2018年08月26日

脳の血管は、猛暑で影響が出る。目まいなどで熱中症を疑うが、実は脱水で血液が濃くなり、血管を詰まらせて脳梗塞になる。高齢者は水分摂取に注意。


「大隅典子(東北大学教授):超音波で認知症、神経細胞を支える脳の血管、週刊ダイヤモンド、2018.08.04」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.神経細胞はデリケートな細胞だ。脳の血管が詰まつて酸素や栄養が補給されないと、数分のうちに壊死を起こす。脳の血管が破裂して出血することでも、神経細胞は死んでしまう。このような脳梗塞、脳出血などを脳卒中と呼び、現在でも全死因の1割を占める。
2.脳卒中で命が助かった場合でも、梗塞や出血が生じた脳の場所によっては、さまざまな後遺症が残る。手足のまひや言語障害が起こることも。さらに、認知機能障害につながることもある。
3.神経細胞の生存に欠かせない脳の血管。そして、近年はアルツハイマー型認知症.の危険因子としても、血管の病態が着目されている。例えば、加齢に加えて高血圧、糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化症のリスクが高い人はアルツハイマー型認知症になりやすい。
4.脳の血管を標的として、認知症の予防や治療につなげられないかと考える研究者たちがいる。有名なテーマは、大人になってからも神経細胞が生まれる「神経新生」である。記憶障害や抑うつ症状などに深く関わる海馬という脳の領域には、神経細胞の元となる神経幹細胞が成体でも存在し、神経細胞になる。
5.ラットやマウスを用いて神経新生.の度合いが記憶や学習、うつ状態に関わることを示した論文は、世界中でそれこそ掃いて捨てるほど発表されている。マウスの飼育箱に回転車や遊び道具などを置き、複数匹を刺激の豊富な「エンリッチ環境」で飼育すると、神経新生は向上する。
6.このとき、海馬の中で増加するのが血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という物質である。その名の通り、血管の一番内側にある内皮細胞を増殖させる効果があり、新たな血管を作るのに働く、
6.著者の研究室でも、神経細胞の突起伸長の制御に関わる「エフリンA5」という因子が、神経新生.にも重要であることを米科学誌「ステムセルズ」に2010年に発表したのだが、この研究.には裏話がある。
7.脳を顕微鏡で観察する際には、「還流固定」といって、心臓に針を刺して観察しやすくするための固定液を体の隅々まで行き渡らる必.要がある.、この実験をしていた研究員のH君が、「エフリンA5のノックアウト(KO)マウスの方が、還流固定が難しいんですよね……」とぼやいていた。
8.「もしかして、脳の血管が細いからでは?・だって、エクササイズで海馬の血管が太くなるっていう論文があったでしょう?」と伝えて調べてもらったところ確かにKOマウスの海馬の微小血管が細いことが分かった。
9.そこで、「降圧剤を使って血流を改善すれば、KOマウスの神経新生の低下を改善できるかも?」と考え、薬剤投与をする実験をH君に依頼した。だが、うちの研究室に来るまで
ウニの発生の研究を行っていたH君には、細い実験器具をマウスの口から胃に入れて降圧剤を投与することは難易度が高過ぎ、実験はうまくいかなかっな。研究は種々の理山により、考えた通りにはなかなか進まないものだ。
10.16年に東北大学の循環器丙科の下川宏明教授から連絡が入り、血管に着日してアルツハイマー病のモデルマウスの認知機能改善を試みているという。興味を持ち、共同研究
に携わることになった。
11.循環器内科グループの脳の血管を刺激する方法はユニークである。低出力パルス波超音波(LIPUS)を、マウスの脳全体に照射するという。LIPUSは聞欠的に超音波を照射するため、細胞や組織へのダメージが少ない。同グループはすでに狭心症や心筋梗塞などのいわゆる虚血性心疾患のモデル動物で、LIPUS照射によって、内皮型一酸化窒素合成酵素という物質が生じ、血管新生が起きることを報告していた。
12.狭心症の薬として古くから使われているニトログリセー2ンは、体内で加水分解されて一酸化窒素となって、血管を拡張する作用がある。そこで、脳血管性認知症のモデルマウスにLIPUSを照射したところ、脳の血流低下を改善することができた。マウスの行動でも認知機能の改善が認められた。
13.ヒトの家族性アルツハイマー病の遺伝子変異を有するマウスを用いて実験した場合でも認知機能は改善した。このときマウスの脳内では、アルツハイマー病特有の「アミロイドβ」という物質の蓄積が減少していた。LIPUSの利点は、体を直接傷つけないことである。同グループは6月より軽度アルッハイマー型認知症の患者を対象に、医師主導による治験を東北人学病院で始めた。
14.全18カ月に及ぶ観察期間で、安全性や有効性が確認できれば、将来的には検証のための治験の段階に進み、薬事承認の申請を行うことになる。ただ、LIPUSがどのように脳の血管新生を誘導するのかについては、まだまだブラックボックスである。同グループでは、超音波が血管内皮細胞表面のくぼみ構造(カベオラ)をのばすことで、細胞膜表面の「機械刺激受容体」というセンサーを刺激しているのではないかと推測しているが、今後の詳細な検討が必要である。
15.20世紀の生命科学は、いわゆる分子生物学的な技術で解決できる問題のみ深掘りしてきた。従って、物理.的な刺激に対して細胞がどう反応するのかについては、まだまだ未知の世界である。
16.東北大学加齢医学研究所の小椋利彦教授は、培養細胞に張力をかけると、細胞内で核の中に移動するような分子を見いだしている。小椋教授は「エクササイズピル」などへの応用の可能性を考えている。無重.力の宇宙に多数の人間が出ていく時代には、重要な基.礎研究となる。
17.注目度が上がる脳の血管は、猛暑によって影響が出ることもある。目まい、痺れ、ふらつき、など症状が出ると熱中症を疑うが、実は脱水によって血液が濃くなり、血管を詰まらせて脳梗塞になっていることもある。特に高齢者は水分摂取に気を付けた方がよい。


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健康 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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