2018年01月09日
少しぐらいゴミが減ったとしても、人をだまし、税金をとり、データを隠し、自分だけが責任をとらない社会を、子供たちに渡そうとしている。
「武田邦彦著:
偽善エコロジー「環境生活」が地球を破壊する、幻冬舎、2008年7月30日」は参考になる。「第4章:本当に環境にいい生活とは何か?、第1節もの作りの心を失った日本人」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.分別すればゴミが資源になり、リサイクルが日本の環境をよくするのだと信じて行動してきた。その後ろに大きな利権が隠れていて、100%リサイクル紙といって売られていたものが50%だったり、40%がリサイクル紙と決まっていた年賀状が、ほとんどリサイクル紙が含まれていなかった。
2.パリに行くと自動車がバンパーとバンパーを接するようにして駐車し、前後の車にバンパーをぶつけてずらし、出て行く。日本では絶対にない光景である。日本人は「バンパーは壊れるためにある」と聞かされても、自分の車は大切な物で、それをわざと傷つけることなど考えられない。
3. 物を大切にする心は、高いお金で買ったから大事に使うというのではなく、高くても安くても自分が使って生活をするものを、作ってくれた方への感謝、自然からの恵みに感謝して大事に使う。
4.人間の心は時に試される。ペットボトルを作っているメーカーの社長は、おそらくは一流大学出身で、大企業の社長だ、年収も数千万円とっている。生活は豊かで特に苦しいわけではないが、「もの作りの心」を持っていないので、何とかしてペットボトルを多く売ろうする。製品を作るメーカーの社長だから、製品が社会に多く受け入れられることは結構なことだが、何とか早く捨ててもらおうと考える。
5.ペットボトルは丈夫で長持ちする容器だから、何回か使ってもらうと売り上げが減る。メーカーが率先してリサイクル制度を作り、環境の負荷を計算する専門の会社にお金を渡して、「新しく作るよりリサイクルしたほうが石油を少なく使う」というウソの計算報告書を出してもらい、新聞社を説得して大々的なキャンペーンをした。どんなものでも、分別して回収し、洗ったり処理をしたりしてまた使うより、家庭で何回か使うほうがいいに決まっている。ペットボトルは、一度社会に出すとボトルの内部が汚れる。リサイクルが始まる前には、ペットボトルの生産量は1年に15万トン程度だったが、リサイクルが開始されると生産量は55万トンに増加した。その55万トンは、ほとんど「再生したペットボトル」はなく、「石油から新しく作ったペットボトル」である。
6.リサイクルで心を失いつつあるのは、メーカーの人だけではない。日本には容器包装リサイクル法と呼ばれる法律がある。多くの人は法律に基づいてリサイクルがされていると思っている。国や自治体、そして専門家は「自分のゴミは自分で片づけよう。それには各家庭でゴミを分別し、自治体が回収し、指定された業者が再利用しよう!」と呼びかける。7.リサイクルを本当に合理的にやるなら、家庭で分別する方法は能率的ではない。大工場で分別して利用したほうが効率がいい。消費者、自治体、業者の中で、手間だけでなく、費用も消費者が負担することになり、年間5000億円の税金が使われるようになった。法律を作るときに抜け道を作った。家庭が分別して自治体が回収してきたものも使い道がなかったり、使えなかったりする可能性が高かったので、国民にはリサイクルと言って、その実は、回収したらそれで終わりでよいと決めた。国民には、「一度使った物をもう一度使おう」と呼びかけながら、法律の条文は、「回収するだけでよい」となっている。現在の「容器包装リサイクル法」は、正しく略称すれば、「容器包装回収法」である。
8.名古屋の大学の先生が、リサイクルを熱心にやっている名古屋市に手紙を書き、分別して回収したものをどのように使っているかを聞くと、「業者に渡しているので誠実にリサイクルしていると思います」という答えが帰ってきた。自治体が住民に説明していない。多くの主婦は、真面目に分別し、自治体が回収して業者に渡す。悪徳業者もいるにしても、自治体が再利用するとばかり思っていた。ところが今の自治体は、「法律に決まっているのだからその通りに仕事をすればよい。これまで住民にどのように説明してきたか、住民がどんなに努力しているのかは関係がない」という心に変わっている。
9.自治体の人も、公務員になったばかりの若いときには理想に燃えて、住民へのサービスに心がけて自分の郷里に尽くそうと思っていた人が多いと思うが、働いているうちに、リサイクルのように矛盾したことをしている問に、理想はだんだん失われ、汚れた心になっていく。
10.ペットボトルを回収するのに自治体だけでキログラムあたり405円の税金を使って
いるが、それを中国に50円で売っている。日本人の税金を405円使って中国人に50円で売っているのだから、税金を払っている日本人としては我慢できない。まして「自分のゴミは自分で片づけよう」と呼びかけた自治体の人が、少しでも儲かれば中国に出すというのだから、そんな自治体の人たちのために、毎日時間がかかる分別などしたくない。
11.業者はリサイクルのうまみを吸っている。リサイクルは、住民が原料を集めてくれておまけに税金まで払ってくれる。405円の税金をかけたペットボトルを40円で買い取り、「買っているのだから正しくリサイクルしている」と強弁している。自治体は自治体で、日本中でリサイクルのための分別をしているのに、ペットボトルが最終的にどのくらい使われているかを今までまったく発表せず、業者に渡した段階のものに「再商品化」という名前を付けて、それを発表しているだけである。
12.少しぐらいゴミが減ったとしても、人をだまし、税金をとり、データを隠し、どうしたら自分だけが責任をとらないですむかというような社会を、私たちは子供たちに渡そうとしている。
