2017年06月26日

デジタルテクノロジーでは、場所の制約がなくなる。金融業務を行う企業が大陸にあっても、フィンテックの基礎技術がロンドンで開発されることはあり得る。

「野口悠紀雄著:シティは衰退するか?EU離脱はチャンス?、週刊ダイヤモンド、2016・07・30」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.イギリスのEU離脱による最大の問題の一つは、シティの地盤沈下である。イギリスは1990年代以降、金融業を中心として経済発展を実現してきた。国内総生産(GDP)の約1割が金融業である。
2.ロンドン・シティが地盤沈下すれば、イギリス経済にとって大きな打撃である。シティの地盤沈下がいわれる根拠は、「パスポート協定」である。これは、EU内の1カ国で免許を取得すればEU全域内で金融サービスを提供できる制度だが、これがなくなれば、金融機関はロンドンを離れて他のEU加盟国の都市に移動が可能になる。
3.金融機関は、その前に、営業拠点をフランクフルトなりアムステルダムなりルクセンブルクに移すという見方もある。この機会に金融機関を呼び寄せようと、フランスは、銀行に対して新しい便益供与を発表している。そのため、シティが国際金融センターとしての地位を失うといわれ、日本では、こうした観点の報道がなされている。
4.金融機関がロンドンを離れることはないという見方もある。逆に、イギリスのEU離脱によって、シティの機能がさらに向上するという考えもある。イギリスがユーロに参加しなかったときも、金融機関はロンドンを離れてフランクフルトに移るといわれたが、そうならなかった。
5.シティでは、ユーロやドルなどさまざまな通貨が取り引きされ、外国為替取引高のシェアで世界の約4割を占める地位を維持してきた。今回も同じことになるとの見方である。その理由は、シティが持つ金融業のインフラストラクチャーである。それは、さまざまな専門家のサービス、金融業に対する法制、等々である。シティのインフラストラクチャーは、ニューヨークをしのぎ、世界で最高水準である。これに代わるものを他の都市につくることは、一朝一夕には不可能とされる。
6.金融関係では、このような意見を持つ機関や人が多い。HSBCホールデイングスのダグラス・フリント会長やバークレイズのジヨン・マクファーレン会艮は、「国際的な金融都市であるロンドンには、パリやフランクフルト、ダブリンなどには見られない、大規模な金融システムが確立されている」「何世紀もかけて構築されたシステムを、簡単に他の都市に移すことは無理だ」「離脱は金.融機関に新たなチャンスをもたらす」「ロンドンは世界一魅力的な金.融都市として、今後も君臨し続ける」としている。
7.シティのジエフリー・エバンズ名誉市長は、「ロンドンは世界に類を見ない金.融機関や専門家の集積地で、他の都市に取って代わられるとは考えにくい」「イギリスがEUから離脱しても、シティの優位性は変わらない」と強調し、同氏は日本などアジアを歴訪し、企業関係者や投資家に、イギリスでの投資や事業を継続するよう呼び掛けた。
8.イギリスは、EUへのアクセスを失ったわけではない。新しいパスポート協定は、今後の交渉で決まる。これまで通りの利便性を維持させることは、全金融機関にとって必要なことである。大陸の金融機関もロンドンで営業をしたい。EUが恩恵を一方的にイギリスに与えるのではない。
9.マーティン・ウルフとアンドリュー・ヒルは、6月9日の『フィナンシャルタイムズ』で、イギリスのEU離脱後におけるシティについて、ウルフは、「考えられるいかなる状況下でも、シティは世界の金融センターとして残る」と断言している。そして、「パリやフランクフルトやダブリンがいかに勧誘しても、銀行や従業員はロンドンを離れようとは思わないだろう」と言っている。
10.彼らは、将来のシティの役割として、2つを指摘する。第1は、オフショアセンターとしての機能である。アメリカとアジアの銀行は、ロンドンをハブとして、ヨーロッパ、中東、アフリカでビジネスを展開しているが、これは、パスポート協定があるからである。中国の銀行は、ヨーロッパの拠点としてロンドンを選択した。シティが人民元のオフショアセンターとなるには、中国の銀行がシティに残留することが必要である。
11.未来のシティの第2の役割は、フィンテック(モバイル決済など)や人工知能を駆使する金融業の拠点となることである。この分野でロンドンは、ヨーロッパ最大のハブであり、フィンテックの世界の首都である。技術を持った労働者は、マーケットをけん引する企業が立地するロンドンに住みたいと思っている。
12.デジタルテクノロジーでは、場所の制約がなくなる。金融業務を行う企業が大陸にあっても、フィンテックの基礎技術がロンドンで開発されることはあり得る。1960年代にアメリカが利子平衡税を導入した結果、ユーロ債市場が誕生した。サーベンス・オクスレー法(2002年7月に制定)でアメリカ企業はアメリカを脱出した。イギリスが新しい金.融業への技術開発に励めば、シティはなくならない。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
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(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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