2017年09月05日

70%という地震発生確率には最近3回の地震、すなわち1707年宝永地震、1854年安政東海・南海地震、1944年昭和東南海・1946年昭和南海地震の繰り返ししか用いていない。

「鷺谷威著:南海トラフ地震:その実態と予測に関する諸問題、學士會会報No921(2016-VI)」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.地震国日本において、次の大地震として注目されているのが南海トラフで発生する大地震(以下、南海トラフ地震)である。地震規模はマグニチュード(M)9.0になり、西日本の広範囲が震度7の揺れに見舞われ、高さ20〜30mもの津波が沿岸部を襲う。最悪のケースでは死者が30万人を超える。南海トラフ地震の発生確率は、今後30年間で約70%と見積っている。
2.南海トラフは駿河湾から紀伊半島、四国沖へと700卍度続いており、フィリピン海プレートが西日本の下へ沈み込む入り口となっている。南海トラフにおける地震発生の履歴は、世界でも他に類を見ないほどよく分かっている。これは、地震や津波について書かれた古文書が日本では豊富に残っているためである。
3.1944年昭和東南海地震(M8.1)の2年後に1946年昭和南海地震(M8.3)が発生し、1854年には安政東海地震(M8.4)と安政南海地震(M8.4)が約32時間の差で発生した。1707年宝永地震(M8.6)では、南海トラフの全域が1つの地震で破壊した。昭和東南海地震では、南海トラフ東端部のプレート境界が破壊しておらず、ここで近い将来地震が起きる可能性があるとして提唱されたのがいわゆる「東海地震」説であった。
4.この説が提唱されてから40年が経過したが予想された地震はまだ発生しておらず、近年では、次の南海トラフ地震の時に東海地域のプレート境界も破壊するという考え方が主流になりつつある。南海トラフ地震が発生する間隔は必ずしも一定ではなく、90年から250年程度の範囲でばらついている。全部の記録で平均を取ると平均間隔は180年程度であるが、最近の3、4回の平均間隔は約120年である。
5.1605年の慶長地震が南海トラフではなく伊豆-小笠原海溝で発生したという説も提唱されている。この説が正しければ1707年宝永地震の前にも200年以上の空白期間が生じることになり、南海トラフ地震の発生間隔は従来考えられていたよりも長い可能性がある。
6.次の南海トラフ地震がどの程度の規模になるかも気になる点である。過去の地震による揺れや津波の分布は毎回異なる様子を示しており、地震の規模や起こり方は多様性に富んでいる。過去の地震の中では1707年宝永地震が南海トラフ全域を破壊した最大級の地震と考えられてきた。高知大学の岡村眞らは、2千年前にも南海トラフ沿岸部に宝永地震に匹敵する巨大津波が押し寄せた痕跡があると報告している。南海トラフの地震は、その発生間隔においても地震規模においても多様性があり、次の地震がいつ、どれくらいの規模で起きるかを予測することは困難である。
7.大地震の発生時期や規模の予測は困難でも、同じ場所で繰り返し発生する地震について、繰り返し間隔の平均値とばらつき、および最後に地震が発生した時期が分かれば、確率モデルを適用して次の地震の発生確率を評価できる。政府の地震調査研究推進本部では、こうした方法を用いて大地震の発生確率を評価しており、今後30年間に南海トラフ地震の発生する確率を70%程度と評価している。この確率値は、日本列島周辺で発生するM8級の地震の中では最大であり、21世紀の前半には次の地震が起こる可能性が高く、次に我々が備えるべきは南海トラフ地震だと多くの人が思う。
8.南海トラフ地震の発生履歴は良く知られているが、分かっている繰り返し回数は10回に満たず、そもそも信頼性の高い確率を計算できる条件が揃っていない。実際には、70%という地震発生確率の計算には最近3回の地震、すなわち1707年宝永地震、1854年安政東海・南海地震、1944年昭和東南海・1946年昭和南海地震の繰り返ししか用いていない。そのため、発生間隔のばらつきを過小評価してい。
9.南海トラフ地震の繰り返し間隔の評価には「時間予測モデル」を用いている。「時間予測モデル」は、地震の繰り返し発生に関するモデルの一つで、大きい地震が起きた時は地震で解放されたエネルギーを再度蓄えるまでに時間がかかるため次の地震までの発生間隔が長くなり、小さめの地震が起きた後は短い間隔で次の地震が起きる、というものである。10.1707年以降の3回の地震については、このモデルが良く当てはまるので、確率評価に採用された。1944年昭和東南海地震と1946年昭和南海地震は、過去の南海トラフ地震の中で最も規模が小さかったため、時問予測モデルの適用により次の地震までの発生間隔は88.2年とされているが、これは現在知られている南海トラフ地震のどの発生間隔よりも短い。時間予測モデルを採用せずに、過去の地震の平均的な発生間隔を用いて確率を計算すると、30年間の発生確率は6〜30%程度にしかならない。
11.現在公表されている地震の発生確率は、使用しているデータ数が少なく、採用したモデルに強く依存しており、信頼性の高い値とは言えないが、南海トラフ地震が将来発生することは間違いなく、日本社会に重大な影響を与える。問題は、30年間で70%という高い確率値が公表されることで、南海トラフ地震にだけ注意が集中し、次に起きる大地震が南海トラフ地震だと勘違いされてしまうことである。
12.過去に、1970年代に東海地震の危険が指摘された後、次に起きるのは東海地震と多くの人が考え、関西では地震が起きないという誤った神話も生まれ、そこに1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生し多大な被害を生じた。この時の反省から地震調査研究推進本部が設置され、日本列島の地震活動の評価や地震動予測が始まった。高い確率値で南海トラフ地震に対する関心を高めることは、南海トラフ沿岸地域の防災意識の向上につながるが、他の地域の油断につながってしまっては本末転倒である。
13.地震災害が厄介なのは、発生頻度が非常に低いことである。同じ場所が大地震に見舞われる可能性は数10年に1度程度である。我々は常に未体験、想定外の危険に備えなければならない。日本列島周辺には、南海トラフ以外にも複数のプレート境界があり無数の活断層が存在するので、どこで大地震が起きてもおかしくないが、個々の活断層の地震発生確率は南海トラフと比べて低いが、数が非常に多いため、いずれかの活断層で大地震が発生する確率は南海トラフに対して引けを取らない。



yuji5327 at 06:50 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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