2017年11月07日

日本能率協会がまとめた企業経営課題に関する調査で、国内企業の7割超が現在の主要事業の5年後の見通しがつかないと考えていることが分かった。

2017/11/3付けの 大前研一 さんの「ニュースの視点」(発行部数 169,006部)は「経営者調査/三越伊勢丹HD/エイチ・ツー・オー・リテイリング/米IBM」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本能率協会が先月18日まとめた企業経営課題に関する調査で、国内企業の7割超が現在の主要事業の5年後の見通しがつかないと考えていることが分かった。ITの急速な進展など、経営環境の変化に危機感を持つ経営者が多い実態が示された。
2.調査結果を見ると、3年なら何とかなると思う人とそうではない人の割合が同じ位である。5年になると、このまま通用すると思う人の割合はわずか15%である。そして、10年になるとほとんどの経営者が、今の事業では見通しがつかないと感じている。
3.今の世の中で起こっている大きな変革を考えると、経営者はその実態をよく理解している。問題は、現状を理解した上で、対応できるように勉強しているのかどうかであり、「座して死を待つ」という企業が大半である。
4.若い人にとってそのような企業にいること自体、不安を感じる。その不安を払拭するために、自分にやらせてくれ、と積極的に動ければ良いのだが、日本では、そうはなっていない。
5.日経新聞によると、三越伊勢丹ホールディングスは子会社で高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」を展開する三越伊勢丹フードサービスの株式の大半を、三菱グループ系の投資ファンドである丸の内キャピタルに売却する方針を固めた。
6.三越伊勢丹フードサービスは16年3月期から債務超過に陥っており、第三者に売却することで本体の財務負担を軽減する考えである。クイーンズ伊勢丹は、成城石井とほぼ同じ業態で、やや規模が大きいお店である。大前氏はエブリデイドットコムの経営に携わっていた頃、クイーンズ伊勢丹と提携していた。
7.生鮮食品を取り扱っていたので、クイーンズ伊勢丹から持ってきて、それを販売する流れを作っていた。商品的には申し分がなかったので、三越伊勢丹にクイーンズ伊勢丹を経営する総合的な力が不足していた。その上、丸の内キャピタルに売却するというのは、さらにみっともない。
8.丸の内キャピタルは、ローソンに出資をして経営再建に成功したと言われているが、当時の状況からすれば、セブンイレブンという良い事例があり、新浪氏という経営者がいたことが大きかった。丸の内キャピタルに再建の手腕があったとは思わない。
ローソンの成功からも時間が経過し、今丸の内キャピタルにクイーンズ伊勢丹を再建させる力があるとはおもわない。
9.三越伊勢丹は赤字で事業撤退をするというのが恥ずかしいので、少しだけ資本を残しつつ経験のある丸の内キャピタルに売却するという、体裁を整えるためのシナリオを作ったが、非常にみっともない話である。
10.日経新聞は、「そごう神戸店で示す百貨店の未来図」と題する記事を掲載した。百貨店の阪急、阪神を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリングが、セブン&アイ・ホールディングスから「そごう神戸店」の経営を引き継いだ。訪日外国人客の利用増加などを追い風に、阪急うめだ本店が好調なことを踏まえ、そごう神戸店も今後数年で「来て楽しむ百貨店」への建て替えを視野に入れている。
11.阪急うめだ本店は建て替えによって、イベント型、ショールーム型の百貨店に変身し、それが成功を収めている。エルメスの職人をフランスから呼んできて、作業しているところを見せるなど、「見て楽しめる」空間を上手く演出している。
12.そごう神戸店の経営を引き継いだことで、梅田と神戸を抑えることになるのは面白い。阪急沿線も高齢化が進んでおり、その端にあるのが梅田と神戸である。坂道が多く、店舗に出ていくのも避けたいという人が多い。そういう人たちに外商をからめながら、両端から攻めていくのは上手くいくかもしれない。
13.米IBMは11月から主力製品である人工知能(AI)「ワトソン」の無料提供を開始する。「会話」「翻訳」「文章を基にした性格分析」など6つの基本機能を無料で提供する。これにより大企業だけでなく、中小企業はもちろん個人のソフト開発者にまで利用者の裾野を広げることで、新たなサービスの開発を促す。IBMとしては、競合が無料サービスを展開しているので、やむを得ない施策である。全体としての売上も利益も減少傾向なので何か手を打たなければいけない。
14.事業領域別の売上・利益を見ると、労働集約型のコンサルティング関連事業の利益率が低い一方で、クラウド領域は利益率が高く、ワトソンを要するコグニティブ領域の利益率はさらに高くなっている。IBMとしては戦略的にこの領域を拡大して行かなくてはならない。
15.無料サービスを展開する競争相手に対抗するために、IBMもフリーミアム戦略で入り口を大きく広げる狙いである。これにより、ある程度のボリューム増加は見込めると思うが、問題は次の展開で、無料サービスから有料サービスに転換するための仕掛けをうまく機能させないと、無料でサービスを提供して終わってしまう。無料で使い始めた人を、どれだけ高額のサービスにつなげていけるかが課題である。上手く立ち回らないと、グーグルのような広告モデル(別の収入源)を持っている企業に寝首を掻かれる可能性は大きい。


yuji5327 at 06:39 
共通テーマ 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード