2018年08月04日

脳のなかでもっともよく使われる神経伝達物質はグルタミン酸。次にγアミノ酪酸で通称「GABA」という。グルタミン酸とGABAは、脳のほぼすべてを握っている。


「池谷裕二著:進化しすぎた脳、講談社、2017年第34刷」は面白い。「第3章:人間は曖昧な記憶しかもてない」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.神経細胞はほかの細胞と違って、細胞膜にナトリウムイオンを通す穴をたくさん持ってる。穴のなかがトンネルになっていて細胞膜を貫いている。そこをナトリウムイオンが通る。このトンネルはタンパク質でできている。すごく巨大なタンパク質。全部あわせると分子量が20万もある。神経細胞はナトリウムイオンを通すための穴を持っている。これがほかの細胞と違うところである。。
2.細胞の内側はマイナスで、ナトリウムイオンを通す穴が開いているということは、ナトリウムイオンは細胞の外側に大量にあるから、外から一気に入り込む。細胞のどこかの電位が局部的に崩れると、そこの穴がグワッと開くと、電位はもっと崩れてひとい状態になる。細胞内外のプラスとマイナスが逆転してしまうほどに崩れる。
3.電位崩壊がひどくなると、崩壊の影響が周辺に波及する。すぐ隣の場所にあったチャネルも検知し、また隣のチャネルも開く。そして、そこからもナトリウムイオンが入る。すると、そこでも電位が崩れるから、さらにその隣のチャネルも開くことになり、イオンの流れの波が細胞膜を次から次へと連鎖反応で伝わっていく。
4.このチャネルは開いている時間がとても短く、1000分の1秒ぐらいである。ナトリウムイオンの流れる場所が、神経線維に沿って、突起の端まで伝わっていくが、ナトリウムイオン自身は情報ではない。ナトリウムイオンが内側に入ることによって、内と外の電位差が逆転し、電位崩壊すること自体が情報である。ナトリウムイオンは神経線維を伝わって動くのではなくて、内と外をその場で行ったり来たりしてるだけである。
5.神経細胞同士は、神経線維を介してつながってネットワーク(神経回路)をつくっているが、細胞の一個一個はつながっていなくて、物理的には離れている。神経だけではなくて、体の細胞はみなそうだ。だから細胞は1個、2個、3個と数えられる。筋肉のような特殊なケースでは、互いに融合してつながっている細胞もあるけれど、それは例外だ。ふつうの細胞はみんな離れている。神経細胞も、例外ではなく、互いに離れている。
6.神経細胞はたくさんの線維を伸ばしていて、一見すると、その線維が隣の細胞と絡みあって接しているように見えるが、拡大して見ると線維と線維にはすき間がある。その極端に狭くなった特殊な場所で、神経細胞どうしが情報をやりとりしている。その場所を「シナプス」と呼び、情報が乗り換えられる場所、つまり、神経どうしが会話をする場所である。
7.シナプスは多数あり、ひとつの神経細胞あたり1万ぐらいある。つまり、神経線維のあちこちにシナプスが多数存在している。シナプスにスパイク(電位差が崩れる場所)が到着する。ナトリウムイオンの電位差の流れが伝わってくる。神経と神経の距離、シナプスのすき間はすごく狭くて、1mmの5万分の1(20nm)とすごく狭いがすき間だから電気が渡れない。
8.すき間にはどうしても電気が伝わらない。行き止まってしまうので、物質で伝える。物質を放出したり、受けとったりする装置が、シナプスには備わっている。シナプスとは、すき間や、物質授受装置まで含めた全体のことを言う。つまり、神経線維と神経線維の接近したその周辺のことを指す。
9.電気が通らないから、物質のやりとりに切り替える。活動電位(スパイク)が来ると、その物質がすき間に放出される。その物質のことを、「神経伝達物質」と言い、いろんな種類がある。分子量100とか200と軽い物質である。
10.神経はブドウ糖を使っているが、それは栄養としてであり、神経伝達物質ではない。「ドーパミン」、「セロトニン」、「アドレナリン」物暫が放出される。それを相手側の神経がうけとる。神経伝達物質は、わかっているだけで100種類ぐらいある、ひとつの神経細胞は決められた1種類(場合によっては2〜3種類)の神経伝達物質だけを使う。
11.アドレナリンを使っている神経細胞はアドレナリンだけを出す。だから、受け手からすると、どこから来たというのはだいたいわかる。神経細胞は数多くあるから、それが複数重なり複雑になるが、シナプスの場所や、神経伝達物質は脳のどこから来ているか、だいたいは決まっている。あまり厳密ではなく、結構いいかげんにできている。そこが、脳が脳らしくあるためのポイントのひとつになる。
12.「あやふやさ」は構造としてのあいまいさで、脳は構造としてだけでなく、機能としてもあいまいである。人間の記憶や思考があいまいな理由はシナプスにある。物質が放出されるのは確率的なものである。その確率はシナプスによって違う。たとえば筋肉をつかさどっている運動系のシナプスは確率が高く、ほぼ100%の確率で出る。足の筋肉を動かそうと思ったときに、確率で足が動いたり動かなかったりしたらまずい。筋肉を動かす神経の場合は、スパイクが来たら必ず伝達物質が出る。
14、脳のなかでもっともよく使われる神経伝達物質は「グルタミン酸」というアミノ酸である。次に「γアミノ酪酸」で通称「GABA」という物質。グルタミン酸とGABAの2つは、量でいえば、脳のほぼすべてを握っている。グルタミン酸はナトリウムイオンだが、GABAは塩素イオン「Cl-」を流す。塩素イオンも外側に多いから内側に向かって流れる。塩素イオンは電荷がマイナスだから電位差が広がる。
15.電位差が広がると、スパイクが起こりにくくなる。だから、GABAが来たらスパイクが起こりにくくなる。グルタミン酸とGABAは、アクセルとブレーキになっている。グルタミン酸がアクセルで、GABAがブレーキになる。神経細胞がいつ活動したらいいか、すべきではないかを、シナプスを通じて次の細胞は教えられている。
16.神経細胞には回路をつくるための線維がたくさん出ているけれども、各線維には出口と入り口があり、出口専用、入り口専用と決まっている。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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