2018年01月16日
植物を原料とした新素材「セルロースナノファイバー〔CNF〕が、量産化に向けいよいよ動き出した。2017年4月、日本製紙は16億円を投じて、石巻工場に新たなCNF生産設備を稼働させる。
「吉田智(ジャーナリスト)著:セルロースナノファイバー、紙おむつ、化粧品、自動車、1兆円市場にらみ量産化へ、
エコノミスト、2017.4.18」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.植物を原料とした新素材「セルロースナノファイバー〔CNF〕が、量産化に向けいよいよ動き出した。2017年4月、日本製紙は16億円を投じて、宮城県の石巻工場に新たなCNF壁産設備を稼働させる。年間生.産能力は500トンで世界最大級。用途は紙おむつ向けの防臭シート材料だ。CNFの表面に.消臭効果のある金属イオンや金属ナノ粒子を容易に付着できる特性を生かした。石巻工場に続き、17年9月にも島根県の江津工場に、約11億円で年間生雍能力30トンの食品や化粧品向けの添加剤などの用途を見込むCNF量産設備を設置する。
2.業界首位の王子ホールディングス〔HD〕も16年11月、徳島県の富岡工場に年間生産能力40トンのCNF実証設備を立ち上げ、年明けから企業に向けてサンプル出荷を本格化した。
3.大王製紙は16年、愛媛県の三島工場にCNFの実証プラントを構えたばかりだが、17年4月に早くもCNF配合のトイレクリーナーを販売。中越パルプ工業も17年4月、鹿児島県の川内工場内に14億円を投じて、竹由来のCNFに着目した年間生産能力100トンのプラントの操業を開始するなど製紙メーカーは本格生産に向けた設備投資を加速させている。
4.CNFとは.紙の原料となるパルプをナノサイズ〔ナノは10億分の1)までほぐした物質である。日本が先行する形で1990年代後半にCNFの研究が始まった。実用に至ったのは最近で、化学メーカーの第一工業製薬の協力を得て、三菱鉛筆が15年、CNFを増粘材としてインクに配合したボールペンを、米国で先行発売して日の目を見た。粘度を高めたCNFを使うことで、従来配合していた増粘材の量より少量で済む。16年からは日本でも展開している。
5.紙おむつにボールペン。一見すると関連がなさそうな用途展開の源泉にあるのが、CNFのもつ変幻自在の性質である。樹脂に混ぜれば強くて軽い複合材ができ、無色透明にできるのでフィルムにも使える酸素を遮断する性質は食晶の包装材である。粘度調整の自由度は塗料や化粧品にも向く。体内に入れても害がないため、人工血管や食品にも可能性が広がる。
6.こうした市場の可能性を見据え、経済産業省は、2030年までにCNF関連市場を1兆円まで広げる構想を掲げている。経産省だけではない。林野庁は、林業再生の切り札としてCNFに熱視線を向ける。国土の7割を森林が占める日本では、CNFの原料になる木材などの植物バイオマスが豊富に手に入る。戦後に造成された人工林が利用期を迎えつつある一方で、国内で消費されるパルプ・チップ木材のうち国産材が占める割合はわずか2割程慶。CNFが果たす役割は大きい。
7.地域活性化の起爆剤としても期待が集まる。製紙業の盛んな静岡、四国、九州、そして各地の山間部でCNF関連のフォーラムが次々と立ち上がった。CNF実用化の一端を担う京都大学の地元であり、素材メーカーや加工業が集積する関西では、近畿経済産業局が中小企業を巻き込んで新規事業の旗振り役を務める。
8.化学メーカーの参人も相次いでいる。旭化成はCNFによる不織布の製品化を目指す。.花王は界面活性剤の知見を生かし、樹脂と複合しやすいようCNFの表面を疎水化する技術を確立した。ユニチカはCNFで強化した樹脂「ナイロン6」の実用化を進める。第一工業製薬は、インクに次いで化粧品向けの増粘剤を開発中。粘度を保ったゲル状のままスブレー噴できるのが特徴である。
エコノミスト、2017.4.18」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.植物を原料とした新素材「セルロースナノファイバー〔CNF〕が、量産化に向けいよいよ動き出した。2017年4月、日本製紙は16億円を投じて、宮城県の石巻工場に新たなCNF壁産設備を稼働させる。年間生.産能力は500トンで世界最大級。用途は紙おむつ向けの防臭シート材料だ。CNFの表面に.消臭効果のある金属イオンや金属ナノ粒子を容易に付着できる特性を生かした。石巻工場に続き、17年9月にも島根県の江津工場に、約11億円で年間生雍能力30トンの食品や化粧品向けの添加剤などの用途を見込むCNF量産設備を設置する。
2.業界首位の王子ホールディングス〔HD〕も16年11月、徳島県の富岡工場に年間生産能力40トンのCNF実証設備を立ち上げ、年明けから企業に向けてサンプル出荷を本格化した。
3.大王製紙は16年、愛媛県の三島工場にCNFの実証プラントを構えたばかりだが、17年4月に早くもCNF配合のトイレクリーナーを販売。中越パルプ工業も17年4月、鹿児島県の川内工場内に14億円を投じて、竹由来のCNFに着目した年間生産能力100トンのプラントの操業を開始するなど製紙メーカーは本格生産に向けた設備投資を加速させている。
4.CNFとは.紙の原料となるパルプをナノサイズ〔ナノは10億分の1)までほぐした物質である。日本が先行する形で1990年代後半にCNFの研究が始まった。実用に至ったのは最近で、化学メーカーの第一工業製薬の協力を得て、三菱鉛筆が15年、CNFを増粘材としてインクに配合したボールペンを、米国で先行発売して日の目を見た。粘度を高めたCNFを使うことで、従来配合していた増粘材の量より少量で済む。16年からは日本でも展開している。
5.紙おむつにボールペン。一見すると関連がなさそうな用途展開の源泉にあるのが、CNFのもつ変幻自在の性質である。樹脂に混ぜれば強くて軽い複合材ができ、無色透明にできるのでフィルムにも使える酸素を遮断する性質は食晶の包装材である。粘度調整の自由度は塗料や化粧品にも向く。体内に入れても害がないため、人工血管や食品にも可能性が広がる。
6.こうした市場の可能性を見据え、経済産業省は、2030年までにCNF関連市場を1兆円まで広げる構想を掲げている。経産省だけではない。林野庁は、林業再生の切り札としてCNFに熱視線を向ける。国土の7割を森林が占める日本では、CNFの原料になる木材などの植物バイオマスが豊富に手に入る。戦後に造成された人工林が利用期を迎えつつある一方で、国内で消費されるパルプ・チップ木材のうち国産材が占める割合はわずか2割程慶。CNFが果たす役割は大きい。
7.地域活性化の起爆剤としても期待が集まる。製紙業の盛んな静岡、四国、九州、そして各地の山間部でCNF関連のフォーラムが次々と立ち上がった。CNF実用化の一端を担う京都大学の地元であり、素材メーカーや加工業が集積する関西では、近畿経済産業局が中小企業を巻き込んで新規事業の旗振り役を務める。
8.化学メーカーの参人も相次いでいる。旭化成はCNFによる不織布の製品化を目指す。.花王は界面活性剤の知見を生かし、樹脂と複合しやすいようCNFの表面を疎水化する技術を確立した。ユニチカはCNFで強化した樹脂「ナイロン6」の実用化を進める。第一工業製薬は、インクに次いで化粧品向けの増粘剤を開発中。粘度を保ったゲル状のままスブレー噴できるのが特徴である。