2017年07月30日

西欧列強が自分の領土にしてきた時代、中国は収奪される側だった。その中国が力をつけて覇権を狙う立場になって、失地回復の領土的野心をあらわにしている。

「大前研一著:南シナ海仲裁裁判、敗訴した中国が引き下がらない理由、PRESIDENNT, 2016.10.3」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中国が主張する南シナ海の領有権や行動は国際法に違反するとして、フィリピンが国連海洋法条約に基づいて申し立てていた仲裁手続きの裁定が、7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所で下された。南シナ海の領有権に関して、中国は独自に設定した境界線である「九段線」を主張している。九段線は中国南部の海南島付近から大きく南に下って、マレーシア近海で「牛の舌」のようにU字を描いて北上、フィリピン近海を通って台湾に至る9つの破線で地図上に描かれる(ゆえに「牛舌線」ともいわれる〕。
2.9段線に囲まれた海域は南シナ海のほぼ全域に当たる。人工島を造成するなど中国が急ピッチで軍事拠点化を進める西沙諸島や南沙諸島、フィリピンや台湾と帰属を争っている中沙諸島東部のスカボロー礁も、すべて9段線の内側である。
3.それを根拠に、「我々には歴史的権利がある」と中国は海洋進出の正当性を主張してきた。今回、国際的な仲裁法廷が示した判断は「9段線に法的根拠なし」。中国が9段線の内側で主張する主権や管轄権、歴史的権利に国際法上の根拠はない、と断じた。中国は「仲裁裁判所に管轄権はない」として審理に参加してこなかったし、裁定が出ても無視する意向を示してきた。全面敗訴に等しい裁定に中国は「南シナ海の領土主権と海洋権益に関する声明」を発表し、「仲裁法廷の判決は無効で拘束力はなく、受け入れられない」と反発した。
4.「南シナ海は中国の領海ではなく公海である」として「航行の自由」を主張するアメリカにとっては追い風の判決で、これを受け入れるように中国に求めている。またフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど南シナ海の領有を中国と争う国が揃っているASEAN(東南アジア諸国連合〕では、中国と領有権問題を抱える国とカンボジアなど中国の影響力が濃い国との間で意見が対立、一枚岩で中国に圧力をかけられる状況にはなっていない。
5.国際法廷の判決には法的拘束力がある。中国もフィリピンも国連海洋法条約に批准していて、同条約に基づいて行われた仲裁判の判決を遵守する国際法上の義務を負っている。しかし国際法廷は判決を強制執行する権限がない。判決を遵守するように国際社会が圧力をかけるしかないのだが、中国は中国で「判決に従う必要はない」という自らの立場を支持する国を増や多数派工作を行っている。
6.国際法廷が判断を下したからといって、中国は簡単には引き下がらない。それが国際法の現実である。アメリカはいまだに国連海洋法条約を批准していない。「2000年前から9段線の内側は我々のものだ」と中国は主張するが、歴史的権利の根拠とする9段線は、中華民国時代の1947年に領海を示すために作成された地図をベースに、中華人民共和国になった53年に書き直したものにすぎない。
7.中国の版図は時代によって大きく変わってきた。9段線の付け根にある海南島は、2000年前は「越」と呼ばれる国の一部で、漢民族が支配する土地ではなかった。遠く中近東にまで広がった元の全盛期を除けば、現在の中国共産党の版図が一番広い。毛沢東時代に相当に版図を広げたが、急速な経済成長とともに今また中国は拡張期にある。彼らが国力にモノをいわせて版図を押し広げようとしているのは、境界線がほぼ固定化された陸地ではなく、太平洋やインド洋につながる「海洋の国土」である。
8.覇権国家には版図拡大の野心を剥き出しにする時期がある。大航海時代のスペインやポルトガルは大西洋の島々や中南米を植民地化した。その後、7つの海を支配したのがイギリスで、世界の至るところにイギリス領は残っている。イベリア半島の南端、スペインと地続きのジブラルタルや、アルゼンチン沖合のフォークランド諸島は、今なおイギリス領である。
9.ドイツは第1次世界大戦に負けて日本が委任統治するまでパラオを支配していた。ニューカレドニアは今でもフランス領。アメリカはスペインを追い出して中南米の国々やフィリピンを実質的に植民地化していた。カリブ海に浮ぶプエルトリコがアメリカの準州扱いなのはその名残である。
10.西欧列強がツバをつけた土地を自分の領土にしてきた時代、中国は収奪される側だった。その中国がようやく力をつけて覇権を狙う立場になって、失地回復すべく領土的野心をあらわにしている。中国からすれば「西欧列強にやられたこと」をやりかえしているにすぎない。歴史的権利を主張する九段線に法的根拠がないことぐらい百も承知。しかし欧米列強だって歴史的権利のない飛び地のような領土を今でも持っている。「オレのものだ」と2000年も言い張れば自分の領土になる.と中国は思っている。


yuji5327 at 06:39 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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