2017年07月21日

中国では、習近平国家主席と李克強首相の間で、経済政策をめぐる対立が激化している。国有企業保護政策で権力掌握する習主席に対し、李首相のゾンビ企業の淘汰の構造改革である。

「大前研一著:GDPの2.5倍、借金大国中国の危機は日本の好機、週刊ポスト、2016年8月30日」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中国では、習近平国家主席と李克強首相の間で、経済政策をめぐる対立が激化している。国有企業保護政策を維持して権力掌握を進めたい習主席に対し、李首相がゾンビ企業の淘汰など痛みを伴う構造改革を提唱している。
2.景気判断については習主席のほうが正しい。今年6月に中国社会科学院の学部委員で国家金融・発展試験室の理事長を務める李揚氏が「2015年末の時点で、中国の債務残高は約2600兆円で、GDPの249%に達し、うち企業分が156%を占める」と発.表した。発言の趣旨は、中国の債務はコントロール可能な範囲で、債務リスクに対応するための十分な資金があることを理由に「債務危機は存在しない」と強調するものだった。この数字は経済規模が違うとはいえ日本の借金1000兆円の2・6倍の規模である。
3.中国の借金には、大きく4つの要素「国営企業」「民間企業」「地方政府」「国」がある。249%のうち企業分が156%ということは、地方政府と国が残りの100%近くになる。だが、これまで地方政府の富の源泉だった農地を商業地や工業団地に用途変更して利益を得る不動産開発やインフラ整備などの投資プロジェクトはことごとく行き詰まり、地方政府は莫大な借金を抱えて収拾がつかない状況に陥っている。
4.アリババなどのネット通販隆盛の影響で多くのショッピングモールはテナントが入らなくなり、ゴーストタウン化しているため、地方政府が商業地などの開発で儲けるという従来の方法は、もはや機能しない。
5.AIIB(アジアインフラ投資銀行)に気前よく資本金1000億ドルの3割(約3兆円)を出資したが、海外インフラプロジェクトで利益を出すのは至難の業である。中国には海外インフラブロジェクトの運営ノウハウがない。おそらくAIIBのプロジェクトは軒並み失敗するだろう。
6.国営企業も国内経済の急減速によって鉄鋼、セメント、造船、鉄道などが飽和状態で、生産力が完全にダブついている。たとえば、中国には鉄鋼メーカーだけで100社くらいあり、2015年の粗鋼生産量は約8億トンに達し、世界全体の5割を占めている。日本もかつて鉄鋼世界一の時代があったが、その後、通商産業省が国策としてキャパシティの削減に大ナタを振るった。
7.それと同じことを中国はできない。中国の地方自治体の多くは、そこに立地している鉄鋼、造船、セメントなどの企業によって成り立っている。企業をつぶしたら地元の地方自治体も消滅してしまう。もし、それらの地方自治体のうち習近平が任命した首長や書記がいるところだけ生き残ったりしたら、怨嗟の渦で政権そのものがもたない。
8.民間企業の経営者は続々と海外に脱出している。2016年に入ってからの中国企業による海外企業のM&Aは約15兆円に達し、すでに15年通年の約11兆円を上回った。だが、その大半は実は海外逃亡資金であり、M&Aという名目であれば、企業の国際化ということで政府が認めてくれる。だから経営者たちはアメリカの投資銀行などが持ち込んだM&A案件に飛びつき、せっせと資金を海外に持ち出している。
9.かつて日本企業は急激な円高や苛烈な貿易摩擦に直面した時、必死に生産性や付加価値の向上、コスト削減などのイノベーションを重ねて生き残ったが、中国の経営者はすでに国を見捨てて海外に.高飛びしている。中国経済が刻々と破断界に近づいていることは明らかだ。
10.中国政府が人件費を市場に委ねず強制的・人為的に毎年15%ずつ引き上げてきたせいで中国企業の競争力は低下したが、賃下げは人民の反発が怖いからできない。おのずと為替は元安に向かう。変動相場制にしたら一気に元安が進み、現在の1ドル:6・6元が半分の1ドル:13元くらいまで下がる。そうなれば輸出競争力は回復するかもしれないが、経済はハイバーインフレになって人民の生活は困窮する。
11.中国経済が破綻すれば、世界経済は大混乱する。1929年に当時の新興経済大国アメリカのバブル崩壊が引き起こした大恐慌のような状況になるかもしれない。日本は、オーストラリアやブラジルなどの資源国に比べれば対中輸出に依存していないし、元安によって中国から輸入している食料品、電気製品、衣料品などが安くなり、中国に進出している日本企業のコスト競争力も強くなるから、日本にとってはマイナスよりもプラスのほうが大きい。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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