2018年01月04日

仏、英、カナダは2020年から30年にかけて石炭火力の廃止に向けた政策方針を発表し,ドイツも石炭への依存度を減らす方針を示している。

「南野彰(エネルギー・環境ライター)著:石炭火力推進の日本は「ガラパゴス」産業界・金融界とも世界に逆行、
エコノミスト、2017.9.12」は参考になる。
1.米国のトランプ大統領は6月、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。だが米国内では、連邦政府の姿勢とは裏腹に、州や市、さらには企業レベルで温暖化対策を推進しており、パリ協定の離脱に反発する動きがある。
世界的には、CO2をはじめとした温室効果ガス排出削減の取り組みが加速し、脱炭素社会の構築に向けて化石燃料の利用を縮小・撤廃する動きが活発になっている。中でも、天然ガスに比べCO2排出量が約2倍に上る石炭火力発電を抑制する動きが急である。
2.仏、英、カナダは相次いで、2020年から30年にかけて石炭火力の廃止に向けた政策方針を発表した。ドイツは、石炭の中でも環境負荷の大きな褐炭を用いた火力発電所の停止を打ち出すなど、石炭への依存度を減らす方針を示している。世界最大の温室効果ガス排出国である中国も、石炭火力の新増設の抑制や一部建設計画の取り消しを打ち出した。インドも国の電力計画案で、現在建設中の発電所以外は、少なくとも27年まで石炭火力の新設は不要との見通しを公表している。5月に就任した韓国の文在寅大統領も、稼働してから30年間を超える石炭火力10基を22年までに廃止する方針を表明した。
3.日本はこうした世界の流れとは真逆の方向に向かっている。日本では16年4月に電力小売りの全面自由化が始まり、電力事業への新規参人業者(新電力)と大手電力会社が激しい競争を繰り広げている。このとき石炭火力は、安価な電源として重宝され、電力会社や参入企業が次々と新増設計画を打ち出した。
4.環境省によると、石炭火力発電所の新増設計画は7月末時点で全国35ヵ所41基、計約1840万kWに及ぶ。次々と計画される日本の石炭火力発電所の新増設計.画に対し、環境省は待ったをかけている。山本公一前環境相は8月1日、世耕弘成経済産業相に対し、中部電力の武豊火力発電所建て替え計画について再検討を求める厳しい意見書を出した。
5.武豊火力発電所は、老朽化した12.5万kWの石油火力を、107万kW.の石炭火力に転換する計画である。意見書では建て替え計画は現状よりもCO2排出増をもたらし、極めて高い事業リスクを伴う。排出削減の道筋を描けない場合には、事業の再検討を含むあらゆる選択肢の検討をするべきと、現行の計画では容認できない方針を示した。.8月18日には世耕経産相が環境相の意見書を受けて、中部電力に、所有する低効率火力の休廃止などCO2排出削減対策を講じるよう勧告した。
6.環境省は、15年にもこの計画に異議を唱えており、同じ計画に2度、待ったをかけたのは異例のことである。山本前環境相は今年3月にも、20年に中国電力とJFEスチールが共同で進めている千葉市立地の「蘇我石炭火力発電所」(仮称)について、計画自体が懐疑的だとして非常に厳しい意見を出している。
7.石炭火力発電所の建設に厳しく反対する姿勢は、8月3日の内閣改造に伴い就任した中川雅治新環境相も引き継いでいる。中川環境相は就任後、「石炭火力に対しては山本前環境大臣と同様に厳しく対処する」と表明した。環境.大臣が石炭火力に厳しい姿勢を示すのは、パリ協足締約国として、中長期の温室効果ガス排出量削減目標を達成するためだ。日本は同協定に基づき、温室効果ガス排出量を30年度に13年度比26%減、50年に80%減らす目標を掲げている。新増設予定の10基前後の石炭火力発電所がすべて稼働することになれば、30年度はもちろん、50年の目標も達成できない。世界でひとり、石炭火力を進める日本の状況に歯止めをかけようと、環境省が孤軍奮闘している。
8.脱炭素に向かう世界の流れに逆行しているのは、表業界だけではなく、金融業界も同様である。海外ではパリ協定発効を契機に石炭をはじめとした化石燃科関連企業への投融資撤退の動きが拡大している。日本の金融機関は一社も表明していない。投融資撤退は、非倫理的、または道徳的にふさわしくないと思われる企業の株式や債券、投資信託などの金融資産を手放すことを意味する。石炭産業に対する投融資撤退は近年、活発化していたが、パリ協定の発効を契機としてさらに加速した。
9.社会課題の解決に向けたインパクト投資に関する助言などを行う国際NPO「アラベラ・アドバイザーズ」によると、石炭を含む化石燃料への投融資撤退を宣言した世界の投資家・金融機関は、14年9月時点で181機関、運用資麗の合計で約5兆5000憶円だった。それが16年12月末には、688機閏、約550兆円に急増した。2年余りで実に100倍に増えた。
10.具体的に、投融資撤退を表明したのは、ノルウェー公的年金基金や仏保険大手アクサなど多岐にわたる。ノルウェー公的年金基金は、石炭関連事業が売り上げの30%以上を占める企業について、アクサは石炭発電の売り上げが50%以上を占める企業を対象にしている。
11.投融資撤退の現状を調査するNPO法人「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝氏は「残念ながら投融資撤退を表明する日本の金融機関はゼロ。今後もその状況は続きそうだ」と指摘している。実は日本のメガバンクは、むしろ国内外の石炭産業への投融資に対して積極的である。
12.「環境・持続社会」研究センターなどNPO3団体は7月、国内の大手金融機関の投融資の方針について「気候変動」や「人権」「兵器産業」など社会性の観点から分析・格付けした報告書「フェア・ファイナンス・ガイド日本版」をまとめた。報告書によれば、05年以降に判明した海外石炭火力プロジェクト23件に対する日本の大手金融機関 の融資額を集計したところ、総額約6000億円に上った。
13.三菱UFJフィナンシャル・グループが約2300億円と最も多く、統いて、三井住友フィナンシャルグループの約1760億円、みずほファイナンシャルグループの約880億円、三井住友トラスト・ホールディングスの約660億円、農林中央金庫の約440億円の順である。.
14.海外では例えば、ドイツ銀行は新規石炭火力への融資を禁止した。フランスのBNPパリバは石炭火力発電事業者への投融資を減らすなど世界の大手金融機関は脱石炭の取り組みに精力的に取り組んでいる。日本のメガバンクは明らかに取り残されている。
15.ここに来て、石炭火力発電所の建設計画を中止する動きも出始めた。関西電力と東燃ゼネラル石油(現JXTGホールディング)は3月、千葉県市原市で進めていた大型石炭火力発電所の建設を断念した。関電は1月にも、兵庫県赤穂市の火力発電所で石油から石炭への建て替え計画を中止した。しかし、海外の政府や企業の姿勢に比べるとまだ心もとない。日本がこれ以上孤立しないためにも、政府全体で石炭火力の新増設のあり方について考え直す必要がある。





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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
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