2017年05月07日

クトロニクス産業の敗退も、日本の技術が劣っていたためにというよりは、組繊要因である。これは、日本の長期にわたる衰退と関係がある。

「野ロ悠紀雄(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧間)、ソフト化と水平分業がシャープ危機の背後に、
週刊ダイヤモンド2016/04/30、05/07合併号」は参考になる。
1.シヤープは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されることが決まった。シャープが経営危機に陥った原因としてしばしば指摘されるのは、社長人事をめぐる内部抗争である。その結果、経営が迷走した。確かにそれは重要な要因だが、仮に内部抗争がなかったとしても、危機に陥っていた可能性が強い。
2.2000年代の初めごろにシャープが取った経営戦略は、世界のエレクトロニクス産業の変化の潮流に逆行するものだった。その変化とは、ソフトウェアの比重増大と水平分業化である。シャープはそれに適応できなかった。ホンハイは変化を利用して成功した。
ホンハイは、その子会社フォックスコンが急成長することによって成長した。フォックスコンは、EMSと呼ばれ、世界中のさまざまな企業からの委託を受けて電子部品や装置の生産を行っている。特に、アップル製品の組み立てを引き受けたことが大きく、アップルとの水平分業で成長した企業である。
3.両社の関係は、iPodの生産から始まった。それまでソニーが生産していたヒット商品ウォークマンを進化させたものである。アップルはそれまでMacintoshというPC(パソコン)のメーカーで、一部のユーザーからは熱狂的な支持を受けていたが、PC市場全体から見れば、あくまでも一部にとどまっていたが、iPodによって広範な需要を獲得した。アップルはソニーの製品を手本とし、それを進化させ生産方式を変えて成長した。、日本企業がアップル成長の元になった。
4.iPodは競争相手なしに成長したわけではない。ソニーは1999年にメモリースティックウォークマンを発表しているが、これはiPodに敗退したが、幾つかの理由がある。第1に、ソニーは2種類の異なるデジタルウォークマンを発表した。後にもう1つ加わり、3つになった。これらが互いに競合してしまった。第2の理由は、それが単なるハードウェアではなく、背後にiTunesという音楽配信ネットワークが存在していたことであり、ソフトウェアと結合した製品であり、サービスだった。第3の理由は、アップルが、アメリカ国内での生産から、国際水平分業に転換したことである。特に、フォックスコンと緊密な協働体制を取り、生産方式を大きく変えたことである。
5.水半分業は、80年代からPCにおいて行われていた方式である。PCの生産がハードウェアの製造とソフトウェアに分かれたことで、大きく進展した。それを可能にしたのは、インテルによるマイクロプロセッサの発明である。インテルがマイクロプロセッサの開発に成功したことで、CPU(中央演算処理装置)はインテルのプロセッサ、OS(基本ソフト)はマイクロソフトのウィンドウズ、という「ウィンテル体制」が確立した。
6.ここにも日本企業が関わっていた。世界最初の4ビットのマイクロプロセッサ4004の開発過程には、日本計算器販売(後のビジコン)が深く関わっていた。4004は、ビジコンのプログラム制御方式の高級電卓のためのチップとしてインテルと共同開発したもので、ビジコンの社員であった嶋正利氏が開発に参加し、シャープも、間接的ながら関わっていた。
7.80年代においては、日本のメーカーは独自の垂直統合方式によるPC生産を行っていた。国内ではNECの98シリーズに代表されるように大成功を収めたが、ウィンテル体制下で水平分業化が進んだため、衰退した。
8.マイクロプロセッサの発明をきっかけに、日本の半導体産業の衰退も始まった。CPUのようにソフトウェアの比重が高い高度な製品については、インテルに追い付くことができなかった。他方で、信頼度は低くてよいが、安いことが必要であるPC用のDRAMの生産では、サムスン電子などの韓国のメーカーに敗れた。
9.ソニーもシャープも、リーマンショック後の急激な経済の落ち込みの中で傷口を広げた。リーマンショックの影響は世界的なものであり、日本企業だけが受けたものではない。アップルもインテルも、この大変動の中で、破綻しなかっただけでなく、成長した。どちらも、ソフト的なものに特化している。そして水平分業の一員となっている。これこそが、中国が工業化した後の世界において先進国が何をなすべきかに対する答えである。
10.注意すべきは、日本のメーカーも、ソフトウェアの比重増大に対しては、アップルやインテルと同じ方向の対応を試みたが、うまくいかなかった。理由は、水平分業化を行わなかったことである。シャープの亀山工場は、パネルの生産から最終的なテレビの組み立てまでを一貫して行う垂直統合方式を採用した。
11.2004年に亀山第一工場が稼働し、06年に第二工場を立ち上げた。09年には液晶パネル工場として世界最大級の堺工場が稼働した。このような巨額の集中投資を行ったことが失敗だったが、巨額集中そのものが問題なのではない。フォックスコンも、労働者が100万人を超す巨大企業である。アップルもごく少数の製品に集中している。問題は、液晶に集中したことである。それを用いたテレビの生産に垂直統合という方式を採用したことが、技術の動向を見誤った経営判断のミスだった。
12.エレクトロニクス産業に限ったことではない。自動車産業では、自動運転という大きな変化が目前に迫っているが、ここでもソフトウェアの比重が基本的なものになる。この点ではGoogleが大きくリードしている。ソフトウェアの比重増大への対応は、トヨタ自動車がマイクロソフトと共同で研究所を設立したように、日本企業も行おうとしている。しかし、ソフトウェアが重要な構緊成要素になれば、一つの企茉だけで生産を行うことができず、必然的に水平分業化が進む。
13.日本の製造業の企業は、これまでも水平分業化に本格的に対応しなかったが、今も対応しようとしていない。この背後には、日本型の企業一家的体質がある。エレクトロニクス産業の敗退も、日本の技術が劣っていたために生じたというよりは、組繊要因によるところが大きい。そしてこれは、日本の長期にわたる衰退過程と深い関係がある。



yuji5327 at 07:21 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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