2017年09月19日

現在の日本の国債残高が巨額であると、指摘されるが、これは形式だけを見たもので、実際には、国債のかなりが、日銀当座預金に変わっている。

「野口悠紀雄著:国債残高の3分の1はもはや国の負担ではない
、週刊ダイヤモンド2016.12.24」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本銀行の異次元金融緩和政策は、マクロ経済への影響という点では、効果がなかった。日銀当座預金が増えただけで、経済に流通するマネーストックがほとんど増えなかったからである。しかし、全く無意味だったわけでなく、国の負担を軽減するという点では、大きな意味があった。
2.そのメカニズムは、日銀は国の機関ではないが、財政的な観点では、国と日銀は一体である。日銀が得た最終的な利益は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国庫に納付される。国から日銀に支払われた利子は、国庫に戻るので、国と日銀を「財政通貨当局」と呼ぶ。
3.日銀が国債を買い取って国債の保有者が民間主体から日銀に代われば、国債は国と日銀との貸し借りになってしまい、財政通貨当局の中で相殺される。つまり形式的に国債の利払いや償還はなされるが、それは国にとって負担にならない。
4.財政通貨当局が民間部門に対して負債を持っていることに変わりはないが、その形態は、国債という形から、日銀当座預金という形に変わる。日銀当座預金は返却の要求があるが、これも財政通貨当局にとって負担にならない。日銀券を発行すれば返却できるからである。日銀券は、日銀の負債ではあるが、返却する必要がなく利払いもない。財政通貨当局の負債は、民間銀行保有の国債という形から日銀当座預金という形に変わり、さらに日銀券という形に変わる。これを国債の貨幣化という。
5.これによって物価が上昇すれば、民間に残っている国債残高も実質的な負担は減少する。最初から日銀引き受けで国債を発行しても、国債の貨幣化になるが、この方法は財政法によって禁止されている。
6.債務を別の形に転換することによって負担を逃れるという手法は、民間部門でも行われている。債務を株式に転換するデット・エクイティ・スワップである。債務の株式化ともいわれ、企業再生の手法として用いられる。過剰債務企業が債権者に対し、債務と同額の株式を発行する。日本では、産業再生機構が支援企業に多用した。
7.債務を株式化した場合、株価が上がれば債権者にとっても望ましいが、もともと問題がある企業だから、そうならない場合が多い。そして、企業が破綻すれば株式は無価値になる。このような形で国債が処理された事例として、歴史上最も有名なのは、フランス革命前の「ローのシステム」と、それとほぼ同時期のイギリスの南海会社である。どちらも、国債を国策会社の株式に転換した。
8.ローのシステムは、ルイー5世の時代にジョン・ローが行ったもので、1717年にミシシッピ会社を設立した。これは、当時フランスの植民地だったミシシッピ川流域の開発を行うという触れ込みの会社である。実際にはベーパーカンパニーにすぎなかった。会社の株式は、国債の額面価値で購入できることとされた。すでに国債の市場価値は額面を大きぐ下回っており、他方でミシシッピ会社は巨額の収益を生むと期待された。従って、人々は争って国債を株式に交換した。ただし、配当を支払うことは必要で、ローが設立した銀行が発行する紙幣で支払われた。この紙幣は法貨としての地位を与えられていたので、人々はこの配当を受け入れた。これにより、国債がミシシッピ会社の株式に置き換えられ、王室は巨額の債務から解放された。
9.南海会社は1711年に設立され、政府の債務を肩代わりした。貿易での特権を与えられたので、やはり株価が上がり、国債が南海会社の株式に転換された。以上のスキームが働くには、株価が上昇を続けることが必要である。どちらの場合も、株価をつり上げる操作が行われた。南海会社の場合、1720年のわずか数カ月で株価が10倍にも高騰し、投機熱を煽ったが、その後、株価は暴落し、実体のない南海会社は崩壊した。イギリス社会は大混乱に陥った。ミシシッピ会社も同様の経路をたどつて、1721年に崩壊した。紙幣で配当を支払うことになっていたので、紙幣が乱発され、インフレが生じた。
10.ミシシッピ会社の失敗は、フランス革命の遠因になった。イギリスでは株式会社が禁止され、長期にわたって経済に悪影響を与えた。日本でも、終戦直後に行われた傾斜生産方式で、国債の貨幣化と実質的に同じことが行われ、インフレが生じた。
11.現在の日本の国債残高が巨額であると、しばしば指摘されるが、これは形式だけを見たもので、実際には、国債のかなりが、既述のように、日銀当座預金に変わっている。2013年4月からの異次元緩和で、日銀は年50兆〜80兆円のペースで市場から国債を購入し続けた結果、日銀の国債保有残高が増えた。資金循環統計によると、16年6月末での日銀の国債・財投債保有残高は345兆円。残高全体に占める割合は、34・9%となった。異次元緩和を始める直前の13年3月末では11・6%だったので、大幅な上昇である。
12.これだけの国債が、財政通貨当局の負担にならない形に変わった。気が付かない問に、これだけの国債が消滅した。これこそが、異次元緩和の最も重要な効果で、この比率は今後も上昇し、18年中に50%に到達すると考えられる。DESについて述べたように、転換した資産の価値が上がれば、債権者にとっても望ましい。しかし、マネーの増加は物価を上げ、マネーの価値を下げる。だから、国債の貨幣化は、債権者である国民にとって望ましくない。日銀引き受けによる国債発行が財政法によって禁止されているのは、このためである。
13.日本の現状では、まだ国債が貨幣化されてはいないが、日銀当座預金は、容易に貨幣に変わる。もし日銀当座預金の全てが日銀券に変われば、マネーストックが増加してインフレが起きる。
14.16年10月末で、マネタリーベース残高は417・6兆円。うち日銀券が97・0兆円で、日銀当座預金が316・0兆円である。一方、マネーストックは673兆円である。だから、日銀当座預金が全て日銀券になれば、日銀券は約4倍に増え、マネーストックが5割程度増加する。もし物価がマネーストックに比例して上昇すれば、インフレ率は50%になる。しかも、連鎖反応が起き、資本逃避が起き、円安が進んで物価がさらに上昇する。


yuji5327 at 06:37 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
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(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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