2017年08月26日
FBIがマナフォート元選対会長の自宅を家宅捜索した。旧ソ連諸国関係者から多額の金銭を取り、見返りに便宜を図っていた。
2017/8/25付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点」は「米スティーブ・バノン氏/米トランプ政権/ロシアゲート問題」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米ホワイトハウスは18日、トランプ米大統領の最側近であるバノン首席戦略官・上級顧問が同日付で退任すると発表した。バノン氏は米国第一主義を主張し、昨年の米大統領選当選の立役者だったが、政権内の穏健派と相容れず、またトランプ氏の家族との意見対立もあり解任を求める声が強まっていた。
2.おそらく多くの米国人が喜んでいる。バノン氏の役割は選挙期間中、極めて重要だった。白人至上主義だけでなく、ほとんどの政策を牛耳っていたと言っても過言ではない。しかし他のアドバイザーや共和党との折り合いが悪い上、ここにきてトランプ氏との間にも決定的な軋轢が生じた。
3.バノン氏がテレビで北朝鮮問題を軽視した発言をしたためである。本当の問題は中国であり、将来中国が脅威にならないように今抑え込まないでどうするのか、という持論を展開した。
4.北朝鮮問題に取り組んでいるトランプ大統領からすると、これは自分を馬鹿にしたのと同じだと捉えたと思われる。トランプ大統領の娘婿のジャレッドクシュナー氏とも馬が合わないし、クビにせざるを得ない状況だった。
5.朝日新聞デジタルの記事の中に、「ホワイトハウスを去る高官らとバノン氏を巡る構図」
が示されていたが、プリーバス氏、バノン氏、スパイサー氏、フリン氏はすでに去り、ペンス氏とトランプ大統領本人しか残されていない。
6.現在の状況であれば、ペンス氏とティラーソン氏が頑張ってトランプ大統領の解任動議を出すとクーデターが可能である。このシナリオの方が弾劾よりも実現しやすい。上院、下院の3分の2の賛成で可能だから、もう少しである。
7.ニューズウィーク誌の表紙には大きくトランプ大統領が掲載され、「LAZY BOY」とタイトルがつけられていた。重要法案を通した数はゼロで、6ヶ月経過してゴルフ場で過ごした日数が40日だと指摘されている。オバマ大統領のゴルフ場通いを批判していたので、トランプ大統領は米国をどうしようとしているのかまったく見えない。
8.現在のトランプ政権の混乱ぶりと、今後の見通しについて、エコノミストは8日「新首席補佐官と規律なきトランプ米政権」と題する記事を掲載している。先月31日に米ホワイトハウス広報部長を解任されたスカラムチ氏の在任期間は10日で、それ以降も高官の辞任は続き混乱を極めていると指摘している。先月28日にはトランプ米大統領がプリーバス首席補佐官を更迭し、後任に海兵隊大将も務めた退役軍人のケリー国土安全保障長官を据えているが、ケリー氏に政権立て直しを期待する人々が最も警戒するのは、人の助言を聞かないトランプ氏そのものであり、トランプ氏の政治的、戦略的、道徳的な素質に疑問符が付くと述べている。
9.共和党もこれでは中間選挙は戦えないと判断し、今後は態度を変えてくることが予想される。今はその転換点にある。トランプ大統領は、もうすぐ、その半年を迎えようとしている。
10.米紙ワシントン・ポストは9日、米連邦捜査局(FBI)が7月にマナフォート元選対会長の自宅を家宅捜索していたと報じた。マナフォート氏は旧ソ連諸国関係者から多額の金銭を受け取り、見返りに便宜を図っていた疑惑があり、昨年6月にはロシア人弁護士らと面会し、ロシアの米国大統領選への介入に共謀した疑惑も浮上している。
11.今月末に発売されるベルダ誌で大前氏が寄稿したのも、この問題だった。プーチン大統領は世界一のお金持ちで、その資産は20兆円に達すると言われている。しかし、この資産の身動きが取れなくなる事態が発生した。オバマ前大統領が2012年、ロシアの人権侵害を理由にロシアの政府幹部の資産凍結を決定したマニッキー法を通したためである。この資産凍結を解くために、プーチン大統領は約2万人のエージェントを主として米国にばらまき、各州の議員に個別に接触し法改正を働きかけたと言われている。
12.トランプジュニアと娘婿のジャレッドクシュナー氏が昨年6月に会ったと言われているベセルニツカヤ弁護士とロビイストのアクメチン氏はマニッキー法撤回を求める中心人物である。
