2017年08月16日

「人はインセンティブに反応する」という考え方は経済学の基本原理で、インセンティブは、期待というアメと、恐れというムチを与える。契約はインセンティブを設計する仕組みである。

「伊藤秀史(一橋大学大学院商学研究科教授)著:2氏にノーベル経済学賞、契約理論確立に貢献、雇用や投資にも応用可、
エコノミスト、2016.10.25」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.スウェーデンモ立科学アカデミーは10月10日、2016年のノーベル経済学賞を、英国出身で米ハーバード大学のオリバー・ハート教授(68)と、フィンランド出身で米マサチューセッツ工科大学のベント・ホルムストローム教授(67)に授与すると発表した。受賞理由は、企業の組織運営や組織間取引などを円滑にするための仕組みを研究する「契約理論」と呼ばれる分析枠組みを確立したことである。
2.「契約理論」は、法学との関連も深い経済学の分野で、現代の経済学の標準的な理論の一つである。契約理論を説明する時、「インセンティブ設計の理論」と言い換える。「人はインセンティブに反応する」という考え方は経済学の基本原理の一つで、インセンティブは「期待というアメと、恐れというムチを与えて、人を行動へ誘うもの」で、契約はインセンティブを設計するための有力な仕組みである。
3.契約理論の「契約」は、締結の際、文書に記名・押印するような狭義の契約に限定されない。「契約」とは呼びがたい制度も、インセンティブ設計のための仕組みであれば契約理論の分析対象である。
4.会社と従業員の雇用関係の分析は、契約理論の重要な応用分野である。成果主義や業績連動報酬制度の功罪は、契約理論によって理解できる。株主や他の利害関係者による経営者報酬の設計、保険会社による保険契約の設計.銀行やベンチャーキャピタルによる投資なども契約理論の応用範囲である。教育や医療の分野へも応用されている。
5.継続的な雇用関係や会社間の取引関係でも、将来どのような事態が起こり、当事者がどのような義務を負うかを明記することは難しい。その事態が発生してから決定されることになるが、雇用関係ならば従業員の許容範囲内で雇用主が一定の指揮命令権を持つ。会社間の取引関係では事後的な交渉になることが多いが、どちらが取引関係において重要な資産を所有しているかが、交渉結果に影響を与える。
6.決定権限の配分や会社間の資産所有もインセンティブ設計の仕組みであり、契約理論の分析対象である。会社組織を集権化するか分権化するか、他社の事業を買収して統合するかアウトソーシングするか、公営事業を民営化するかを、契約理論で分析される。
7.ハードの会社が相乗効果が期待できないソフトの会社を吸収合併して一事業部にすると、ソフト会社の経営者は資産を手放し、決定権も小さくなるのでモチベーションが下がる。相乗効果がないため、ハードの会社のインセンティブ向上も限定的で、独立の会社だった時よりも業績が低下してしまう。
8.ハート氏は決定権限や資産所有の配分、ホルムストローム氏は報酬制度の効果を分析するための枠組みを考案した功績が評価された。彼らの理論は数学的で抽象的なものだが、現実を理解しようとする動機に基づいた理論である。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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