2017年09月30日

トランプ氏が掲げる減税政策は、小さな政府を目指す共和党の方向性と一致する。すべてが好転すれば、投資機会の不足と過剰貯蓄による長期停滞論から抜け出すきっかけになる。

「ポール・シェアード(S&Pグローバルチーフエコノミスト):トランプ大統領の登場が長期停滞論を抜け出すきっかけに、
エコノミスト、2017.1.10」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米大銃領選から約1カ月半。6月の英国の欧州連合〔EU)の離脱に続き、世界経済の不確実性を一層高めることになった。前国務長官であるヒラリー・クリントン氏なら、従来の政治と大きく変わらないことが予想できた。しかし、政治家としての経験もなく、公職に就いたこともないトランプ氏が,どんな大統領になり、どんな政策運営を行うかは、ほぼ予測不可能だ。
2.予想に反してトランプ氏が勝利した理由は、背景には、「今、ワシントンにいる政治家に任せても、何も変わらない」という米国民の既存政治家に対する失望がある。米国の中間層は、現状を変える見込みのないクリントン氏を支持しなかった。大きな不確実性はあるが、突破口となるような大胆な政策を打ち出し、米国を変える可能性のあるトランプ氏を選んだ。
3.クリントン氏が副大統領候補にティム・ケイン上院議貝を選び、予備選を最後まで激しく争ったバーニー・サンダース上院議員を排除したことも、賢い判断ではなかった。大手銀行の解体や大学の無料化など、トランプ氏のように極端な政策を掲げていたサンダース氏を取り込む方が得策だった。サンダース氏をクリントン氏は恐れた。
4.トランプ氏の副大統領候補選びは的確だった。トランプ氏は、共和党の中でも伝統的な主流派であるマイク・ペンス・インディアナ州知事を副大統領候補とするなど.クリントン氏とは.正反対の姿勢を見せた。あえて自分とは対極の人物をナンバー2に置くことで、人事については実務的な人物を抜てきするという安心感を米国民に与え、支持を得た。副大統領候補選びでは,トランプ氏はクリントン氏よりも一枚上手だった。
5.米議会は上下両院とも共和党が多数を占め、2014年の中間選挙から続いた政府と議会の「ねじれ現象」が解消されるのは、トランプ氏にとって大きい。トランプ氏の打ち出す政策が通りやすくなり、その気になれば選挙中に語った大胆な政策展開も可能となる。また、2年後の中間選挙を見据えて、上下両院ともトランプ氏の政策に協力的な姿勢を示す可能性もある。トランプ氏が世論の強い支持を維持し、2年問で実績を残せれば、共和党はこれを追い風に多くの議席を確保できる。民主党も無理.に抵抗するよりは、トランプ氏の勢いに乗って手を組んだ方が有利だという打算が働いてもおかしくない。
6.トランプ氏が掲げる政策の一つである減税政策は、小さな政府を目指す共和党の方向性と一致する。すべてが好転すれば、ローレンス・サマーズ元米財務長官が提唱した投資機会の不足と過剰貯蓄(需要不足)による「長期停滞論」から抜け出すきっかけになる。
7.リーマン・ショック以降、金融政策に過度に依存しすぎたことへの反省が語られる機会が増えた。金融政策だけでなく財政.政策も組み合わせたポリシーミックスのリバランス(再均衡〕が必.要という機運が急速に高まっている。サマーズ氏が唱える長期停滞論の突破口は、政府主導による大規模な財政出動やインフラ投資の促進である。
8.金融と財政が一体となるよう経済政策運営の枠組み自体を再構築すぺきという機運も高まっている。マクロ経済として考えた時、状況に応じて、金融政策と財政政策.両方の広い視点で、どの政策が最も効果的かを議論すべきである。財政政策は政治家、金融政策は米連邦準備制度理事会〔FRB)に任せて、テクノクラート〔高級官僚)や経済学者が担うという分離された仕組みはおかしい。
9.優秀なビジネスマンであり、直観に優れているトランプ氏なら、すぐに現在の分離された非合理的な経済政策の枠紐みを問題視するだろう。例えば、政府の経済政策に強い影響力を持つ国家経済会議(NEC)にイエレンFRB議長を呼ぶのもトランプ氏ならおかしくない。従来の枠糾みにこだわらない柔軟で、新しい試みを行う可能性は高い。
10.自由貿易を推進すれば、大きな利益を得る人と不利益を被る人が出る。そこで経済学者やエコノミストなどの経済の専門家たちは、不利益を被った人たちに対して利益を得た人たちが拠出し、何らかの保証〔利益の再配分)をすれば、ネットでは全体に利益が発生するという理論で自由貿易を推奨している。
11.こう主.張した専門家たちは、再配分の問題を政治家任せにして、本来着手すべき民主党もこの問題を放置した。米中西部のラストベルト(さび付いた工業地帯)は自由貿易によって大きな打撃を受けたままである。もっと早く財政支援などの措置を取るべきだった。現実主義者でラストベルトの代弁者として支持されたトランプ氏は、マイナスの影響が出た場合には臨機応変に対応すると思われる。.
12.トランプ大統領の下、財政拡張政策がうまく回り出せば、欧州にもその影響が波及していく。金融政策だけで景気を回復させるのは難しく、財政政策とのポリシーミックスが必要である。ドイツや、ベルギー・ブリュッセルが推進する緊縮財政への不満は.想像以上に高まっている。
13.EU各国・地域の国内総生産(GDP}は、リーマン・ショック前と比べて、米国は11%増であるのに対し、ユーロ圏では1%増にとどまる。同じ欧州でも英国は8%増で、ユーロ圏ではドイツが7%増と突出している。一方、イタリアは8%減とドイツとの格差は広がるばかりである。ドイツはユーロ安の恩恵を受け、独り勝ちだが、イタリアやスペインなど南欧諸国の不満が鬱積している。
14.12月4日の憲法改正に伴う国民投票が否決され、辞任したイタリアのレンツィ首相は、10月の訪米時の講演で「緊縮財政は国家を破壊する」と、公然とEUの政策を批判した。4.トランプ氏の経済政策が軌道に乗り、目標の4%成長を達成すれば、反EUの機運はさらに高まる。南欧諸国だけでなく、ドイツ国内にも反EUの火種はくすぶっており、秋に選挙を控えたメルケル首相も、緊縮財政からの転換を迫られる可能性は否定できない。




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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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