2018年08月18日

米ITビッグ5の時価総額は、いずれも2018年7月時点の時価総額で3月時点のそれを上回っている。フェイスブックの株価が13兆円減でも、その規模の大きさに変わらない。

2018/8/10 付けの 大前研一さんの ニュースの視点 (発行部数 167,757部)は「台湾半導体産業/台湾・力旺電子/中国ネット大手/米IT大手/米テスラ〜台湾半導体メーカーは、大小で明確な役割分担ができている」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は先月23日、「台湾半導体、広がる裾野」と題する記事を掲載した。直近決算で売上高約110億円以下だった。台湾の上場企業を、本業の利益に基づきランキングしたところ、独自の技術を磨く半導体企業が上位に入った、と紹介した。
2.台湾には台湾積体電路製造(TSMC)のように、半導体チップの製造を代行する大手メーカーが集積しており、この産業基盤を活かし、半導体の設計・開発に専念する中堅上場企業が台頭している。
3.この設計・開発に専念して台頭している事例の1つが、セキュリティー分野で使われる特殊な半導体で独自の地位を確保している台湾の力旺電子(イーメモリー・テクノロジー)である。特許ライセンス料を収益源とし、生産設備を持たない身軽さが強みで、売上高純利益率は4割強に達するほか、株価が過去5年で5倍弱に上昇している。
4.この会社が持つ技術の1つが、スマートフォンのホームボタンに指をおき、指紋認証で画面のロックを解除するというものである。このロジック不揮発性メモリー事業をメインにして、売上高は50億円程度だが、純利益が21億円という高い利益率を誇っていまる。スマートフォンのシステム全体に関わる技術ではなく、ある一部分に特化した技術で抜きに出ている。小さい商品だなが、他にはない技術なので圧倒的な利益を確保することができる。設計・開発に専念できる強みを大いに活かしている結果である。
5.日経新聞が報じたところによると、百度(バイドゥ)や京東集団(JDドットコム)など中国のネット大手が相次ぎ金融事業を分離する見通しが明らかになった。米国上場している本体と距離を置いて、中国企業としての立場を鮮明にし、中国金融当局の認可を取りやすくする狙いである。
6.意外な動きに感じるが、中国独自の問題があるからである。Eコマースなどは世界的に展開しながらも、金融・審査・支払いなどの金融事業は別会社にして中国政府の干渉を受けるという形である。百度や京東集団などの金融事業も、世界化して、世界の銀行を倒す力を持っている。
7.米フェイスブックが先月25日発表した4-6月期決算で、売上高と月間利用者数が市場予想に届かなかったことを受けて、その日の時間外取引と翌26日で株価が急落し、時価総額が約13兆円減少した。一方、2日にはアップルの時価総額が米企業として初の1兆ドルを突破。iPhoneの高価格路線や関連サービスで稼ぐ戦略で、市場予想を上回る成果を上げ、成長期待が高まった。
8.米IT企業については、今のところポジティブな情報とネガティブな情報が混在している。欧州勢が米国のFANGに課徴金を課すという問題などもあるし、フェイスブックの問題もある。フェイスブックの株価は急落したが、この会社が保有しているデータはマーケティング的に非常に有効なので、株価の下落もある程度のところで止まる。
9.米ITビッグ5の時価総額を見ると、いずれも2018年7月時点の時価総額は3月時点のそれを上回っている。フェイスブックの株価が13兆円減といっても、依然としてその規模の大きさに変わらない。
10.米ITビッグ5に対抗できる可能性があるとすれば、サウジアラビアのアラムコ。上場すれば100兆円規模になると言われている。あるいは、アリババもアントファイナンシャルも一緒にするのであれば、対抗馬になる。
11.米ITビッグ5の時価総額が50兆円〜100兆円というレベルで、日本のトヨタが頑張って23兆円という時代である。いかに米IT企業への市場評価が高いのか、わかる。
12.苦戦をしている米企業がテスラである。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米テスラが取引先の部品メーカーなどに対し、支払い済みの代金の一部を返還するよう求めている。自動車メーカーが過去にさかのぼって部品の値引きを求めるのは異例である。テスラの資金繰りの厳しさがあらためて浮き彫りとなった。
13.テスラの問題はいくつかあり、1つはトランプ大統領が打ち出した自動車の燃費基準を大幅に緩める方針である。これは、電気自動車(EV)の普及には逆風である。もう1つは、Uberのトラビス・カラニック氏と同様、イーロン・マスクCEOの個人的な問題である。
14.そして、量産体制が弱いことである。テスラは、米国内ではフォードを抜いてGMと同格と見られる位置まで登ってきていたが、これは将来に対する期待によるもので、ようやく生産体制が整ってみると、赤字であることが判明し、資金も枯渇してきたという状況である。
15.相変わらず時価総額は高いので、資金調達をすれば良いが、今のタイミングでは資金は非常に集まりにくいので、これまで支払った部品代の値引きを要求するに至った。ところが、イーロン・マスクCEOはこれを否定しているので、真実はわからない。
16.以前からテスラは資金繰りが大変だと噂はあった。どこかの企業が救済に乗り出す可能性もある。中国勢は喜んで手を挙げてくる。イーロン・マスクCEOもそれを狙って、中国に巨大な生産工場を作ると言って、習近平国家主席に直接働きかけているとも言われている。今テスラは良いニュースと悪いニュースに挟まれている。最も良いのは、中国展開の可能性があること、最も悪いのはトランプ大統領によるガソリン車を許容するという方針転換である。



yuji5327 at 06:34 
共通テーマ 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード