2017年11月05日

脳内でサーチュインの働きを高めると筋肉が若い状態に保たれることを考えると、老化にともなう身体機能の低下は、脳内のコントロールセンターの機能減退が原因と考えられる。

「今井眞一郎(ワシントン大学教授)著:夢の「長寿物質」日本で効果を確かめたい、聞き手・構成、伊藤崇読売新聞鯨本社科学部、December2016 
中央公論CHUOKORON110」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.マウスの脳内のサーチュインの働きを遺伝子操作で高めた実験では、最大寿命も延びたが、それ以上に、健康で元気に暮らせる「健康寿命」に相当する期間が延びた。健康寿命に相当する期間の延びはメス16%、オス9%で、人間に換算すると女性で13〜14年、男性で7〜8年になる。マウスにNMNを1年間投与した実験では、寿命が延びるかどうかまでは調べることができなかったが、顕著な抗老化作用を考えると、遺伝子操作したマウスの場合と同じような寿命延長効果があると予想される。
2.どんな食べ物に多く含まれているのか調べたところ、野菜やフルーツに多いことがわかった。特に多かったのは枝豆、ブロッコリー、アボガドである。種のように栄養を貯める場所に多く含まれている。一方、牛肉やエビはわずかだった。実験でマウスに与えたNMNの量はかなり多く、これに相当する量を人間が食事だけで摂取するのは難しいが、1日3食、NMNの多いものを食べれば、それなりの量を補うことがでる。
3.今井教授は長年、サーチュインの研究に取り組んできた。米マサチューセッツ工科大学にいた2000年、サーチュインが老化と寿命の制御に重要な役割を果たしていることを発見し、英科学誌『ネイチャー』に報告したのが始まりである。サーチュイン遺伝子から作られるたんぱく質が老化を防ぎ、エネルギー代謝にも関係していることを突き止めた。
4.哺乳類の場合、7種類のサーチュイン(SIRT1〜7)がある。このうち、老化の制御において非常に重要なのがSIRT1である。脳の視床下部でSIRT1の機能を高めると、筋肉などの機能が若い状態に保たれることがマウスの実験でわかった。脳の視床下部は、老化を制御する「コントロールセンター」の役割を果たしている。脳の視床下部のSIRT1を活性化するNMNは、脂肪組織が分泌する酵素から作られている。
5.この酵素は血中に分泌され、その活性が非常に高いという特徴がある。一方、視床下部から出た指令は、骨格筋に伝わり、骨格筋から体の機能を調節するホルモンのような物質が分泌される。
6.足腰が衰えて歩行などが困難になる「ロコモティブ・シンドローム」や、筋肉量が減少する「サルコペニア」の研究では従来、筋肉そのものの研究が重点的に行われてきた。しかし、脳内でサーチュインの働きを高めると筋肉が若い状態に保たれることを考えると、老化にともなう身体機能の低下は、実は脳内のコントロールセンターの機能減退が原因と考えられる。
7.BMIを横軸に、全死亡率を縦軸に取ると、グラフは「U」字型になる。人種によらず、U字型で最も死亡率が低くなるBMIは、男性で24〜25、場合によっては26、女性で22〜23である。ちょっと小太りの状態である。高齢者の場合、やせているより、ふっくらした人の方が元気で病気にもかかりにくいと、言われてきた。BMIが少し高めの人は、外科手術の予後もよく、合併症にかかる割合も低いという結果もある。
8.脂肪は、飢餓状態の時に生き延びるためのエネルギーを蓄え、体のいろいろな能力を調節する役割を担うよう、進化的に発達してきた。人ではまだ証明されていないが、脂肪が少なすぎると、老化を制御する脳の機能が低下し、死亡率も高くなる。脂肪が多すぎてもよくない。
9.私たち生物は進化的には、遺伝子を子孫に残せばその役目を終える。老化は、生殖を終えた後の現象であり、生存に有利な遺伝子を残すという進化の淘汰圧は影響しない。昔は、機械が次第にぽろぽろになって壊れるように、体のあちこちが自然に摩耗して駄目になっていくのが「老化」と考えられていたが、老化にはきちっと制御されたシステムがあり、その結果として寿命が決まるということが、ここ20年ぐらいでわかってきた。そして、老化を制御する研究が盛んになった。




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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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