2017年08月14日

フラッシュメモリーはHDDより高価なのが難点だったが、技術革新で、価格の高さを補う大容量・省電力化に成功した。

「種市房子、花谷美枝(編集部)著:世界中のハードディスクがフラッシュメモリーに置き換わる、
エコノミスト、2016.10.25」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.米国のフィラデルフイア半導体株指数〔SOX指数)は過去10年間で最高値水準の800ポイント超で推移している。東京市場でも半導体関連株ばかりが上がっている。半導体産業で今、注目を集めるのは、世界中でコンピューターサーパーの証憶装置が、ハードディスクドライブ〔HDD〕から、NANDフラッシユメモーリーに置き換わっていることである。新しいメモリー市場である。
2.ゲームはネット接続が主流になり、動画や音楽の配信サービスや竃子商取引が日常的になり、情報を保存サーバーの需要は今後、爆発.的に増える。年聞に生成されるデータ量は現在、世界で推計8ゼタバイト(ゼタは10の21乗〕とされるが、2020年までに40ゼタバイトに膨れ上がると予想される。このデータ量やサーバーのフラッシュメモリー採用状況から、20年にはフラッシュメモリーの工場が新たに200棟必要になる。製造技術の改善で歩留まりを高めたり、データの圧縮などで、実際にはそれだけの工場を建てなくても済む。
3.データセンターに置くサーバーはこれまでHDDが主流だった。ディスクを高速回転させてデータを書き込んだり読み込む仕組みで、低価格が売り物だった。回転させるモーターの電気代がかかること、モーター回転で発生する熱もサーバーの動作に悪影響を与えていた。
4.フラッシュメモリーはHDDより読み書きのスピードが速い。モーター駆動は不要で熱も発生しないが、価格が高いのが難点だった。情報量1ビット当たりの単価では、NANDはHDDより7〜8倍高く、データセンターも初期投資を躊躇していた。最近、フラッシユメモリーは技術革新によって、価格の高さを補う大容量・省電力化に成功した。
5.それを可能にしたのが、三次元NAND技術である。これまでは大容量化の技術競争は、1層の基板の上にいかに細かい線幅で回路を描くかという「微細化」が主戦場だった。線幅の微細化は10ナノメートル幅前後で限界に近づいた。線幅が小さくなり、隣り合うセルが近すぎると、電子が干渉し合う。最近3年の技術競争は、基板を重ねて回路を増やす「積層化」に移った。1次元NANDは、電子干渉で起きる動作エラーを修正するために竃力を消費していたが、3次元NANDは上にスペースを確保できた分、線幅に余裕を持った設計にできる。この結果、電子干渉対策の電力が不要になったので、3次元NANDは低消費電力で、電力コスト削減も含めたトーダルコストで見れば、3次元NANDがHDDを追い抜く段階に来た。
6.今や、データセンターの新設に当たっては、3次元NANDのサーバーの注文が相次いでいる。この波に乗り、世界のメモリー半導体メーカーは今年に入って大型の設備投資に踏み切り、インテルとサムスン電予は中国で.3次元NAND工場を立ち上げ、増力中である。。米マイクロンは9月、シンガポールの工場に3次元NAND用ラインを増設した。束芝も四日市工場に3次元NANDラインを増設した。さらに、中国勢の設備投資も活発である。
7.メーカーの設備投資の恩恵にあずかっているのが、半導体装置メーカーである。積層化は、セルの材料を積み重.ねて、電子を通す電極を埋め込むので、数10層に積み重.ねた材料に一気に員通孔を開ける。この「積層」「穴開け」「電極埋め込み」には、徴細化とは別の特殊技術が必要である。米アプライドマテリアルズや東京エレクトロンなどは、これらの技術に長けており、装置メーカーの株価は今年半ばから高値圏で推移している。
8.半導体市場の成長分野は、メモリーだけではない。自動運転、AI(人工知能)囲発、あらゆるものがネットにつながるIoT〔モノのインターネット〕時代に向けて、制御用や演算用の半導体市場にも期待が集まる。こうした成長を見越して、足元では大規模なM&Aが加速している。10月初旬、米紙は、スマホ向け通信情報処理チップ大手クアルコムが、マイコン世界2位のNXPセミコンダクターズの買収を検討していると報じた。買収規模は3兆円。9.買われる側のNXPは当時のマイコン世界4位・フリースケール・セミコンダクタを約2兆円で買収したばかりだった。こうした規模の利益を出すためのM&Aは半導体業界で繰り返されてきた。
10.他業界から半導体へ進出するためのM&Aも活発化している。ソフトバンクグループが英ARMを買収した。HDD事業を柱とする米ウエスタンデジタルも今年、メモリー大手のサンディスクを買収した。市場は、大型M&Aのうわさ話が絶えない。買収対象候補の株価は、買収する側が、時価より高い株価で買い付けるケースが多い。それを見越して、機閏投資家が先回りして株を買う。
11.半導体全体では、需要予想は弱い。2016年の世界半導体売上高はマイナス成長である。今はは完全にバブルである。フラッシュメモリーはしばらくは好調だろうが、2020年までには供給過剰になる。半道体バブル崩壊への足音にも耳を澄ます必要がある。




yuji5327 at 07:15 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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