2017年10月31日

白川先生の指導のもと研究を進め、ポリアセチレンを負極に用いて、非水系の二次電池を開発することを思い立った。負極に適している上、充電と放電を繰り返しても安定していた。

「吉野彰(旭化成株式会社顧問・技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長)著:リチウムイオン電池現在・過去・未来、學士會会報No.923(2017-II)」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.90年代後半、リチウムイオン電池は、IT社会の到来と共に世界中で活発に研究開発され、市場規模は一気に拡大した。リチウムイオン電池(以下、LIB)に関する特許の出願件数の推移から見て、大きな変革の波が2回来たことが分かる。LIBの研究は1981年に始まり、1985年に原型が完成、1991年に商品化に成功、1995年に市場が成立した。世に出て4年問は全く売れず、ある日突然、売れ始めた。1995年にウインドウズ95が発売され、今日のIT社会が始まった。この年、携帯電話やパソコンなどの電源としてLIBの市場は一気に拡大した。その後、LIBに関する研究開発は非常に活発になり、特許の出願件数も急増した。LIBはIT変革と共に成長してきた。現在、特許の出願件数が再び急増し、第一の波よりも大きな波が訪れている。
2.変革は資源・環境・エネルギー分野で起きているので、ET変革と言える。1991年にLIBが世に出て以降、LIBのエネルギー密度は順調に向上した。開発初期は200wh/lだったが、現在は約3倍の600wh/lである。これは正極と負極の材料を改良したためである。3.LIBのコストも、技術革新によって大幅に下がった。1994年に本格的な量産が始まった時、LIBのwh当たりの単価は約300円だったが、現在は約20円である。LIBの市場も急成長した。1997年に2000億円規模だった市場は、現在、1兆2000億円規模である。
4.市場は2000年頃までは日本企業が独占していたが、現在は韓国や中国の企業も進出し、グローバル化が進んでいる。かつては、ほぼ全てのLIBが携帯電話やパソコンの電源向けだったが、2011年以降、年々、電気自動車向けが増えているが、まだ本格的な普及には至っていない。
5.LIBは、負極に炭素材料を用い、正極にリチウムイオン含有金属酸化物を用いる、非水電解液系二次電池である。電池は使い捨ての一次電池、充電再使用する二次電池、水系電解液、非水系有機電解液の4つに分類される。電解液とはイオンを含んだ溶液のことで、これが水なら「水系電解液」、水でないなら「非水系有機電解液」と言う。
6.水系電解液は燃えない上にコストの点でも優れているため、これまでの電池の大半は水系だったが、水系は1.5V以上の電圧がかかると水素と酸素に電気分解するので、水系を使用する限り、起電力は上げられず、電池の小型軽量化は不可能だった。
7.非水系を用いた電池の小型軽量化の研究が始まり、1970年、日本の電池メーカー2社が非水系の一次電池の商品化に成功した。しかし、非水系の二次電池の開発は難航し、ようやく世に出たのがLIBだった。
8.企業が新商品を事業化するまでには、3つの段階がある。1つ目は基礎研究の段階で、研究の端緒から原型を完成させるまで、2つ目は開発研究の段階で、その技術が本物かどうかという検証と、商品化するために必要な様々な技術開発、3つ目は事業研究の段階で、商品として売るための研究である。
9.最初から非水系の二次電池の開発を目指して研究が始まったのではなく、ポリアセチレンという材料を研究する中から生まれた。1980年当時、多くの人が非水系の二次電池の開発に挑み、全て失敗に終わった。問題は負極の材料にあり、非水系の一次電池は負極に金属リチウムを使うので、非水系の二次電池の開発でも、負極に金属リチウムが使われたが、うまくいかず、新しい負極材料の発見が急務だった。
10.その頃、導電性ポリアセチレンという材料が世界中で話題になった。発見者は白川英樹先生(2000年ノーベル化学賞受賞)である。プラスチックなのに電気が流れるので、大変注目された。この導電性ポリアセチレンは、アセチレンを特殊な触媒で薄膜重合したもので、アルミ箔のような銀色で、プラスチックとは思えない外観である。これは電気を通すだけでなく、場合によっては超電導にも半導体にもなる。
11.この素材に興味を持ち、白川先生の指導のもと研究を進めるうち、ポリアセチレンを負極に用いて、非水系の二次電池を開発することを思い立った。ポリアセチレンは負極に適している上、多くの電気を貯めることもでき、充電と放電を繰り返しても安定していた。
12.負極にポリアセチレンを使うことが決まれば、次の課題は正極材料である。チタン、バナジウム、ニッケル、鉄の金属酸化物、金属硫化物など、電池によく使われる材料と組み合わせ、実際に電池を試作したが、暗礁に乗り上げた。負極をポリアセチレンにすると、リチウムイオンを含まないので、正極材料にどの金属酸化物、硫化物を持ってきても電池にならなかった。
13、1980年、オックスフォード大学のグッドイナフ教授が、正極材料として、リチウムイオン含有金属酸化物を報告した。負極にポリアセチレン、正極にこの新素材を用いて電池を試作すると、この新素材はリチウムイオンを含むので充電も放電もうまくいき、しかも極めて安定的だった。こうして1983年、LIBの原型が誕生した。
14.研究を進める中で問題が浮上した。当時、IT変革はまだ始まっていなかったが、電池の軽量化と小型化が求められ始めていた。1990年頃、社内で、旭化成は確かにIBの開発に成功したが、電池についての素人の旭化成が、単独で事業化するのは危険、どこかと合弁で事業化すべきか、ライセンス事業化すべきか、という事業化の議論がなされた。
15.最終的には、‥貅任塙臺曚靴禿澱啝業に参入する、LIBの材料事業は旭化成が単独で事業化する、0芦柔単独でのライセンス事業も並行して推進する、というものだったが、結果的に、,療澱啝業は失敗した。
16.△虜猯岨業は成功し、セパレータ事業を中心に急成長し、現在も旭化成の稼ぎ頭の高い利益を挙げている。のライセンス事業も成功した。1997年までに基本特許を取得し、国内外10数社とライセンス契約を締結し、相応の稼ぎを得た。


yuji5327 at 06:35 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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