2017年04月17日
政治家の場合、親露派とか言われると具合が悪い。ロシアと北朝鮮に本音では取り組み成果を出してほしい。通訳も、識見のあるブレーンがいないとダメだ。
「五木寛之、佐藤優著:
異端の人間学、幻冬舎、2015年」は面白い。「第一部:人間を見よ」「本質をつかめなくなった日本人」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ロシアで感心したのは、賄賂の分配である。税関なんかでいろいろ賄賂のやりとりがあるが、それを絶対独り占めしてはいけない。一度集計して、あとで直接の窓口でない人間も含めて分配する。だから賄賂の思想というか、賄賂のカルチャーというしっかりした伝統がある。
2.ロシアの賄賂のもう一つの特徴は、長期的な貸し借りをしないこと。今日賄賂をもらったら、今日分配してしまう。親方が関係者全員を集めて、「おまえの取り分はこれ、おまえの取り分はこれ、俺は親方だからこれだけ取る」と。みんなのいる前でロシア人は賄賂の分配をする。非公式の贈与だったり分配があるから、ロシアの労働者の平均給与を数字で出しても、実際の生活をまったく反映していない。
3.ソ連共産党中央委員会の高級幹部は専用ホテルを使えるが、一般の庶民は使えないから、給与が同じくらいでも、どの店を使うことができるか、どのレストランに入れるかということで購買力が変わってくる。それが権力である。ロシアの高級レストランでも予約が難しいが、外交官身分証を持っていると、横から入れる。まともに付き合ったら大変なことになる。1食5000キロカロリーぐらい食べる。
4.ロシアの場合、100キロを超えても太ってると言わない。ロシアで「太る」は120キロを超えてからである。ロシアの家庭用のヘルスメーターは120キロまで測れる。120キロを超えると、ヘルスメーターを2台買ってきて片足ずつ乗せて合算する。
5.1991年のソ連崩壊の当時の実態というのは全然伝わってなかったが、いまは当時よりもさらにロシアに対する関心は低い。アメリカに対する情報の量に比べると、あまりにも低すぎる。北方領土問題で騒ぎながら、ロシアの文化とかロシア人に対しての関心が低いというのは、大きな問題である。日本の警察のロシア語力はあまり高くないから、ロシアの情報関係者を追跡していても、何を話しているかを察知することを、最初から諦めている。
6.外交では、ロシア語が自由に読み書きできる人がたくさんいないとまずい。外務省の若い人の通訳は、言ってることが全然わからない。たとえば、小泉純一郎とプーチンの会談なんて、ひどい。小泉さんの話したことを通訳したロシア語を、日本語に再び翻訳すると、「あんたさん、ロシア大統領だと、おいら日本総理やってたな。そんでモスクワ行ったんだけど、あれ雨降る白い雲散らした何か兵器、それいまどうなってる?」もともとは、こういう話である。「わたくしが対独戦勝記念日のときにモスクワに行ったとき、私は総理であなたは大統領でした。あのとき、ずっと天気の日が続いてました。なんでも雨雲を散らすような仕組みがあるという話なんですが、そういった技術はどういうふうに今してるんでしょうか」
7.そんなことで、北方領土の問題なんか語り合えない。2014年に、プーチンの側近といわれているセルゲイ・ナルイシキン下院議長が来日したとき、ぶら下がり取材を受けていて、「北方領土の問題などもプーチンさんは考慮されてるんでしょうか」と尋ねられたとき、「もちろん」と即座に答えた。その辺は全然訳さないで、そういう問題も考えてると思います、とテロップが出てた。まったくニュアンスが違う。
8.政治家の場合、親露派とか言われると具合が悪い。ロシアと北朝鮮に政治家は、本音では取り組み成果を出してほしい。そのために、通訳も含めて、識見のあるブレーンがいなきゃいけない。
9.日本のインテリジェンスの世界は不思議である。アメリカだと、CIA(中央情報局)にハーバード大学の学生のころからスカウトして入れちゃうとか、イギリスだったらケンブリッジとかオックスフォード出た青年が入局するのが、知識人の一つのエリートコースだけど。日本にはそういうイメージがない。文化の違いである。