偽善エコロジー「環境生活」が地球を破壊する、幻冬舎、2008年7月30日」は参考になる。「第4章:本当に環境にいい生活とは何か?、第1節もの作りの心を失った日本人」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.分別すればゴミが資源になり、リサイクルが日本の環境をよくするのだと信じて行動してきた。その後ろに大きな利権が隠れていて、100%リサイクル紙といって売られていたものが50%だったり、40%がリサイクル紙と決まっていた年賀状が、ほとんどリサイクル紙が含まれていなかった。
2.パリに行くと自動車がバンパーとバンパーを接するようにして駐車し、前後の車にバンパーをぶつけてずらし、出て行く。日本では絶対にない光景である。日本人は「バンパーは壊れるためにある」と聞かされても、自分の車は大切な物で、それをわざと傷つけることなど考えられない。
3. 物を大切にする心は、高いお金で買ったから大事に使うというのではなく、高くても安くても自分が使って生活をするものを、作ってくれた方への感謝、自然からの恵みに感謝して大事に使う。
4.人間の心は時に試される。ペットボトルを作っているメーカーの社長は、おそらくは一流大学出身で、大企業の社長だ、年収も数千万円とっている。生活は豊かで特に苦しいわけではないが、「もの作りの心」を持っていないので、何とかしてペットボトルを多く売ろうする。製品を作るメーカーの社長だから、製品が社会に多く受け入れられることは結構なことだが、何とか早く捨ててもらおうと考える。
5.ペットボトルは丈夫で長持ちする容器だから、何回か使ってもらうと売り上げが減る。メーカーが率先してリサイクル制度を作り、環境の負荷を計算する専門の会社にお金を渡して、「新しく作るよりリサイクルしたほうが石油を少なく使う」というウソの計算報告書を出してもらい、新聞社を説得して大々的なキャンペーンをした。どんなものでも、分別して回収し、洗ったり処理をしたりしてまた使うより、家庭で何回か使うほうがいいに決まっている。ペットボトルは、一度社会に出すとボトルの内部が汚れる。リサイクルが始まる前には、ペットボトルの生産量は1年に15万トン程度だったが、リサイクルが開始されると生産量は55万トンに増加した。その55万トンは、ほとんど「再生したペットボトル」はなく、「石油から新しく作ったペットボトル」である。
6.リサイクルで心を失いつつあるのは、メーカーの人だけではない。日本には容器包装リサイクル法と呼ばれる法律がある。多くの人は法律に基づいてリサイクルがされていると思っている。国や自治体、そして専門家は「自分のゴミは自分で片づけよう。それには各家庭でゴミを分別し、自治体が回収し、指定された業者が再利用しよう!」と呼びかける。7.リサイクルを本当に合理的にやるなら、家庭で分別する方法は能率的ではない。大工場で分別して利用したほうが効率がいい。消費者、自治体、業者の中で、手間だけでなく、費用も消費者が負担することになり、年間5000億円の税金が使われるようになった。法律を作るときに抜け道を作った。家庭が分別して自治体が回収してきたものも使い道がなかったり、使えなかったりする可能性が高かったので、国民にはリサイクルと言って、その実は、回収したらそれで終わりでよいと決めた。国民には、「一度使った物をもう一度使おう」と呼びかけながら、法律の条文は、「回収するだけでよい」となっている。現在の「容器包装リサイクル法」は、正しく略称すれば、「容器包装回収法」である。
8.名古屋の大学の先生が、リサイクルを熱心にやっている名古屋市に手紙を書き、分別して回収したものをどのように使っているかを聞くと、「業者に渡しているので誠実にリサイクルしていると思います」という答えが帰ってきた。自治体が住民に説明していない。多くの主婦は、真面目に分別し、自治体が回収して業者に渡す。悪徳業者もいるにしても、自治体が再利用するとばかり思っていた。ところが今の自治体は、「法律に決まっているのだからその通りに仕事をすればよい。これまで住民にどのように説明してきたか、住民がどんなに努力しているのかは関係がない」という心に変わっている。
9.自治体の人も、公務員になったばかりの若いときには理想に燃えて、住民へのサービスに心がけて自分の郷里に尽くそうと思っていた人が多いと思うが、働いているうちに、リサイクルのように矛盾したことをしている問に、理想はだんだん失われ、汚れた心になっていく。
10.ペットボトルを回収するのに自治体だけでキログラムあたり405円の税金を使って
いるが、それを中国に50円で売っている。日本人の税金を405円使って中国人に50円で売っているのだから、税金を払っている日本人としては我慢できない。まして「自分のゴミは自分で片づけよう」と呼びかけた自治体の人が、少しでも儲かれば中国に出すというのだから、そんな自治体の人たちのために、毎日時間がかかる分別などしたくない。
11.業者はリサイクルのうまみを吸っている。リサイクルは、住民が原料を集めてくれておまけに税金まで払ってくれる。405円の税金をかけたペットボトルを40円で買い取り、「買っているのだから正しくリサイクルしている」と強弁している。自治体は自治体で、日本中でリサイクルのための分別をしているのに、ペットボトルが最終的にどのくらい使われているかを今までまったく発表せず、業者に渡した段階のものに「再商品化」という名前を付けて、それを発表しているだけである。
12.少しぐらいゴミが減ったとしても、人をだまし、税金をとり、データを隠し、どうしたら自分だけが責任をとらないですむかというような社会を、私たちは子供たちに渡そうとしている。