2018年02月19日

技術ーの進歩であらゆる生き物、すべての個体の遺伝情報を解読できる時代になった。個人の遺伝情報は究極のプライバシーであり、その扱いは難しい。

「榊佳之著(静岡讐葉学園理事長・東京大学名誉教授・東大・理博・理・昭41):遺伝子診断・検査と社会、判りすぎるジレンマー、學士會会報 No.925(2017-IV)」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.胎児の出生前診断は古くから行われてきたが、2010年に香港大学の研究者が母親の血液中にごく微量ではあるが胎児のDNAが混じっていることを発見して以来状況は一変した。
2.高度なDNA解析技術を駆使して、ごく微量の胎児DNAを簡便、かつ同精度に検出できる技術を米国企業が2011年に開発、それをダウン症など胎児の染色体異常の検出に応用した。
3.この新型出生前診断法は母体からの採血という簡便安全な手法で99%近い精度で胎児の染色体異常を検出できるとあって米国を中心に急速に広まり、2013年に日本でもビジネス展開を図ろうとした。しかし、安易な妊娠中絶の拡大など、その社会的影響の大きさを懸念したわが国の産婦人科医グループの主導により、わが国では新型出生前診断はビジネス主導ではなく「高年齢で、且つ指定された医療機関で十分なカウンセリングを受けた者のみを対象とする」との方針が出された。
4.この医師主導の方針は誠に適切な対応であると思うのは、この診断技術はいずれその精度を上げて、胎児の遺伝子タイプまで検出し、優生学的な胎児の選別に使われるリスクを持っているからである。
5.テクノロジーの進歩によってあらゆる生き物、すべての個体の遺伝情報を解読できる時代になった。何事も判りすぎるのは善し悪しだが、個人の遺伝情報は究極のプライバシーでもあり、その扱いは特に難しい。
6.どのような距離感で対応するのか、個々人の意識、生き方と関わってくる。私は奉職する女子校で高校一年生の生物基礎の授業の中でゲノム・遺伝子診断・出生前診断などについての特別授業を行っているが、授業後の感想文は、いずれ結婚、妊娠、出産と向き合う自分たちの人生を重ね合わせ、一様に生命の尊さへの思いを示すとともに、「自らの遺伝的特質を知って人生の生き方をしっかり考えたい」という積極派から「遺伝の情報は神様から自分へのメッセージとしてそっと大切にしまったままで生きたい。」という慎重派まで多様である。判りすぎる社会、一人ひとりの生き方が今まで以上に問われる時代となってきた。


yuji5327 at 07:17 
新技術 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード