2018年05月05日

大量のデータをコンピューターで力任せに分析する方法で、相関を説明することは難しい。モデルなし、仮説なしで相関が見つかれるというデータ駆動型科学の方法である。


「野口悠紀雄著:フェイスブツクの利用で人格情報が把握される、週刊ダイヤモンド、2018.04.14」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ陣営が契約していたデータ分析会社、ケ
ンブリッジ・アナリティカ(CA)が、フェイスブック利用者約5000万人の個人情報を不正収集していたと報道された。
2.CAは、ビッグデータに基づく心理学的属性を分析するコンサルティング会社で、ケンブリッジ大学の計量心理学研究所のメンバーにより2013年に設立された。16年のイギリスのEU離脱を問う国民投票では離脱派で、アメリカ大統領選ではトランプ陣営のコンサルタントになった。どちらの選挙でも勝利を収めたことから注目を浴びた。
3.今問題とされているのは、データの入手方法である。ニューヨーク・タイムズやオブザーバーの記事によると、ケンブリッジ大学の研究者で、CAと提携関係にあったロシア系アメリカ人のアレクサンドル・コーガン氏が、フェイスブック用の人格診断アプリを作り、学術調査という名目でフェイスブック上で配布した。このアプリはよくある人格診断アブリなので、誰も疑問に思わず、27万人が利用した。
4.このアプリは、ダウンロードした本人だけでなく、その友達についても、何に「いいね」を付けているのかをトラックできるものである。この手法で、CAは、5000万人分ものデータを手に入れた。トランプ陣営は、CAのデータを選挙戦に利用した。
5.フェイスブックのデータから情報を引き出す研究の先駆けとなったのは、マイケル・コシンスキー氏のグループが、ケンブリッジ大学で行っていた研究である。この成果は、13年4月、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。
6.それによると、フェイスブックの「いいね」の分析によって、コーカサス系(白人)かアフリカ系(黒人)かは95%、男性か女性かは93%、民主党支持か共和党支持かは85%、キリスト教徒かイスラム教徒かは82%などの精度で区別できる。また、喫煙者(73%)、飲酒者(70%)、薬物使用者(65%)、パートナーの有無(67%)も判別可能だった。
7.この方法でや配偶者が把握しているより正確に人格が分かるという。これらの多くは、個人データとしては提出していない。何に「いいね」を付けているかを分析すれば分かってしまう。興味深いことが幾つもある。
8.「コッドファーザ」「モーツァルト」といった映画を好む者と、その知能指数(IQ)との相関が高いという結果は、納得できる。しかし、一見したところ何の関係もないように思われるものが、強い相関を.示すことがある。例えば、カーリーフライ(カールしているフライドポテト)の投稿に「いいね」を付けるのは、IQの高い人が多い。
9.大量のデータをコンピューターで力任せに分析して得られるが、なぜこのような相関があるかを説明することは難しい。これは、「モデルなし、仮説なし。相関が見つかればよい」というデータ駆動型科学の方法論である。
10.トランプ陣営は、大統領選において、対象ごとに異なるメッセージを送っていた。選挙戦では、相手がどういう意見を持っている人かが分かれば、その人に向かって効果的なメッセージを送ることができる。これは、「セグメンテーション」と呼ばれる手法である。
11.問題は、セグメンテーションをするための有効な手段がないことである。まずは、年齢、性別、居住地などの人口学的なデータを集めるが、それだけでは十分でない。収入などのデータや、趣味などの心理学的なデータをミックスすることが重要だが、入手が難しい。
12.トランプ陣営が実際にどのようなメッセージを送っていたのかは分からないが、想像では、例えば、保護主義的政策をアピールすると、失業して政府に不満を持っている人には、扇情的なアメリカ第一主義のメッセージを送る。民主党支持だがヒラリ】・クリントン候補は好かないという人には、個人攻撃のメッセージを送る。知的水準の高い人には冷静な分析的メッセージを送る。
14.CAは、「個人の性格を切り口にして一人一人の有権者に対してターゲット広告を打つ方が、マスメディアでブランド・イメージを形成しようとしたり、人種、年齢、地域、所得などの大ざっぱな属性でキャンペーンを考案するより、はるかに効果的だ」、と言う。
15.フェイスブックのデータを選挙戦に用いる手法は、すでに12年のアメリカ大統領選でバラク・オバマ陣営が用いていた。まず、選挙資金.の集め方についてビッグデータが活用された。ウェブサイトのデザインにも用いられた。トップページの写真をオバマ氏単独から家族に変更したところ、寄付金.が40%も増加した。
16.問題は、SNSを利用していると、両親や配偶者さえ把握していない重要な個人情報を、知らぬ間に把握されてしまうことが可能となる。



yuji5327 at 08:29 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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