13.今回モスクワに呼び戻されたキスリャク駐米ロシア大使なども、プーチン氏のために尽力していた人物の1人だと言われている。マニッキー法を共和党に変えてもらうために派遣された2万人のエージェントにトランプ陣営が引っかかった。おそらく、今後のロシアコネクションの調査でそのつながりが明らかになってくる。
1.米ホワイトハウスは18日、トランプ米大統領の最側近であるバノン首席戦略官・上級顧問が同日付で退任すると発表した。バノン氏は米国第一主義を主張し、昨年の米大統領選当選の立役者だったが、政権内の穏健派と相容れず、またトランプ氏の家族との意見対立もあり解任を求める声が強まっていた。
2.おそらく多くの米国人が喜んでいる。バノン氏の役割は選挙期間中、極めて重要だった。白人至上主義だけでなく、ほとんどの政策を牛耳っていたと言っても過言ではない。しかし他のアドバイザーや共和党との折り合いが悪い上、ここにきてトランプ氏との間にも決定的な軋轢が生じた。
3.バノン氏がテレビで北朝鮮問題を軽視した発言をしたためである。本当の問題は中国であり、将来中国が脅威にならないように今抑え込まないでどうするのか、という持論を展開した。
4.北朝鮮問題に取り組んでいるトランプ大統領からすると、これは自分を馬鹿にしたのと同じだと捉えたと思われる。トランプ大統領の娘婿のジャレッドクシュナー氏とも馬が合わないし、クビにせざるを得ない状況だった。
5.朝日新聞デジタルの記事の中に、「ホワイトハウスを去る高官らとバノン氏を巡る構図」
が示されていたが、プリーバス氏、バノン氏、スパイサー氏、フリン氏はすでに去り、ペンス氏とトランプ大統領本人しか残されていない。
6.現在の状況であれば、ペンス氏とティラーソン氏が頑張ってトランプ大統領の解任動議を出すとクーデターが可能である。このシナリオの方が弾劾よりも実現しやすい。上院、下院の3分の2の賛成で可能だから、もう少しである。
7.ニューズウィーク誌の表紙には大きくトランプ大統領が掲載され、「LAZY BOY」とタイトルがつけられていた。重要法案を通した数はゼロで、6ヶ月経過してゴルフ場で過ごした日数が40日だと指摘されている。オバマ大統領のゴルフ場通いを批判していたので、トランプ大統領は米国をどうしようとしているのかまったく見えない。
8.現在のトランプ政権の混乱ぶりと、今後の見通しについて、エコノミストは8日「新首席補佐官と規律なきトランプ米政権」と題する記事を掲載している。先月31日に米ホワイトハウス広報部長を解任されたスカラムチ氏の在任期間は10日で、それ以降も高官の辞任は続き混乱を極めていると指摘している。先月28日にはトランプ米大統領がプリーバス首席補佐官を更迭し、後任に海兵隊大将も務めた退役軍人のケリー国土安全保障長官を据えているが、ケリー氏に政権立て直しを期待する人々が最も警戒するのは、人の助言を聞かないトランプ氏そのものであり、トランプ氏の政治的、戦略的、道徳的な素質に疑問符が付くと述べている。
9.共和党もこれでは中間選挙は戦えないと判断し、今後は態度を変えてくることが予想される。今はその転換点にある。トランプ大統領は、もうすぐ、その半年を迎えようとしている。
10.米紙ワシントン・ポストは9日、米連邦捜査局(FBI)が7月にマナフォート元選対会長の自宅を家宅捜索していたと報じた。マナフォート氏は旧ソ連諸国関係者から多額の金銭を受け取り、見返りに便宜を図っていた疑惑があり、昨年6月にはロシア人弁護士らと面会し、ロシアの米国大統領選への介入に共謀した疑惑も浮上している。
11.今月末に発売されるベルダ誌で大前氏が寄稿したのも、この問題だった。プーチン大統領は世界一のお金持ちで、その資産は20兆円に達すると言われている。しかし、この資産の身動きが取れなくなる事態が発生した。オバマ前大統領が2012年、ロシアの人権侵害を理由にロシアの政府幹部の資産凍結を決定したマニッキー法を通したためである。この資産凍結を解くために、プーチン大統領は約2万人のエージェントを主として米国にばらまき、各州の議員に個別に接触し法改正を働きかけたと言われている。
12.トランプジュニアと娘婿のジャレッドクシュナー氏が昨年6月に会ったと言われているベセルニツカヤ弁護士とロビイストのアクメチン氏はマニッキー法撤回を求める中心人物である。
13.今回モスクワに呼び戻されたキスリャク駐米ロシア大使なども、プーチン氏のために尽力していた人物の1人だと言われている。マニッキー法を共和党に変えてもらうために派遣された2万人のエージェントにトランプ陣営が引っかかった。おそらく、今後のロシアコネクションの調査でそのつながりが明らかになってくる。