2017年11月12日

政府が推進する働き方改革もお粗末である。働き方改革で残業時間の上限が月平均で60時間に規制されると、残業代は最大で年8兆5000億円減少する試算もある。

2017/11/10付けの大前研一さんの「ニュースの視点」(発行部数 168,946部)は「第4次安倍内閣/働き方改革/内部留保」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.安倍首相が1日の特別国会で第98代首相に選ばれ、第4次安倍内閣が発足した。安倍首相は記者会見ですべての閣僚の再任を発表し、引き続き経済最優先で取り組むと表明した。また、「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪として、デフレ脱却に向けて税や予算などの政策を総動員する考えを示した。
2.安倍首相が経済を全く理解していないことがわかる。「人づくり革命」と「生産性革命」が車の両輪になることは絶対にない。この2つを同時に進めることは矛盾をはらんでいる。
日本において生産性革命を起こそうとすれば、コンピューター化、ロボット化は必須である。今までの働き方をする人から仕事を奪い、失業者が溢れることを意味する。
3.本当の意味での「人づくり革命」は、「機械に置き換えられない仕事」ができる人材を育てることにあるが、日本ではそれが実現できていない。機械や他国の労働者に奪われてしまう仕事ではなく、付加価値の高い仕事ができる人材を育てることが重要である。それが出来ていないために、日本は一人当たりの労働生産性がOECD加盟国の中で最低クラスで、過去20年間の名目賃金の推移では、欧米が2倍近く増加しているのに対して、日本だけが落ち込んでいる。
4.この問題を深刻に捉えていない。これを政治問題化していない。この重要な問題を5年間放置しつづけた内閣の問題を問うことなく、また同じ人たちで組閣するというのだら呆れる。
5.安倍首相は、「人づくり革命」「生産性革命」「デフレ脱却」を並べ立てて、それらしく発言しているが、全く実態が見えず、危機感すら感じていない。トランプ大統領が来日すれば、ゴルフに明け暮れるという安倍首相の能天気さが、日本の危機そのものを表している。
6.政府が推進する働き方改革もお粗末である。働き方改革で残業時間の上限が月平均で60時間に規制されると、残業代は最大で年8兆5000億円減少する試算もある。残業代は、給料の補てんになっていて、GDPにも大きな役割を果たしている。政府は、その実態・意味を理解できていない。
7.安倍首相をはじめとして家業が政治家という人は、会社の実態を見たことがない。委員会を構成する大学の先生なども同様である。残業代が減ると、安倍首相が公言しているGDPの2%成長から大きく遠のくということすらわかっていない。
8.企業においても、危機意識が足らず、明確な対策がない。いまだに新卒一括採用を実施している日本企業が多く、これが高度な人材が増えない理由の1つになっている。50人、100人、1000人という規模で一括採用をすると、その人の個性を見て判断して採用することができない。
9.個性や尖った才能に目を向けないというのは、日本企業の最大の問題の1つである。一括採用を通じて企業に就職した人の多くは、新しいスキルを身につけてステップアップのためにやめるのではなく、その会社が嫌になってやめる。スキルアップ、ランクアップといった発展性がない場合が多く、高度な人材が生まれにくい。ほとんどの日本企業は、日本人だけを採用していて、世界から採用することに目を向けていない。人事制度と教育制度の問題は、日本企業が抱える最大のミスマッチである。
10.財務省の法人企業統計によると、企業が利益を蓄積した内部留保は2016年度末で
406兆2348億円となり初めて400兆円を超えた。ここにも日本企業が抱える問題が表れている。日本企業の内部留保が増えているのは、投資機会や成長機会がないために、大きな設備投資ができる企業が少ないということである。
11.企業が稼いだ付加価値のうち、どれだけ人件費に回したかを示す労働分配率はアベノミクスが始まる前の2012年度は72.3%だったが、2015年度には67.5%に低下した。これでも世界的に見ると、決して低い水準ではない。
12.この状況において、政府はさらに「賃上げ」を要請しているが、労働分配率を上げる(=人件費を上げる)ためには、生産性の向上が必須である。生産性が向上したとき、事業機会が増えておらず、市場も成長していないのであれば、必然的に人をクビにするしかない。
13.インフレの時代であれば賃上げも簡単だったが、今の日本では労働者自身が「プラスになる仕事」ができなければ賃上げはできない。日本の労働者が「プラスになる仕事」に対応できなければ、その仕事が他国の労働者、あるいは機械に奪われることになる。
賃上げというのは、この労働者の問題が解決しない限り、実現できない。内部留保があるので、その分を賃金にするという方法もあるが、それでは企業の将来性はなくなる。あくまでも賃上げ余力は生産性の向上にしかない。




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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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