2016年03月18日
物質的な向上で幸せが得られると勘違いしてきた人がたくさんいる。外面的な快適さを整えても、心の平和を得られない。心の中によい変化がなければ、心の平和は確立できない。
「池上彰著:池上彰と考える、仏教って何ですか?、飛鳥新社、2012年」の「第1章:仏教って何か?」の「仏教を学んだり実践する時間がない日本人」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.チベット人たちは仏教の教えによって、心の平安を得ることができが、現代の多くの日本人は不安にさいなまれ、苦しい思いをしている。日本では仏教が、チベット仏教のように正しい役割を果たしていない。
2.日本の仏教が役に立っていないわけではない。日本の仏教は、インドで生まれた仏教が中国を経由して伝わった正当な教えである。ブッダの教えが詰まった経典、それらの経典について偉大な学者たちが記した解説書が日本にもきちんと伝えられている。
3.仏教の土台となる教えとして「四聖諦」、すなわち「四つの聖なる真理」という教えがある。苦しみが存在するという真理、苦しみには原因が存在するという真理、一切の苦しみを止滅させた境地が存在するという真理、その境地に至ることのできる実践の道が存在するという真理。これが四聖諦と呼ばれている。
4.日本の仏教もチベット仏教と同じく大乗仏教である。菩薩の修行も伝わっているし、密教も伝わっている。大乗仏教の教えが伝わった国であるという意味で、仏教という観点からは、劣った点は何もない。しかし、日本人は時間がなくて、いつも急いでいる。仏教をじっくり学ぶ時間も、実践する時間もないのが欠点である。
5.1日24時間で自分の心を見つめる時間は、チベット人よりずっと少ない。仏教が身近にあっても、その価値に気づいていな。仏教によって、苦しみを遠ざける方法を、リンポチェはブッダが説いた四つの聖なる真理に沿って示してくれた。
6.日本に限らず、物質的な向上で幸せが得られると勘違いしてきた人がたくさんいる。外面的に、快適だと思われる条件をすべて整えたとしても、心の平和を得ることはできない。自分の心の中によい変化をもたらさなければ、心の平和を確立することはできない。
7.苦しみは確かに存在するが、苦しみをなくす方法もある。その方法を実践すれば、苦しみをすべて滅することができると、ブッダは明らかにした。大切なのは菩薩の修行を心がけること。慈悲の精神を育み、利他の精神で、自分自身も幸せを得られる菩薩の修行である。
8.短い時間で急激な変化を期待できない。日々少しずつ積み重ねていくことが大切とリンポチェはすすめた。