2018年08月13日

サリンと同じ薬は昔からあった。カラバル豆という植物から取れる成分で、アセチルコリンエステラーゼを抑える。カラバル豆は、古代アフリカでは裁判に使っていた。


「池谷裕二著:進化しすぎた脳、講談社、2017年第34刷」は面白い。「第4章:人間は進化のプロセスを進化させる」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.遺伝子が原因でアルツハイマー病を発症する人は全体の10%で、プレセニリンの遺伝子が悪かったかもしれないが、アルツハイマー病の90%は遺伝に関係なく起こる。その場合でも、プレセニリンというハサミでAPPが切られる。健常な人の脳でもハサミは働いている。長年かけてβアミロイドがたまって病気になるので、プレセニリンの働きを鈍らせてβアミロイドがたまらないようにすれば予防できる。プレセニリンを阻害する薬はもうできているが、このプレセニリンというタンパク質はβアミロイドを生み出すために人体に存在していない。プレセニリンはAPP以外のところで本当の役割をしている。
2.プレセニリンの働きを抑えると、ほかのより重要な体の機能に副作用が出る。APPが2ヵ所で切れるとβアミロイドがつくられる。一方のハサミはプレセニリンである。それを抑えてもβアミロイドの産生は同じように抑制される。こっちのハサミは「βセクレターゼ」というタンパク質である。
3.注目を集めている新治療法は、アルツハイマー病はβアミロイドという毒が脳にたまるから発症するのだが、βアミロイドそのものを注射するという方法である。若いころからβアミロイドを与えておくと、免疫細胞が抗体をつくって、その抗体によってβアミロイドを壊す。「βアミロイド・ワクチン法」という意外な治療法である。
4.アセチルコリンを専門に壊すハサミ、それは「アセチルコリンエステラーゼ」と呼ばれるタンパク質である。このハサミを抑制してやろうというのが、アルツハイマー病の治療の目標になった。これを抑制すればアセチルコリンは増える。研究者たちの熱意は実を結び、薬が完成した。1996年、日本の会社から世界ではじめてアルツハイマー病の薬が売り出された。
5.有名な毒、サリンはアセチルコリンエステラーゼを非可逆的に阻害するので、地下鉄サリン事件のような悲劇的な症状が出てくる。目の瞳孔を開いたり閉じたりするのはアセチルコリンで調節している。アセチルコリンが働きすぎると、虹彩がギューッと狭まって視界が暗くなる。サリン事件の被害者のなかには、光が目にあまり入ってこなくて、周囲が暗く見えるという症状が報告されている。
6.サリン事件でかろうじて助かった被害者は、頭のなかのアセチルコリンの量が上がっている。アセチルコリンは記憶に関係ある。その人たちは昔の記憶が次々に走馬灯のように思い出されて、すっかり忘れていたことまで、どんどん記憶がよみがえって、収拾がつかなくなった。アセチルコリンと記憶の関係を物語っている。
7.チョウセンアサガオの成分は、ヨーロッパでは「ベラドンナ」と呼ばれる植物にも含まれている。つまり、ベラドンナはサリンとは逆で、アセチルコリンの働きを不足させる。眼底検査をする前に、薬を注して瞳孔を開かせ薬もアセチルコリンを抑えているのだけれど、あの薬を注してしまうと、しばらくは外出できない。
8.サリンと同じ役割をする薬も昔からあった。「カラバル豆」という植物から取れる成分で、アセチルコリンエステラーゼを抑える。ハサミ酵素を抑えるということは、アセチルコリンの量が増える。カラバル豆は、古代アフリカでは「裁きの豆」と呼ばれ、裁判に使っていた。疑わしい容疑者がいて、その人が犯人かどうかわからないとき、この薬をたくさん飲ませ、中毒死したら有罪、生き延びたら無罪という判決を下す。
9.無罪の人は「どうせ自分は大丈夫だ」と思うから一気に飲み干すと、アセチルコリンの作用で気持ち悪くなって吐いてしまう。毒が体外に出るから死なない。真犯人は、こわがって少しずつ飲むから、ゆっくりと毒が作用するので吐けない。毒が体に回って死んでしまう。カラバル豆の中に入っている成分は「フィゾスチグミン」でコリンエステラーゼを抑える作用が強いから毒である。その作用点を詳しく調べて改良を重ねて完成したのが、アルツハイマー病の薬である。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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