2016年07月28日

文明開化や富国強兵という薩長の明治新政府が取った路線は、開国後の幕府外交部門の路線をそっくり頂戴したものである。


「半藤一利、船橋洋一、出ロ治明、渡辺惣樹対談:黒船が来た!日米中衝突の宿命、中国市場を目指して西進する米国、西洋のルールに抵抗する中国、追いつく相手を見失ったとき我を忘れる日本、文藝春秋SPECIAL2015、夏」は面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.幕末の15年間というのは不思議な時間で、日本から見れば外国に征服されるかもしれない、植民地にされるかもしれないという「危機」の時代だったが、米英仏露という列強が互いに争い牽制し合った結果、日本は実際には空白地帯に置かれた。
2.開国して、外からの情報が入ってきて、国内に危機感は高まるけれど、英仏は本命の清とのアロー号戦争の真っ最中だし、ほとんど同時期に、インドでセポイの乱(1857年)が起き、インドシナでもフランスに対する蜂起(1858年)まで起きている。ヨーロッパでもイタリア独立戦争(1859年)が始まり、ついでドイツで独立戦争が始まっている。ポーランドでもロシアに対する反乱(1863年)が起こっているから、とても日本に構っていられなかった。
3.日本にとってはその十五年間の「国家力学上の空白」は非常にありがたかった。極端な穣夷思想から開国へと変わり、幕府にとって代わる主体が育っていった。薩長に時間を与えすぎたので、黒船のような具体的な脅威は薄らぎ、観念的な議論と危機感とが空転して、やみくもな幕府否定が勢いを得て、不要な内紛やテロが横行したのが幕末である。戊辰戦争なんてまったく余計なことだった。
4.あのとき薩長が維新のリーダーシップを握らなかったら、日本はもっと混乱したというが、幕府の役人のほうが薩長の連中よりはるかに勉強していた。事実、明治新政府には、多くの幕臣、いわゆる「賊軍」の藩士が有能な官僚ぶりを発揮している。幕末から明治にかけてのグランドデザインを最初に描いたのは阿部正弘だった。
5.明治維新でそれまでの、国家観とか国防観、価値観がガラッと変わったと考えがちだが、そうではなくて、阿部によってすでに開国、富国強兵の大きな路線が敷かれていた。江川英龍、勝海舟、大久保忠寛、永井尚志、川路聖護などを登用して、講武所や長崎海軍伝習所、洋学所などを創設した。阿部の路線を踏襲したのが大久保利通である。
6.開国を決め1854年の時点で、すでに日本の針路は決まっていた。その後に争われたのは、国内を幕府が統治するか新勢力が統治するかの違いだけだった。もし幕府が続いていたとしても、阿部路線を踏襲すれば、十分やれたし、その方がずっと良かった。
7.「文明開化」や「富国強兵」という薩長の明治新政府が取った路線は、開国後の幕府外交部門が取ろうとした路線をそっくり頂戴しただけのものである。諸侯が各地を支配する幕藩体制ではもうもたなかった。日本に限らず、近代国家の形成をみると、必ず分散的な旧体制を暴力的に潰して、中央集権体制に持っていくプロセスを辿っている。反幕藩体制の運動が発生するのは避けがたかった。
8.市民革命を経なければ近代化はできなかった。内乱としては、戊辰戦争での死者は約8千人だったが、フランス革命や南北戦争などに比べると、はるかに少ない。西南戦争を加えても、非常に小さなコストで近代化できた幸運なケースである。それは、勝海舟がいたからである。
9.江戸の無血開城は勝と西郷隆盛の合作だが、江戸開城に際して、西郷は「万国公法」を非常に意識している。江戸開城の直前に、勝と意を通じたイギリス公使のパークスが西郷を訪ねて、すでに恭順した慶喜たちに苛烈な罰を科せばヨーロッパの世論は新政府に批判的になる、と言う。西郷はびっくりして、そんなことをするつもりはないと否定した上で、「万国公法の上でも、わが方が非難されることはない」と念を押す。
10.「万国公法」とは、もとはアメリカの法律家ヘンリー・ホイートンが書いた本で対外戦争における決まりをまとめた法典である。万国交際の法とも国際公法ともいい、国内戦争にはあてはまると西郷は真剣に考えていた。





yuji5327 at 06:46 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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