2019年02月27日

気象予報士制度ができた1993年以降、年間売り上げは300億円前後で停滞。気象データの経済効果は年間1800億円と見積もられ、開拓の余地がある。


「木本昌秀(東京大学大気海洋研究所・教授)著:先に行くほど不確実な気象予測、ビジネス活用の伸びしろと注意、週刊ダイヤモンド、2019.2.23.」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.気象に関わって40年、この間天気予報の精度は着実に上がってきた。特に、2009年からは台風の進路予報が5日先まで延ばされ、「南海上で迷走中の台風は来週○曜日ごろに首都圏を襲う見込み」のような予報を利用できるようになったのは大変ありがたい。
2.気象予測が可能なのは、古典力学に従って気象現象が生じているからである。ニュートンの運動方程式は、物体の加速度(=速度の時問変化率)が物体に作用する力に比例することを述べているが、これは現時刻の力(と速度)が分かっていれば、次の時刻の速度が分かることを意味する。天気予報は、この原理を地球上の空気(=1大気)に当てはめて、現在の気象状況から将来の空気の動き(=1風)や温度の変化を高速コンピュータで計算して行われている。
3.予測の対象となる大気は、流体(連続体)なので、現在の状況はなるべく空間的に細かく把握しておかないと計算がうまくいかない。これが原理的には簡単でも実践が難しいゆえんの一つだ。そこで現在では有人の観測所はもちろん、人工衛星からのリモートセンシングも多数活用して、地球大気の状況を、天気予報に支障のない程度には細かく把握できる体制になっている。
4.ゲリラ豪雨のような時空問的に細かい現象の予報が難しいのは、そもそも実況が観測で把握できていないからである。実際、最新レーダーのデータを使ってスーパーコンピユータで計算すれば、急速に発達する局地豪雨の予測も不可能ではない。観測もさることながら、積乱雲の中での乱流の様子や、さまざまな大きさの雲や雨、あられ粒子の衝突、成長といった、陽に計算できないが、その効果は考慮する必要のある細かい現象の実態が科学的によく分かっていない、という事情もある。連続体なので、どこまで計算メッシュを細かくしてもそれより細かい現象は存在し、その効果を考慮する必要が出てくる。
5.これらの課題を克服すべく開発や研究が続けられているのだが、実際の予報を使うに当たっては、多くのユーザーが求めるピンポイ,ント情報と粗い計算メッシュの間のミスマッチに如凡て、「先に行けば行くほど予測が不確実になる」ことに留意せねばならない。初期値が誤差分だけわずかに異なる多数の「アンサンブル予報」で台風の進路予報が広がる。初期誤差が成長するため、ある町のある"の天気予報は2週問までが限界である。それでもその先の長期予報が発表されているのは、週や月、ある稚度以上の広さで平均した「天候」の傾向なら、つまり予測対象を限定すれば、ゆつくりと変化する海水温の影響などを考慮して、ある程度有用な予測ができるからである。
6.天気予報の精度が十分かといえば、決してそうではないが、同時に、ある程度の精度に達し、データも格段に容易に手に入るようになった現在、特にビジネス界における気象データ活用については相当に伸びしろがあるように思う。農業や交通、損害保険といった分野で気象の影響が大きいことは分かるが、小売りやサービス業でも売り上げや売れ筋商品の変化などに気象は大.きく影響するという。
7.全国清涼飲料連合会の協力を得た気象庁の調査によると、平均気温22℃以上では屋外自動販売機のホットのコーヒー飲料等の販売数はほぽゼロで、気温の低下に伴い急激に増加する。自販機をコールドからホットに切り替えるタイミングを決めるのに、2週間先までの気温予報を使うか使わないかで、売り上げに1台当たり100本程度の差が生じる。同様の気象影響は、アパレルや家電、コンビニでも確認される。
8.さまざまな業界でこのような気象データの利用は進んでいるものと思うが、気象予報士制度ができた1993年以降の20年ほどで見ると、民間気象事業者の年間売り上げは300億円前後で停滞している。その一方で、気象データによる需要予測の経済効果は年間1800億円と見積もられると、まだまだ開拓の余地がある。膨大な数値予報や衛星.データと、他のビッグデータとを掛け合わせれば大きな可能性を生む。
9.気象データのビジネス利用を考える際に、幾つかの課題に思い当たる。ほとんどのビジネスは気象だけに影響されるわけではない。判断の一助にしたいとは思っても、何をどう調べたらよいのか分からない。気象コンサルティングも、多様なデータから相関関係を抽出してくれるAI等の利用も有用である。気象に詳しくなくてもPOS〔販売時点情報管理)などの自社システムに気象情報を警入れることができるシステムにも需要がある。
10.数値天気予報や衛星など、気象のデータ量は半端ではない。本格利用には過去のデータも必要になる。緊縮財政の役所がユーザーに十分親切な大容量データサービスを用意できないのが問題である。特に予測データの場合、不確実性の収り扱いに注意が必要である。気象庁は今年6月をめどに2週問先までの気温予測を毎日発表する予定だが、誤差情報も加味した発表となる。
11.東京の90日先までの毎日の天気予報を掲載するウェプサイトもあるが、3カ月先を明日や明後日と同じように予測することは原理的にも無理である。何もかも気象庁が作成し、保証した形式でしか手に入らないでは、ビジネスチャンスを逃すことにもなる。人命に関わる防災情報は官の管理が必要だが、差し支えない部分は民に開放して可能性を広げるべきである。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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