2016年07月01日

中国が軍事的なエネルギーを空費することは構わないが、問題は、せっかく空母を造ってしまったからには使わざるを得ない、という発想になる。


「池上彰・佐藤優対談:日本人よ、世界史で武装せよ、文藝春秋SPECIAL、2015、夏」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.戦争が変わるという意味では、ドローン(無人飛行機)の存在は大きい。戦死者を出さないで、戦争が出来る。ドローンは新たな「非対称」を生み出した。アメリカや日本などの先進国が戦争を避ける理由は、人命の価値が高いからである。イスラム原理主義を信奉する武装組織は、「聖戦」という概念で、人命のコストを下げてしまった。戦死しても、殉教して天国に行けるからである。
2.ドローンは究極の「非対称」である。ドローンを駆使する側は、完全に安全な状態で戦争を続けることが出来る。イスラエルなどでは、そうした戦争が現実のものとなった。ゲームばかりやっている若者を集めて、ドローンのコントローラーを渡し、モニターを見ながらターゲットを攻撃する。やられる側にとっては戦争だけど、やる側からするとゲームと変わらない。
3.イスラエルがレバノンを攻撃したとき、本当にヒズボラの拠点だけがピンポイントで攻撃されていて、周りはまったく被害を受けていなかった。無差別爆撃に比べると人道的ということになる。
4.戦場の経済学からすると、敵を殺さない方が効率的である。レーザーで相手の目だけを潰すと。その兵士を戦線から離脱させる分、余計に手間がかかる。非殺傷兵器の研究は進んでいる。対人地雷は基本的には殺すためのものではなく、兵士の足が吹き飛んで苦しむような状態にさせ、周りの兵士が2人がかりで助ける。これで計3人、戦力から外すことができる。そのために、わざわざ威力を弱く調整している。
5.旧日本陸軍がずっと38式歩兵銃を使用し続けた理由も同じである。日露戦争の銃を第2次大戦でも使ったのかというと、物量が足りなかったわけではなく、殺傷能力が非常に弱いので、米軍に負傷者がたくさん出るからである。
6.ドローンは小型の無線誘導ヘリといったイメージだが、将来に、これが戦闘機、爆撃機ぐらいのサイズになると、現在の有人飛行以上に、性能を上げることが可能になる。優秀なパイロットでも人間だから、8G、9Gといった重力加速度が加わると意識を失うが、無人なら無理がきく。
7.ドローンの発展によって兵器の体系も変わる。中国がいくら空母を作っても、日本が強力なドローンを開発すれば1発で沈められる。中国もそれがわかっているはずなのに、空母の建造を止められない理由は、かつての大艦巨砲主義と同じで、航空機の時代になって、空からの攻撃には耐えられない、とわかりながら、大和や武蔵を造ってしまった。
8.中国が軍事的なエネルギーを空費することは構わないが、問題は、せっかく空母を造ってしまったからには使わざるを得ない、という発想になる危険性があることである。大和、武蔵を造ってしまった判断のゆがみと、勝てる見込みのない対米英戦を始めたことと、どこかでつながる。
9.ドローンで大きく変わるのは、誰が判断するかである。従来の戦争では、この相手を撃っていいのか、殺していいのか、兵士が判断しなければならなかった。アラブ人女性と子供のテロリストが出てきたとき、それを撃つべきか、という判断を迫られる。
10.ドローンならば、アメリカ本土で操作している兵士の隣に、CIAの要員がついていて判断を下す。CIAは文官だから、シビリアン・コントロールも徹底される。アメリカのドラマなどを見ていると、アメリカ軍のドローンが乗っ取られたという話が盛んに作られているが、日本はあまりに遅れている。
11.戦場から遠く離れたところで操作できるので、衛星などで中継させ、米本土にいながら、中東のターゲットを攻撃できる。エアコンの効いたオフィスで決められる。日常と戦場の境がなくなり、戦争に対する感覚自体が変容する。


yuji5327 at 06:35 
共通テーマ 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード