2018年04月06日
高齢者の身体能力の改善(若返り現象)がこの後も続くかどうかは保証されておらず、あらためて次世代への健康作りの啓発が必要である。
「大内尉義著:新しい高齢者の定義に関する提言とその意義、學士會会報No.928(2018-1)」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。1・多くの国で、高齢者は暦年齢65.歳以上と定義されているが、この定義には医学・生物学的な根拠はない。この定義が一般的になったのは、1956年、世界保健機関(WHO)が、65歳以上の人口が7%を超える社会を高齢化社会と定義したことによるが、高齢化の定義に使用した理由はよくわかっていない。当時の欧米諸国の平均寿命が、男性で65歳前後、女性で70歳前後であり、65歳という年齢が節目の年として受け入れられやすかった。
2.その後、各国の平均寿命は延伸した。特にわが国はその伸びが著しく、2016年では男性80.9歳、女性87.1歳となり、わが国では、65歳以上という定義が現状に合わなくなっている。
3.日本の高齢者は若返っているのか、科学的な視点からアプローチすることを目的に、日本老年学会と日本老年医学会は、.医学、生物学、看護学、社会学、心理学、教育学などの専門家が集まる学際的な合同ワーキンググループを作り、2013年に活動を開始した。
4.東京都健康長寿医療センターの研究によれば、1992年と2002年の調査で、65歳以上の住民の歩行速度と握力が、改善しており、2002年時の75〜79歳の歩行速度は1992年時の65〜69歳と同じであった。生活能力指標でみた生活機能、認知症に罹患していない人の知的機能、残存歯数など、多くの身体的、知的機能が、以前に比べて5〜10歳、指標によっては20歳も若返っている。
5.脳血管障害など、高齢者に多い疾病の受療率や死亡率を調べた結果では、両者とも低下が認められ、日本人は病気に罹りにくくなっている。高齢者の若返り現象が科学的にも証明された。
6.国民が高齢者をどのように捉えているかについて、国民アンケート調査では、男性では70歳以上、女性では75歳以上とする回答がもっとも多かった。、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいか、という調査では、働けるうちはいつまでも、という回答が男女とも30%程度でもっとも多く、65歳までという回答の約2倍であった。
7.高齢者が労働などを通して社会的な活動を続けることは個人の健康維持においても良い効果をもたらす。外出頻度の多い人の認知症の発症頻度は、家に閉じこもりがちな人に比べて低い、ボランティア活動をしている人の自立率はそうでない人に比べて高いなどであり、高齢者の定義の変更は個人にとっても良い効果をもたらす。
8.われわれの提言は、2017年1月の記者発表以降、多くのメディアに取り上げられたが、高齢者は多様である。高齢者が全体として若返っているとは言っても、中には日常生活が自立できない人がいるのは事実である。身体機能も知的機能もしっかりしており、働く意欲のある人が働ける場を持つことが、、要介護状態や死亡の危険性が高くなった状態に陥った人を助けることにつながる。
9.若い世代の負担を減らすことができる。すなわち、われわれの提言は、日本の社会保障制度を持続可能なものにすることに役立つと考えられる。准高齢者、高齢者の働く場をどのように作り提供していくのか、どのような働き方が良いのか、検討すべき課題は多い。
10.高齢者の身体能力の改善(若返り現象)がこの後も続くかどうかは保証されておらず、あらためて次世代への健康作りの啓発が必要と思われる。高齢者の定義には、本来であれば暦年齢ではなく、生物学的年齢を用いるのが妥当であるが、生物学的年齢、すなわち老化度を正確に求めることは現在できていない。
2.その後、各国の平均寿命は延伸した。特にわが国はその伸びが著しく、2016年では男性80.9歳、女性87.1歳となり、わが国では、65歳以上という定義が現状に合わなくなっている。
3.日本の高齢者は若返っているのか、科学的な視点からアプローチすることを目的に、日本老年学会と日本老年医学会は、.医学、生物学、看護学、社会学、心理学、教育学などの専門家が集まる学際的な合同ワーキンググループを作り、2013年に活動を開始した。
4.東京都健康長寿医療センターの研究によれば、1992年と2002年の調査で、65歳以上の住民の歩行速度と握力が、改善しており、2002年時の75〜79歳の歩行速度は1992年時の65〜69歳と同じであった。生活能力指標でみた生活機能、認知症に罹患していない人の知的機能、残存歯数など、多くの身体的、知的機能が、以前に比べて5〜10歳、指標によっては20歳も若返っている。
5.脳血管障害など、高齢者に多い疾病の受療率や死亡率を調べた結果では、両者とも低下が認められ、日本人は病気に罹りにくくなっている。高齢者の若返り現象が科学的にも証明された。
6.国民が高齢者をどのように捉えているかについて、国民アンケート調査では、男性では70歳以上、女性では75歳以上とする回答がもっとも多かった。、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいか、という調査では、働けるうちはいつまでも、という回答が男女とも30%程度でもっとも多く、65歳までという回答の約2倍であった。
7.高齢者が労働などを通して社会的な活動を続けることは個人の健康維持においても良い効果をもたらす。外出頻度の多い人の認知症の発症頻度は、家に閉じこもりがちな人に比べて低い、ボランティア活動をしている人の自立率はそうでない人に比べて高いなどであり、高齢者の定義の変更は個人にとっても良い効果をもたらす。
8.われわれの提言は、2017年1月の記者発表以降、多くのメディアに取り上げられたが、高齢者は多様である。高齢者が全体として若返っているとは言っても、中には日常生活が自立できない人がいるのは事実である。身体機能も知的機能もしっかりしており、働く意欲のある人が働ける場を持つことが、、要介護状態や死亡の危険性が高くなった状態に陥った人を助けることにつながる。
9.若い世代の負担を減らすことができる。すなわち、われわれの提言は、日本の社会保障制度を持続可能なものにすることに役立つと考えられる。准高齢者、高齢者の働く場をどのように作り提供していくのか、どのような働き方が良いのか、検討すべき課題は多い。
10.高齢者の身体能力の改善(若返り現象)がこの後も続くかどうかは保証されておらず、あらためて次世代への健康作りの啓発が必要と思われる。高齢者の定義には、本来であれば暦年齢ではなく、生物学的年齢を用いるのが妥当であるが、生物学的年齢、すなわち老化度を正確に求めることは現在できていない。