異端の人間学、幻冬舎、2015年」は面白い。「第一部:人間を見よ」「本質をつかめなくなった日本人」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ロシアで感心したのは、賄賂の分配である。税関なんかでいろいろ賄賂のやりとりがあるが、それを絶対独り占めしてはいけない。一度集計して、あとで直接の窓口でない人間も含めて分配する。だから賄賂の思想というか、賄賂のカルチャーというしっかりした伝統がある。
2.ロシアの賄賂のもう一つの特徴は、長期的な貸し借りをしないこと。今日賄賂をもらったら、今日分配してしまう。親方が関係者全員を集めて、「おまえの取り分はこれ、おまえの取り分はこれ、俺は親方だからこれだけ取る」と。みんなのいる前でロシア人は賄賂の分配をする。非公式の贈与だったり分配があるから、ロシアの労働者の平均給与を数字で出しても、実際の生活をまったく反映していない。
3.ソ連共産党中央委員会の高級幹部は専用ホテルを使えるが、一般の庶民は使えないから、給与が同じくらいでも、どの店を使うことができるか、どのレストランに入れるかということで購買力が変わってくる。それが権力である。ロシアの高級レストランでも予約が難しいが、外交官身分証を持っていると、横から入れる。まともに付き合ったら大変なことになる。1食5000キロカロリーぐらい食べる。
4.ロシアの場合、100キロを超えても太ってると言わない。ロシアで「太る」は120キロを超えてからである。ロシアの家庭用のヘルスメーターは120キロまで測れる。120キロを超えると、ヘルスメーターを2台買ってきて片足ずつ乗せて合算する。
5.1991年のソ連崩壊の当時の実態というのは全然伝わってなかったが、いまは当時よりもさらにロシアに対する関心は低い。アメリカに対する情報の量に比べると、あまりにも低すぎる。北方領土問題で騒ぎながら、ロシアの文化とかロシア人に対しての関心が低いというのは、大きな問題である。日本の警察のロシア語力はあまり高くないから、ロシアの情報関係者を追跡していても、何を話しているかを察知することを、最初から諦めている。
6.外交では、ロシア語が自由に読み書きできる人がたくさんいないとまずい。外務省の若い人の通訳は、言ってることが全然わからない。たとえば、小泉純一郎とプーチンの会談なんて、ひどい。小泉さんの話したことを通訳したロシア語を、日本語に再び翻訳すると、「あんたさん、ロシア大統領だと、おいら日本総理やってたな。そんでモスクワ行ったんだけど、あれ雨降る白い雲散らした何か兵器、それいまどうなってる?」もともとは、こういう話である。「わたくしが対独戦勝記念日のときにモスクワに行ったとき、私は総理であなたは大統領でした。あのとき、ずっと天気の日が続いてました。なんでも雨雲を散らすような仕組みがあるという話なんですが、そういった技術はどういうふうに今してるんでしょうか」
7.そんなことで、北方領土の問題なんか語り合えない。2014年に、プーチンの側近といわれているセルゲイ・ナルイシキン下院議長が来日したとき、ぶら下がり取材を受けていて、「北方領土の問題などもプーチンさんは考慮されてるんでしょうか」と尋ねられたとき、「もちろん」と即座に答えた。その辺は全然訳さないで、そういう問題も考えてると思います、とテロップが出てた。まったくニュアンスが違う。
8.政治家の場合、親露派とか言われると具合が悪い。ロシアと北朝鮮に政治家は、本音では取り組み成果を出してほしい。そのために、通訳も含めて、識見のあるブレーンがいなきゃいけない。
9.日本のインテリジェンスの世界は不思議である。アメリカだと、CIA(中央情報局)にハーバード大学の学生のころからスカウトして入れちゃうとか、イギリスだったらケンブリッジとかオックスフォード出た青年が入局するのが、知識人の一つのエリートコースだけど。日本にはそういうイメージがない。文化の違いである。