2018年10月18日

佐藤栄作首相は理解していたはずだ。沖縄返還のときの条件について、政府が国民に真実を隠して嘘をついてきたことが、大きな誤解を生む原因になっている。

2018/10/12付けの 大前研一 さんの「ニュースの視点」(発行部数 166,237部)「沖縄県知事選/朝鮮半島情勢/日韓関係〜この数週間で極東アジアの地政学は大きく変化し、日本は孤立無援に」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選が先月30日行われ、無所属新人の玉城デニー氏が初当選した。米軍普天間基地の辺野古への移設反対を訴えて、政府が進める移設計画に影響を与えそうである。
2.普天間からの移転に反対する人はいない。基地の近くに学校などもあり、トラブルも多く、誰もが普天間からの移設を望んでいるのは間違いない。だからといって、辺野古への移設まで反対となると、根本的な前提が変わってしまう。
3.普天間からの移設を検討したとき、沖縄県内での移設先としていくつか検討された上で辺野古が選定された。それを否定するとなると、「米軍は沖縄から出て行け」と言うのと同じである。辺野古市民はすでに一度は基地の移設に賛成しているる。
沖縄県民がこの議論をするとき「本当に米軍の全面的な退去を望んでいるのかどうか」という点まで考えるべきである。2つの議論を一緒に考えるから混乱する。
4.「もし辺野古への移設はやはり反対だ」となっても、今の日米地位協定からすれば米軍が沖縄から退去することはあり得ない。普天間基地が継続されるだけである。沖縄返還は民政のみに限ったことであり、軍事に関しては返還していないからである。オスプレイが墜落して問題になっても日本政府は文句1つ言えない。
5.沖縄返還の条件は米軍が軍事基地として好きなように使い続けることであり、それが日米地位協定に定められている。日本側もこの内容に納得した形になっている。安倍首相の叔父であり、当時の佐藤栄作首相が理解していなかったとは思えない。結局、沖縄返還のときの条件について、政府が国民に真実を隠して嘘をついてきたことが、大きな誤解を生む原因になっている。
6.このまま嘘をつきつづけるなら、北方領土と同じ道を辿ることになる。法的な側面だけでなく米国の戦略的な側面から考えても、米軍が沖縄を手放すことは考えられない。米海兵隊の拠点としてはグアム、ハワイ、ダーヴィンがあるが、中国を封じ込めるためには沖縄は非常に重要な位置にある。最大の抑止力になるのも間違いありません。
7.「辺野古への移設反対」を訴え、米軍の退去を望むのは無駄である。政府が正直になって過去の経緯を明らかにして、その上で沖縄に負担がかかりすぎているなら、対処方法を考えるべきである。沖縄に対して「日本全体のために沖縄が果たすべき役割」を説明し、逆に「日本全体として沖縄に何ができるのか?」を考えていく態度が大事である。
8.正直に事実を伝えずにいるから、沖縄県民を怒らせるばかりになる。これでは何回知事選があっても、辺野古への移設反対を主張する人が当選する。現在の差し迫った課題は、辺野古移設の反対・賛成ではなく、一刻も早く危険な普天間から基地を取り除くことである。
9.政府もマスコミも真実を伝えずに、相変わらず日本国内の議論が迷走している中、日本周辺の国際環境は大きく変化している。国内で意味のない議論をしている暇などなく、中国、韓国・北朝鮮、ロシアの動向に注目すべきである。特に、この数週間で韓国と北朝鮮が急激に接近したことは、日本への影響も非常に大きい。
10.北朝鮮と韓国は1日から、軍事境界線がある板門店の共同警備区域にある地雷除去に着手した。先月、双方の国防相が署名した「軍事分野合意書」履行の第1弾である。これは文在寅大統領と金国務委員長も同意しているから、両者の距離はかなり大きく接近している。
11.韓国の文在寅大統領は国連総会で、金委員長を信頼できる人物だとし、北朝鮮との祖国統一について熱弁した。国連は、北朝鮮が完全かつ検証可能な非核化をしない限り、
制裁を継続するとしているが、それも棚上げにして「祖国統一・民族統一」を信じて欲しいと訴えた。国連の北朝鮮に対する制裁決議には文在寅大統領も賛成したが、手の平をひっくり返したのは驚くばかりである。
12.米トランプ大統領は北朝鮮への制裁は継続するという姿勢だが「非核化はスケジュールを決めてやるものでもない」と発言し、そのタイミングは急がないとした。その間に韓国と北朝鮮は急接近した。
13.先日の国連総会で日本の河野太郎外相は、北朝鮮の制裁解除について「完全かつ検証可能な非核化が絶対条件」と演説したが、このような意思表示をしたのは日本だけだった。2ヶ月前までは各国の意志は一致していたのに、状況がガラッと変わった。
14.北朝鮮と親密になる一方で、文在寅大統領は「反日」の姿勢を強めている。韓国南部・済州島で11日に開かれる国際観艦式で韓国側が日本の海上自衛隊の護衛艦に旭日旗を掲げないように求めていた問題について、岩屋毅防衛相は5日、護衛艦の派遣を中止すると発表した。日本側の対応は当然である。小渕恵三元首相の頃に解決したはずの問題を、今頃になって持ち出してきた。自衛艦旗の旭日旗を日本軍国主義の象徴などと難癖をつけている。韓国国内に旭日旗に反対する人はいたが、船が寄港できないというような問題になったことはない。
15.従軍慰安婦問題についても、最終的かつ不可逆的な解決をしていたはずが、文在寅大統領はひっくり返した。日本が10億円を拠出した従軍慰安婦のための財団を、日本に断りもなく勝手に解散させた。文在寅大統領曰く「国民の理解が得られない」とのことだが、国と国が約束をし、資金の一部もすでに支払われているものを、勝手に反故にするのは理解できない。文在寅大統領は完全に北朝鮮側の人物であり、説得しても無駄である。もはや「日米韓」という発想は文在寅大統領の頭にはない。いかにして米国を騙して「祖国統一」を実現するかを考えているはずである。
16.このような韓国の動向に対して、中国とロシアは静観している。米国は長期的に見れば日本側だが、この2〜3週間で極東において日本は孤立無援状態になっている。極東アジアにおいて、大きく地政学的状況が変化したことは非常に重要である。


yuji5327 at 06:45 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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