2017年11月10日
NMNを作るのは難しいが、世界で唯一、高品質のNMNを作る技術を持つ企業が日本にある。食品・バイオメーカーの「オリエンタル酵母工業」である。
「今井眞一郎(ワシントン大学教授)著:夢の「長寿物質」日本で効果を確かめたい、聞き手・構成、伊藤崇読売新聞鯨本社科学部、December2016
中央公論CHUOKORON110」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.老化を抑制する物質についての新しい論文が反響を呼んでいる。ニコチンアミド・モノヌクレォチド(NMN)という物質を、マウスに投与した実験の結果である。米科学誌『セル・メタボリズム』に論文を発表した。マウスにNMNを1年間投与したところ、顕著な老化抑制効果が認めらた。
2.実験では、2グループ(各90匹)のマウスに、生後5ヵ月(人間の年齢で20代)から17ヵ月(同60代)までの1年間、NMNを水に溶かして毎日飲ませた。2グループのうち、片方は投与量を多め、もう片方は少なめにした。マウスも年を取ると通常は体重が増えて、メタボリック・シンドロームになるものが出てくる。しかし、NMNを1年間投与し続けたマウスは、投与していない通常のマウスよりたくさん食べるのに、体重は4から9%抑えられていた。
3.詳しく調べると、通常のマウスより脂肪を燃やしてエネルギーを得ており、代謝機能は人間の年齢で30代後半〜40代に保たれていた。一方、筋肉では、エネルギーを作り出す細胞内の機能が高まり、老化による遺伝子の変化が大幅に抑えられていた。このほか、老化とともに低下する目の機能も、若い状態に保たれていた。涙の量や骨密度、免疫細胞の数が増加し、インスリンの効き具合も改善していた。
4.NMNは、慶鷹義塾大学で人間に投与する世界初の臨床研究が7月に始まり、注目が集まっている。その物質は、元々、私たち生物の体内にあるもので、全身の組織や細胞に存在している。NMNは体の中でニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)という物質に変わり、これがサーチュインという遺伝子の働きを高める。
5.NMNは年を重ねるに従い、体の中で作られる量が減り、それにともないNADの量も減っていく。そこでNMNを体外から補充し、NADを増やしてサーチュインを活性化しようというのが臨床研究のコソセプトである。
6.研究で使ったマウスは、リンパ性白血病や肝臓がんで死ぬことが多く、当初はNMNの投与でがんの発生率が高まることが懸念された。しかし、がんの発生率や死因、生存期間は、通常のマウスと差はないが、NMNの投与量が多いグループの方が、活動量が若干低下する傾向はある。しかし、この量は、人への投与量に換算すると相当な量になる。投与量が少ないグループは、どの機能にも良い結果が表れた。人への投与量でみると、体重70kgの男性で1日に錠剤1錠程度である。
7. NMNが効くのは、年を取ったり糖尿病になったりして、体の中のNADが減っている場合である。自分でNADを十分に作り出す能力のある健康で若いマウスには、NMNを投与しても効果はない。人間での効果ばまだわからないが、おそらく健康で若い人がNMNを飲んでも、何も変わらない。
8.NADの減少が原因かどうかはわからないが、糖尿病など、老化とともにかかりやすくなる様々な病気でNADが減少していることがわかっている。例えば、血糖値が正常より高くなる「二型糖尿病」のモデルマウスにNMNを与えると、インスリンの効きが良くなり、血糖値が改善される。同様にアルツハイマー病や神経変性疾患、心不全でも、NMNを投与すると回復・改善することが確認されている。
9.臨床研究では。NMNが人間の老化も抑えるかどうかは、わかっていない。マウスで確認されたような効果が、人でも起こりうるかどうかを検証する段階に来ている。しかし、NMNのように元々私たちの体内にある物質を投与する臨床研究は、日本ではほとんど行われたことがない。将来、NMNを社会に普及させることを考えた場合、安全性や効果を科学的にきちんと調べることが重要である。そのため、今回の臨床研究は、薬の治験のように厳しく行うことを目指している。
10.まず、40〜60歳の健康な男性10人にNMNを経口で投与し、体内での動きや安全性を調べる。老化抑制効果を調べるのは、次の段階になる。具体的にどういう効果を調べるかは決まっていないが、マウスでも効果が確認されたところがポイントになる。
11.NMNを作るのは難しいが、世界で唯一、高品質のNMNを作る技術を持つ企業が日本にある。食品・バイオメーカーの「オリエンタル酵母工業」である。2008年から、NMNの開発を続けてきた。オリエンタル酵母工業では現在、「研究用」としてNMNを製造している。今回の臨床研究では、NMNを「食品」として扱っている。
