2018年02月02日

気候はこれから数十年間、寒冷化に向かう可能性が高く、COP会議は存在意義を失う。何兆円かの負担を強いられるなら、脱退する他はない。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第4章:今後とるべき政策を考える」の「3.物理学者の見る地球温暖化問題」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ドイツだけでなく、。英国でも再生エネルギーの増加による大規模停電の危険が指摘されている。オーストラリアでは2015年6月に、再生エネルギーの導入目標を20%下げることを決めた。
2.リマ会議以後、各国では2015年12月に開かれるCOP21(パリ会議)に向けてCO2削減目標を申告する準備が行われていて、多くの国は表向き協力する姿勢を見せている。だが、2015年3月までに削減日標を報告するよう求められていたのに、6月1日までに提出した国・地域は20%に過ぎない。気温が頭打ちになって地球温暖化は緊急の問題ではないという認識が広まるにつれて、多くの先進国ではこの問題への関わり方を変えようと模索している。
3.リマ会議に先立って開かれた国連気候サミットに多くの首脳が欠席したのは、これまでの方針への協力を確約させられるのを嫌ったからだ。日本としては、国益を損ねないことを第一義として、できるだけ目立たぬよう、言質を与えぬよう、束縛されないよう、何よりも無駄金を払わされぬように細心の注意を払いながらこと。妙な使命感に捉われて高い削減目標など掲げないこと。
4.CO2温暖化自体が疑問であるだけでなく、世界全休の4%でしかない日本の排出量を減
らそうが増やそうがまったく大勢に影響はない。むしろ火力発電所で大半の発電をしている状態ではCO2排出は増えざるを得ないという現実を公表すべきである。
5.日本政府は「温室効果ガスの排出を2030年までに2013年に比べて26%削減する」という目標を決めてしまった。そのために今後15年間に業務・オフィスと家庭部門でそれぞれ40%、運輸部門で30%の削減を見込んでいるが、その必要はまったくない。国民に無意味な負担を強いる地球温暖化の幻想から、一日も早く醒めてほしい。
6.気候はこれから数十年間、寒冷化に向かう可能性が高く、温暖化を前提とするCOP会議はいずれ存在意義を失う。どうしても何兆円かの負担を強いられるようなら、そのときは脱退する他はない。
7.COP会議は気候変動枠組条約の下にあるので、条約をそのままにして目的を変えることはでぎないが、条約の廃止は途上国が既得権を失うので容易に承知いない。重点をエネルギー対策に移していくことになる。2014年6月のEU首脳会議では、エネルギー安全保障と気候変動対策を統一的に進めるために、「EUエネルギー同盟」を構築することが検討された。
8.それを具体化するために、今後3年間で60兆円の事業計画が策定された。契機となったのはロシアからウクライナへの天然ガスの供給停止で、天然ガスの3割をロシアに依存するEUの危機感が高まったが、同時にこれを好機と捉えてEUが環境問題からエネルギー問題へ軸足を移そうとした。この動ぎは環境団体からの強い反発を受けているが、事態は確実に動き始めている。
9.「地球温暖化」をめぐる日本の外交は、重大な岐路に立たされている。ここでは如何にして温暖化対策から手を引いて、それに代わる日標を提示するかを考えるべきである。世界各国のGDP当たりのエネルギー消費を比べると、5年前にぱ日本のエネルギー消費の少なさは断然トップだったが、今はEUがほぼ日本の水準に近づいた。この間に日本のエネルギー利用効率は約10%向上したが、EUの利用効率はさらに上がった。
10.途上国のエネルギー利用効率は低いままに止まり、消費は増える一方である。この状況を踏まえて目指すべきは、エネルギー利用効率の目標を設定し、EUとともにその達成へ向けてのキャンペーンを主導することである。日本とEUのエネルギー効率が当面の目標になる。化石燃料の保存のためにエネルギーの有効利用を図ることが、いま世界がとるべき政策である。
11.CO2排出を悪と見立てた排出権取引市場は崩壊した。エネルギー利用効率を最重要課題とすることは、地味なようだが、地球資源を保存する理念だけでなく、エネルギーコストを削減するという経済性をも兼ね備えた合理的な目標となり得る。これまでも日本のエネルギー技術は温暖化防止のための途上国援助という名目で供与されてきたが、これは考え方の基本が間違っていたので、評価されていない。
12.京都議定書での日本のエネルギー技術は、足許を見られて買い叩かれた。石油ショックを乗り越えるために粉骨砕身の技術者たちは無念である。



yuji5327 at 06:53 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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