴任。著書に「ソフト・パワー」「スマート・パワー」などがある。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.スイスで1月に開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、各国の防衛専門家により、今日の軍隊は、どのような戦いに備えるべきか、という究極の課題を議論した。ベトナム戦争が1975年に終結した後、米軍は、ベトナム戦争で培った対ゲリラ戦の知識を封印した。今世紀に入り、イラクとアフガニスタンで手痛い目に遭って、両国における米国の軍事介入は、現代の戦争が抱える難問を突きつけている。
2.へーゲル前米国防長官は、米紙の最近のインタビューで、戦争では、物事が制御できなくなり、漂流し、逸脱する事態が発生し、当初の想定よりも軍事力の使用が前倒しされることがあり得る、と指摘した。中東やその他の紛争が多発する地域を変えられるのは軍事力だけだ、という観念は、危険な推論である。戦争と軍事力の優先度は下がったかもしれないが、消滅したのではない。
3.近代的な戦争の第1世代は、19世紀初頭のナポレオン戦争である。縦隊戦術を取り入れながら兵力を大量集中させる戦い。第2世代は、第1次世界大戦で頂点を極めた大量の火器による攻撃。第3世代が、無人機やサイバ大戦でドイツ軍が完成させた「電撃戦」であり、戦力そのものよりも作戦行動を重視した。正面からの攻撃ではなく、迂回するなどして、敵陣を背後から崩す戦法である。この戦力分散方式を更に一歩進めたのが、第4世代は、明確な前線は存在しない。敵の社会に焦点を当て、敵の領内に深く入り込んで、政治的な意思を破壊する。この分類は、やや恣意的だが、重要な傾向を反映している。軍事的な前線と、銃後の市民の境界がぼやけてきた問題だ。拍車をかけているのが、反乱グループやテロ組織、民兵、犯罪集団などの非国家的な主体が関わる武力紛争が、国家間の戦争に取って代わっていることである。さらに、無人機やサイバー攻撃などの技術によって、兵士は敵の標的から大陸を隔てた場所にとどまることができるようになった。これを第5世代と呼ぶ人もいる。
4.非国家的な主体が、一部で重なり合ったり、時には国家の支援を受けたりしていることが、事態を更に混乱させている。例えば、中南米で最古参のゲリラ・グループ「コロンビア革命軍」は、麻薬密売組織と連携している。アフガニスタンの旧支配勢力「タリバン」の一部は、国際テロ組織「アル・カーイダ」との緊密な関係を発展させている。
5.ウクライナ東部では、親ロシア派の武装集団が、軍の階級章を外したロシア部隊と共に戦った。こうしだ組織は、正統性や能力が欠如し、領土を効果的に統治できない国家に入り込む。そして、政治と軍事を組み合わせた手法で、地元住民を威圧的に支配する。その結果、英国の退役将軍が指摘した「民衆の間の戦争」が生じる。
6.政治と軍事を組み合わせた「混合型」の戦争では、多彩な武器が用いられる。火器だけではなく、普通の携帯電話に搭載されたカメラと、一般的なパソコンに付属する映像編集ソフト。ゾーシャルメディアなど、情報の戦いが、現代の戦争の重要な要素になっている。シリアとウクライナでの戦いが、その実例である。「混合型」の戦争においては、通常と非通常の軍事力、戦闘員と民間人、物理的な破壊と情報操作などが、錯綜する。
7.2006年にイスラエル軍と戦った、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」は、宣伝と通常の軍事戦術と、人口密集地から発射するロケット弾を組み合わせた戦法によって、政治的勝利を獲得した。こうした戦争形態は、ソ連崩壊後、米国の圧倒的に優勢な通常軍事力に対抗して出現した。1991年、ソ連崩壊直前の湾岸戦争で米国は、米兵の死者148人で勝利した。コソボ紛争に対する1999年の軍事介入では、米兵の死者はほぼゼロだった。
8.米国に敵対する国家も非国家的な主体も、共に非通常型の戦術を重視した。中国は、米国のシステムを惑わせ、消耗させるために、電子、外交、サイバー、経済、宣伝などの手段を組み合わせた「超限戦」の戦略を編み出した。テログループの場合は、直接の戦闘で通常の軍隊を負かすことはできないと判断し、国家の持つ力が、かえって自らを弱らせるように仕掛けている。
9.アル・カーイダの指導者だったウサマ・ビンラーディンは、9・11同時テロという劇的な事件によって米国を激怒させた。これに過剰反応した米国の行勤は、米国自身の信頼性を損ない、イスラム圏の同盟諸国を弱体化させた。究極的には米軍を、あるいは米国社会を消耗させた。「イスラム国」も今、同様の戦略を用いている。無慈悲な軍事行動と米国や西側諸国の市民を斬首する様子など、残酷な処刑の写真や動画などを使って、ソーシャルメディアであおっている。
10.これによって、「イスラム国」に敵対する人々が動き出した。一方では、現状に不満を抱いた人々が扇動に乗って「イスラム国」に参入するケースも増えている。戦争の形態が予測できない状態は、深刻な課題を提起している。米国は、アジアと欧州における重要な抑止力であり、通常兵力の維持が必要だが、一方で中東の紛争では、様々な対応能力が求められ、そのバランスが必須である。他の主要諸国も同様である。


yuji5327 at 06:36 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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・謙慎展(現在理事)
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