2018年10月29日

中国語は、日本の学校の外国語教育で英語のようには広く教育されていない。将来は、中国語を学校教育に取り入れることが必要かもしれない。


「野口悠紀雄著:中国の急速な変化ににほんはどう向き合うか、週刊ダイヤモンド、2018.10.27」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.昨年あたりから、中国の人たちを相手に講演やレクチャーをする機会が多くなった。数十人の団体で来日してくる研修プログラムに、講師として呼ばれている。著者が話すのは、日本経済やブロックチェーンについてである。特にブロックチェーン関係が多いが、これは、これまでの日本経済一般に関する著書だけでなく、ブロックチェーンに関する著者の著書が中国語に翻訳されているからと思われる。
2.講演をすることになった最初のうち、著者は、ある種の戸惑いがあった。統計データや各種レポートなどを見る限り、ブロックチェーンに関しては中国の方が先進国に思われる。ブロックチェーンの企業数や特許数で、中国は世界一という統計もある。
3.ブロックチェーンだけではない。全米科学財団(NSF)が今年1月に発表した2016年の論文数世界ランキングで、1位は中国だった。2位がアメリカで、日本は6位である。1995年から05年ごろまでは、アメリカが世界1位で、日本は2位だった。日本の論文総数は減少傾向にあるので、日中の差は、今後ますます広がると思われる。
4.高等教育に関しても、中国はすでに高い水準に達している。イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が今年の9月28日に発表した「世界大学ランキング」の最新版(19年版)では、アジア1位は中国の清華大学(世界22位)である。東京大学は世界42位。100位までだと、日本が2大学(東大と65位の京都大学)で中国が3大学である。しかし、200位までだと、日本は2大学だが中国は7大学と、中国の方が圧倒的に多い。
5.U.S News & World Report誌が発表しているコンピューターサイエンス大学院の世界ランキングで、1位は中国の清華大である。日本の1位は東大だが、世界では91位である。清華大の人工知能(AI)関連の技術力も極めて高く、とくに顔認証技術は、世界でトップクラスの水準である。
6.このようなレポート等から、中国が日本から学ぶことはないように思える。中国の人々は、何を目的に日本に研修グループを派遣しているのか?、日本が技術先進国だという幻想にとらわれているだけではないか?、当初このように思っていたが、中国の人々に実際に会って話してみると、かなり違う面もあると感じた。
7.例えば、ブロックチェーンに関する中国の人々の関心は、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)であり、仮想通貨を用いた資金調達)に偏っているという印象を受ける。中国でICOは禁止されているが、台湾などの企業を用いてICOプロジェクトを進めようとしている。
8.ICOのためには、将来ブロックチェーンを用いた事業を行う必要がある。ところが、ホワイトペーパー(事業計画書)はあるのだが、それを読んでも具体的な事業の内容ははっきりしない。中国政府がICOを禁止したのは、こうした実態があるからである。
9.AIについて、「中国ではビッグデータの利用に関する制約があまり強くないの
で有利な立場にいるのは事実だが、アルゴリズム開発の面ではアメリカにはるかに及ばない」という実務家の意見もあった。中国の人口は14億人近いから、いろいろな人がいる
ことは間違いない。たまたま接する人によって異なる印象を持つのも当然かもしれない。
それに、言いにくいことだが、日本にいては、中国人の質を正確に評価できない。特に学生はそうである。
10.中国から外国留学する場合、優秀な学生は、アメリカやヨーロッパに行ってしまう。日本への留学生は、勉強のためというより、アルバイトで働くための学生も多い。だから、日本にいると、中国人学生のレベルが極めて高いことを実感しにくい。報道されていることやレポートの内容とわれわれが持つ印象が一致しない理由として老えられるのは、中国の変化があまりに急速であることである。
11.人材の水準も、驚くほど急速に変化している。80年代に、一橋大学の著者のゼミナールで、中国からの研修生を受け入れたことがある。70年代の文化大革命の時代に学齢期にあった世代だったので、基礎的な学力がほとんどなく、どう教えたらよいのか、途方に暮れてしまった。ところが、04年にスタンフォード大学に客員教授として赴任したときには、私のクラスに、80年代以降に生まれた極めて優秀な中国の学生が来た。
12.著者は中国の実態をつかみかねている。そうした状態にあるのは、著者だけではないはずで、多くの人々が、中国の実態をつかみかねている。われわれがマスメディアを通じて知ることができるのは、中国の外交政策や経済・産業・企業などの情報である。それだけでなく、中国の人々がどのように考え、どのように生活しているかを知ることが必要である。これを知るには、さまざまなレベルで人と人とのつながりができなければならない。
13.中国からの旅行者はたくさんいるが、多くの場合まとまって行動しており、日本の一般市民との交流はあまりない。そうした中で、さまざまな摩擦から、理由のない嫌中感情が広まってしまうことが懸念される。日中間には、外交関係があるし、企業の取引関係もある。また、さまざまな分野に、日中交流を促進するための団体が多数ある。
14.これら以外に、もっと非公式の交流が必要である。組織の一員として接するのではなく、直接の利害関係を持たない個人と個人とのつながりをつくる。あまり強くはないが、情報の交換ができる関係である。日中間の学者同士のつながりが十分でないと感じる。80〜90年代には、アメリカやイギリスの学者たちとの間で、共同研究を通じた交流があった。同じような関係は、日中間ではつくられていない。
15.こうしたレベルの交流が広まらない一つの原因は、言葉の壁である。アメリカ人やイギリス人などとの交流は、日本人が英語を学ぶことによって行っていた。ドイツ人やフランス人との問でも、英語を通じて支障なく交流ができた。それによって、日本人の友人と同じように親密な関係を築くことができたが、中国人の英語の能力は、平均的にはそれほど高くない。だから、中国人と交流しようとすると、通訳を介する必要がある。AIによる自動翻訳がこの問題を解決してくれるかもしれないが、今のレベルでは難しい。ただし、工夫すれば、利用はできるかもしれない。また、中国語は、日本の学校の外国語教育で英語のようには広く教育されていない。将来は、中国語を学校教育に取り入れることが必要かもしれない。


yuji5327 at 06:18 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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