2018年11月30日

平和条約を締結すれば、その後しばらくの間はロシア人が島に残るのも認めるのも良い。領土よりもロシアと正常な関係を築いていくのが重要である。安倍首相もぜひ実現して欲しい。

2018/11/23付け大前研一さんの「 ニュースの視点」(発行部数 165,314部)は「日ロ関係〜安倍首相は何よりも平和条約締結を重視すべき」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.安倍首相とロシアのプーチン大統領は14日、平和条約締結後に北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意しました。
2.安倍首相は会談後、「次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意志を大統領と完全に共有した」と語ったが、プーチン大統領はその後「日ソ共同宣言には、引き渡す根拠やどちらの主権になるかは明記されていない」
と述べ、交渉には時間がかかる認識を示した。
3.安倍首相もようやく日ロの歴史的な背景などを理解したので、プーチン大統領の在任中に日本とロシアの問題を解決し自らの功績を残しておきたいという思いで動いていと思う。そもそもプーチン大統領は数年前にも「2島返還」については承諾する姿勢を見せていまが、外務省の谷内氏が「2島返還された場合、日米安保条約の対象になって米軍基地が置かれる可能性」があると発言したために交渉が行き詰まってしまった。大前氏は当時から諸悪の根源は谷内氏であると指摘していたが、今回初めて朝日新聞がこのことに言及する記事を掲載した。
4.安倍首相はロシア問題について、外務省・谷内氏に頼るところがある。そもそも日ロ関係について国民に嘘をついて混乱させる事態を招いた張本人は外務省であり、頼るべき相手ではない。当時の重光外相は、ダレス米国務長官から沖縄返還の条件として、ロシアに対して4島一括返還を求めるように恫喝された。米国の意向によって日本は4島一括返還を主張するようになった背景を外務省は国民に明らかにしていない。
5.プーチン大統領の「どちらの主権になるかは明記されていない」という発言は、日本に対する嫌がらせではなく、日米安保条約の対象になるか否かを見据えたものである。返還された島の主権が日本になると、当然のことながら日米安保条約の対象になり、米軍基地が置かれる可能性が出てくる。そうなるとロシア国民に納得してもらえないから、プーチン大統領は困る。
6.北方4島は日米安保条約の「対象にならない」とすると、米国が許容できないはずである。中国との尖閣諸島問題では日米安保条約の対象として米国に庇護を求めているから、
北方4島は対象外というのは虫が良すぎる。
7.ロシアと米国のどちらも納得できる理屈が必要である。例えば、沖縄返還と同様に「民政」のみ返還し、「軍政」は返還しないという方法である。この形であれば、米軍基地が置かれることはなくプーチン大統領も国民に説明できる。ただ、現実的に島民のほとんどがロシア人なのに民政だけ返還されても、ほとんど意味がないという意見もある。いずれにせよ、北方4島の返還にあたっては、日米安保条約の対象にならないようなプロセスや理屈が絶対に必要になってくる。
8.ロシアとの2島返還の交渉が進んだ場合、対象となるのは歯舞群島と色丹島だが、この2島は日本にとってそれほど利用価値は高くない。現実的に最もメリットがあるのは国後島と色丹島の間にある漁場である。歯舞群島と色丹島の2島返還であっても、この漁場を使えるとなると日本にとっては大いにメリットがある。
9.政府の交渉もこの流れに乗りたいが、地元の漁民が反対しているという話もある。国後島と色丹島の間にある漁場が使えるのはありがたいが、日本中から漁師が押し寄せたら、
地元の漁師としてはデメリットが大きくなる。日本側も一枚岩ではない。
10.北洋漁業は寒く危険だから、ロシアから輸入するほうが日本にとってもメリットが大きいかも知れない。交渉が進むと、元住民の人たちが戻るのかどうかという現実的な問題も出てくると指摘されているが、限定的なものになると思う。今も約1万人の元住民が島の返還を求めているが、年齢はほぼ90歳近い人たちだから、実際に移り住む人は少ない。、
11.ロシアが軍政を残したまま返還するとなったら、なおさら新たに島に移り住む日本人は少ない。5〜10年後、住民の大半はロシア人というのが現実だと思う。その人たちの福利厚生まで日本が考えるべきとなると、日本側の負担も大である。
12.日本人は現実的な島の返還を求めがちだが、ロシアと日本との関係性を改善していくことを考えれば、平和条約を締結することのほうが重要であり、安倍首相にとってもそれを実現できれば大きな功績になる。もちろん2島を返還してもらうのは象徴的な意味合いとしても良いですが、ば鈴木宗男氏が言うように「2島先行返還で、残り2島についても継続交渉」にこだわる必要はないと思う。
13.平和条約を締結すれば、その後しばらくの間はロシア人が島に残っているのも認めるくらいのオプションを付けても良いと感じる。領土よりも平和条約を締結しロシアと正常な関係性を築いていくことが、重要だと思う。ようやく安倍首相もこの重要性に気づいて交渉を進めている。自らの実績にもなるし、ぜひ実現して欲しい。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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