12.人間でも効果が確認されれぽ、科学的根拠に基づいて効能を示した「機能性表示食品」として世に送り出すのがいい。長寿大国である日本の企業と研究者が開発した日本発の物質として、世界に発信していければよい。
中央公論CHUOKORON110」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.老化を抑制する物質についての新しい論文が反響を呼んでいる。ニコチンアミド・モノヌクレォチド(NMN)という物質を、マウスに投与した実験の結果である。米科学誌『セル・メタボリズム』に論文を発表した。マウスにNMNを1年間投与したところ、顕著な老化抑制効果が認めらた。
2.実験では、2グループ(各90匹)のマウスに、生後5ヵ月(人間の年齢で20代)から17ヵ月(同60代)までの1年間、NMNを水に溶かして毎日飲ませた。2グループのうち、片方は投与量を多め、もう片方は少なめにした。マウスも年を取ると通常は体重が増えて、メタボリック・シンドロームになるものが出てくる。しかし、NMNを1年間投与し続けたマウスは、投与していない通常のマウスよりたくさん食べるのに、体重は4から9%抑えられていた。
3.詳しく調べると、通常のマウスより脂肪を燃やしてエネルギーを得ており、代謝機能は人間の年齢で30代後半〜40代に保たれていた。一方、筋肉では、エネルギーを作り出す細胞内の機能が高まり、老化による遺伝子の変化が大幅に抑えられていた。このほか、老化とともに低下する目の機能も、若い状態に保たれていた。涙の量や骨密度、免疫細胞の数が増加し、インスリンの効き具合も改善していた。
4.NMNは、慶鷹義塾大学で人間に投与する世界初の臨床研究が7月に始まり、注目が集まっている。その物質は、元々、私たち生物の体内にあるもので、全身の組織や細胞に存在している。NMNは体の中でニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)という物質に変わり、これがサーチュインという遺伝子の働きを高める。
5.NMNは年を重ねるに従い、体の中で作られる量が減り、それにともないNADの量も減っていく。そこでNMNを体外から補充し、NADを増やしてサーチュインを活性化しようというのが臨床研究のコソセプトである。
6.研究で使ったマウスは、リンパ性白血病や肝臓がんで死ぬことが多く、当初はNMNの投与でがんの発生率が高まることが懸念された。しかし、がんの発生率や死因、生存期間は、通常のマウスと差はないが、NMNの投与量が多いグループの方が、活動量が若干低下する傾向はある。しかし、この量は、人への投与量に換算すると相当な量になる。投与量が少ないグループは、どの機能にも良い結果が表れた。人への投与量でみると、体重70kgの男性で1日に錠剤1錠程度である。
7. NMNが効くのは、年を取ったり糖尿病になったりして、体の中のNADが減っている場合である。自分でNADを十分に作り出す能力のある健康で若いマウスには、NMNを投与しても効果はない。人間での効果ばまだわからないが、おそらく健康で若い人がNMNを飲んでも、何も変わらない。
8.NADの減少が原因かどうかはわからないが、糖尿病など、老化とともにかかりやすくなる様々な病気でNADが減少していることがわかっている。例えば、血糖値が正常より高くなる「二型糖尿病」のモデルマウスにNMNを与えると、インスリンの効きが良くなり、血糖値が改善される。同様にアルツハイマー病や神経変性疾患、心不全でも、NMNを投与すると回復・改善することが確認されている。
9.臨床研究では。NMNが人間の老化も抑えるかどうかは、わかっていない。マウスで確認されたような効果が、人でも起こりうるかどうかを検証する段階に来ている。しかし、NMNのように元々私たちの体内にある物質を投与する臨床研究は、日本ではほとんど行われたことがない。将来、NMNを社会に普及させることを考えた場合、安全性や効果を科学的にきちんと調べることが重要である。そのため、今回の臨床研究は、薬の治験のように厳しく行うことを目指している。
10.まず、40〜60歳の健康な男性10人にNMNを経口で投与し、体内での動きや安全性を調べる。老化抑制効果を調べるのは、次の段階になる。具体的にどういう効果を調べるかは決まっていないが、マウスでも効果が確認されたところがポイントになる。
11.NMNを作るのは難しいが、世界で唯一、高品質のNMNを作る技術を持つ企業が日本にある。食品・バイオメーカーの「オリエンタル酵母工業」である。2008年から、NMNの開発を続けてきた。オリエンタル酵母工業では現在、「研究用」としてNMNを製造している。今回の臨床研究では、NMNを「食品」として扱っている。
12.人間でも効果が確認されれぽ、科学的根拠に基づいて効能を示した「機能性表示食品」として世に送り出すのがいい。長寿大国である日本の企業と研究者が開発した日本発の物質として、世界に発信していければよい。