2017年07月10日

マイナス金利導入の目的は、銀行貸出を増加させること。その効果はない。円安誘導の効果もない。マイナス金利撤廃以外に現状を抜け出す方策はない。

「野口悠紀雄著:マイナス金利の撤廃が日本銀行の最重要課題、週刊
ダイヤモンド、2016/09/
03」は説得力がある。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本銀行は、9月に金融政策の見直しをするとし、第1にインフレ目標、第2にマイナス金利、第3に国債購入額を検討している。第1のインフレ目標については、その達成時期を不明確にする可能性がある。必要とされるのは、細部の見直しでなく、インフレターゲットそのものの放棄である。第2のマイナス金利は、現在、適用しているのは日銀当座預金の一部なので、この範囲を鉱大することはあり得る。また、現在はマイナス0.1%である付利のマイナス幅を広げることも考えられる。マイナス金利政策を強化すれば、銀行の収益がさらに悪化する。
2.金融庁は日銀のマイナス金利政策が、3メガ銀行グループの2017年3月期決算で、少なくとも3000億円程度の減益要因になるとの調査結果をまとめた。三菱UFJフィナンシャル・グループでは1550億円、三井住友フィナンシャルグループ(FG)では750億〜760億円、みずほFGでは610億円の減益要因になる。
3.マイナス金利幅の拡大は、銀行の収益を悪化させるだけではない。日銀による国債の購入、あるいは、国債の発行そのものにも影響する。た第2と第3の問題は、密接に関連している。
4.マイナス利回りの国債を購入するのは合理的とはいえない。そもそも国債を保有したくないから、国債ビジネスからの撤退に繋がる。そうなると、国債の発行が困難になり、国債価格が下落する。つまり金.利の上昇につながる。実際、8月には国債入札の不調が懸念された。こうした状況が続くと、円滑な国債発行ができなくなる。国債の発行利回りがマイナスとは、国が国債を発行して利益を得ることを意味するが、そうしたことが円滑に運ぶわけがなく、どこかでブレーキがかかって、そのような資金調達ができなくなる。今後さらにマイナス金利幅を拡大することは難しい。
5.マイナス金利を拡大しないにしても、これから銀行が日銀に国債を売却して日銀当座預金が増えれば、マイナスの付利がなされ、銀行の収益は今より悪化する。従って、銀行が日銀に売却したくないという問題が存在している。当座預金にマイナスの付利がなされることを前提としてこれに対処する方法は、マイナス付利を補填できるだけ高い価格で日銀が国債を買うことである。
6.日銀が償還まで保有した場合に発生する損失がさらに拡大する。高値の購人を続ければ、将来損失が発生する国債が日銀に蓄積されていく。すでに、日銀の資産中で長期国債は75%という大きな比率を占めている。その多くが将来損失を生む不良資産になっているのは重大な問題である。
7.現在の日本は、異常な低金利によって支えられている。仮に金利が高騰すれば、日銀、銀行が保有している国債に巨額の含み損が発生する。また、一般会計予算の国債利払い費が急増する。これらさまざまな問題が一挙に表面化し、日本経済は大混乱に陥る。
8.マイナス金利導入の目的は、銀行貸出を増加させることとされていた。しかし、その効果は明らかでない。また、日銀は円安誘導を狙った可能性もあるが、その効果もない。こうした事情を老えると、マイナス金利撤廃以外に現在の八方ふさがりから抜け出る方策はない。



yuji5327 at 06:34 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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