2018年10月11日

既存の省庁や内閣府では実行困難な、国家規模かつ長期の施策を一元的に実行する組織がこの国には不可欠である。


「巽好幸(神戸大学海洋底探責センタ一教授・センター長)著:地震と豪雨による複合災害、北海道胆振東部地震の教訓、週刊ダイヤモンド、2018.10.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.大阪府北部地震に続き、北海道胆振東部地.震が発生した。マグニチュード6・7、.震源の深さ約37kmのこの直下型地震は、北海道で初めて震度7を記録した。なぜこれほどの大地震が北海道内陸部で起き、士砂崩れが多数発生したのか?、まず指摘しておきたいのが、熊本地震や大阪府北部地震と同様、「地震が少ない北海道でこんなことが起こるなんて…」という声が報道機関でも流れていたことである。
2.北海道胆振地方は、ここ数年に限っても2014年と17年に震度5弱の地.震が起きた「地
震多発域」である。過去の地震の被害が大きくなかったために、人々は勘違いしていたようである。
3.今回の地震は.東日本大震災のような「海溝型」ではなく、プレート境界(海溝)から離れた内陸域で発生した直下型地震である。東北地方の直下型地震の例を挙げると、08年に最大震度6強を記録した岩手、宮城内陸地.震、1894年に死者726人を出した庄内地.震などがある。これらの内陸地震は、プレート運動によって圧縮された地盤が破壊されることで発生し、「逆断層」が生じる。胆振東部地震も圧縮による逆断層型の内陸地震なのだが、東北地方とは圧.縮のメカニズムが少々異なる.
4.太平洋プレートは日本海溝に対してはほぼ真っすぐに、千島海溝ではやや斜めに沈み込む。その結果、北海道中東部の太平洋側では、地盤が西向きに引きずられるように動いている。
5.小さなプレートのように挙動するこのような細長い地盤は「スリバー」と呼ばれる。この「千島スリバー」が西進すると、胆振地方ではスリバーとその西側の地盤が衝突し、ほぼ東西方向の圧縮が生じる。こうして逆断層タイプの内陸地震が発生した。
6.今回の地震では、土砂崩れが甚大な被害を引き起こした。発生前日の台風21号による豪雨が、斜面崩壊の呼び水となった。ここで注目すべきは、地質の特徴である。付近に樽前山や恵庭岳など活火山が密集し、火山灰や軽石が厚く堆積していた。この火山性堆積物が雨水で緩み、表贋部2〜4mが地震の揺れで崩壊した。
7.火山灰層の表層滑りと豪雨の関連は、火山灰層そのものは水はけが良いため、大量の水を蓄えて地層が緩み、崩壊することは考えにくい。典型的な火山灰地層の表層には、地表付近の植物が腐食してできた「黒ボク」や「赤ボク」と呼ばれる土壌があり、その下に火山灰層や軽石層が存在する。
8.これらの屡は水を通しやすく、雨水は地下へ染み込んでいくが、その過程でマグマが急冷されてできたガラスからケイ素を溶かし出す。こうして浸透する水は深くなるほどケイ素に富むようになり、今度はガラスと反応してハロイサイトという粘土鉱物を形成する。今回の場合.この反応は深さ3屑前後で起こっていたようである。不透水性の「ハロイサイト層」は水がたまりやすく、しかも粘土鉱物なので滑りやすい。地震による強い、揺れで、ハロイサイト層が滑り面となり、土砂崩れが多発したと考えられる。だから今回の土砂崩れは、まさに豪雨と地震の複合災害といえる。
9.火山大国日本では火山灰層は広く分布し、ハロイサイト層が形成されている揚所も多い。熊本地震の大規模な土砂崩れも、阿蘇山でできたハロイサイト層の存在が原因の一つに挙げられている。
10.最近の日本は「数十年に1度の大雨」が頻発している。今回の北海道の悲劇〔火山灰土壌の地震と豪雨による複合災害)は、今後、わが国では想定内の災害となる。
11.日本列島は降水量が多く、台風の影響も受けやすい。さらにこの地球上で最も地震と火山が密集する「災害大国」である。実際にわが国は例年、インドや米国、インドネシア、中国などと共に、自然災害発生国ランキングの上位常連国であり、災害被害額は、東日本大震災以前でも世界の総被害額の約1割を占めている。
12.この災害大国では「未曽有の災害」が将来必ず起きる。以下の4つの根拠がある。
/邑・機能が集中する地域を襲う首都直下地.震、南海トラフ巨大地震は今後30年に80%程度の確率で発生する。大阪府北部地震のように、直下型地震を引き起こす未知の活断層が多数存在する。C狼絏甲伐修砲茲蝓∈8紊旅覬・水害は巨大化、多発する、い海旅颪鮠播擇伐修后峙霏腑ルデラ噴火」は、今後100年に約1%の確率で発生する。こうした
災害のリスク評価には、「危険度」(想定死亡者数×年間発生確率)が参考になる。平均すると毎年どれくらいの犠牲者が出るかを示すものである。
13.古代より日本人は、頻発する災霧に対して自然と対峙するのではなく、災害を受け入れて諦める生き方を選んできた。災害のことは早く忘れて、明日の生活を立て直すこと〔復興)に重きを置いてきた。中世には、「はかなきもの」に美を感じる無常観を身に付けた。なかなか災害に備えることは難しくなる。
14.過去とは比べものにならないほど人口が都市に集中する現代の日本では、これまで通りの対応で難儀な状況を乗り越えることができないのは明瞭だろう。災害大国の民の安心・安全を守るための策として期待したいのが、「災害省」の設置である。災害後の対策に加えて、豊かな自然からの恩恵と引き換えに当然受けるべき試練の原因を科学的に解明するための観測や研究.、低頻度の大規模災害にも対処できるような長期的視点での減災対策、さらには災害大国にふさわしい倫理観の模索と教育など、取り組むべき課題は山積している。
15.既存の省庁や内閣府では実行困難な、国家規模かつ長期の施策を一元的に実行する組織がこの国には不可欠である。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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