2018年02月17日

日本は、新しいタイプの情報関連技術は得意でない。アメリカや中国に誕生している新しいタイプの企業が、日本には生まれていない。政府がなすべき課題は、規制緩和である。

「野口悠紀雄著:
日本経済入門 (講談社現代新書)
野口 悠紀雄
講談社
2017-03-15

日本経済入門、2017年、講談社」は参考になる。第11章:新しい技術で生産性を高める」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。 
1.日本経済が現在の状況から脱却するには、技術の開発が最も重要な課題であるが、日本は、新しいタイプの技術である情報関連技術は、得意でない。アメリカや中国に誕生している新しいタイプの企業が、日本には生まれていない。成長のために政府がなすべき重要な課題は、規制緩和である。
2.物価と賃金の下落は、新興工業国との競争によって生じている。日本経済の不調は、景気循環的なものではなく、金融政策で対処できない。1999年のゼロ金利政策、2001年以降の量的緩和政策、13年以降の異次元金融緩和政策などにもかかわらず、日本経済の不調は継続している。
3.そこから脱却するには、企業のビジネスモデルを転換し、新興国とは直接に競合しない分野に進出することが必要で、製造業であれば、製品の企画段階や販売段階に集中し、実際の生産は新興国の労働を活用すべきである。さらに、日本の産業構造を根本から転換し、脱工業化をはかる必要がある。
4、こうした転換には、大きな摩擦が伴う。従来のビジネスモデルや産業構造を維持したいという圧力が働くので、いつになっても実現しない。デフレスパイラル論は、そうした怠慢を正当化するためのへ理屈である。物価や賃金の下落は原因はデフレだとして、現実から目をそらしたがる。
5.これこそが、日本経済を20年以上も停滞させた原因で、日本は、いまこそ、こうした考えから目覚める必要がある。経済構造の改革は、きわめて困難な課題であるばかりでなく、取り組んでも目先の情勢に即時的な効果を及ぼさない。このため、とにかく目の前の緊急課題が優先だとして、日本は円安に依存してきた。こうしたその場しのぎの策が行き着いた先が、現在の状況である。日本経済の置かれた状況を直視し、目先の状況を変えることではなく、基本的な構造の改革が必要である。
6.日本は技術立国だと言われてきたが、その実態は、世界知的所有権機関(WIPO)が2016年の8月に発表した世界128ヵ国・地域の技術革新力であは、日本は16位である。1位はスイスで、スウェーデン、イギリス、アメリカがそれに続く。アジアでは、6位にシンガポール、11位に韓国が入ってる。
7.類似のランキングとして、スイス・ローザンヌの国際経営開発研究所(IMD)が作成する「世界競争力ランキング」では、180ヵ国・地域の産業競争力の比較では、16〜17年版では、日本は、8位、首位は、スイス、以下、シンガポール、アメリカと続く。ランキングが初めて作られたのは、1989年で、そのとき、日本は首位で、アメリカは3位である。アメリカの順位はあまり変わらないが、日本の順位は大きく変わった。
8.日本人の多くは、上記ランキングに、違和感を覚える。シンガポールが日本より上というのは、日本人は理解できない。証券取引所で日本がシンガポールに抜かれたことは日本でも多くの人が認めるが、技術で後れていると考えている人はあまりいない。
こう考える理由は、日本人の評価の基礎に、
9.自動車産業、製鉄業、高速鉄道などがない国は、産業国家と言えない。一流の産業国とは、それに加えて飛行機や宇宙ロケットを生産できる国、と考える。この基準から言えば、シンガポールは論外である。
10.実は、自動車産業や製鉄業があることが問題なのである。ランキングの上位には、このどちらも持たない国が多い。1990年代に、世界は大きく変化した。技術の性格が変
わり、IT技術)が重要になった。製鉄や電機製造は、新興国でもできる。日本はついていけなかった。
11.自動車は、現在のところ、新興国より先進国が強いが、やがて逆転する。世界では、従来の製造業の多くを新興国に移し、先進国はより付加価値の高い活動に専念することが必要になる。ランキングの上位国は、そうした対応に成功した国である。
12.ランキングは、いま突然変わったのではなく、しばらく前からこうした状況になっている。加えて、大学が新しい技術に対応した人材を養成していないという事情がある。日本の工学部が養成しているのは、古いタイプのエンジニアである。先進国が高度なサービス業を中心に成長する中で、日本は立ち遅れている。
13.政府の成長戦略に見られる製造業復活路線を捨て、サービス業の生産性を高めることが急務である。日本は、製造業が製造部門を切り離して新興国企業に委託し、自らは開発・設計などに特化していく。世界的な水平分業の中で、製造業のサービス産業化を目指す。



yuji5327 at 06:42 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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