2019年03月10日

イギリスのブレグジット選択後2年半の間に,世界は劇的な変化が相次いだ。国民投票当時は予測できなかったこと。合意なしのブレグジットの回避がイギリスの緊急課題である。


「ナイリー・ウッズ(オックスフォード大学大学院院長)著:ブレグジッドに3つの想定外、Newaweek42、20019.03.05」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. イギリスがブレグジット〔イギリスのEU離脱)を選んだのは16年6月のこと。それから2年半の問に,世界では劇的な変化が相次いだ。いずれも国民投票当時は容易に予測できなかったことだ。それらのせいで今は、合意なしのブレグジットを回避することがイギリスの国家安全保障上の緊急課題になっている。
2. 多くの変化の中でも,特に3つの変化がイギリスの「独立」を一段と困難にしている。それはルールに基づく国際体制の大幅な弱体化、パートナーとしての中国の魅力低下、そして技術的プラットフォームを使った外国勢力による民主主義への介入活発化である。ブレグジットの投票当時は、貿易・安全保障・外交のいずれの面でも、EU以外に頼りになる多国間協力体制があった。バラク・オバマ米大統領(当時)は,イランの核開発などの懸念事項に複数の国を動員して取り組み、通商問題もWTO経由で解決を図る姿勢を示していた。だが、16年11月の米大統領選はイギリスの選択肢を劇的に変えた。ドナルド・トランプ米大統領の下、アメリカはイラン核合意から離脱し、通商問題には一方的な経済制裁で応じ、地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定からも離脱する意向を示した。
3. トランプは、アフガニスタンとシリアからの米軍撤退も、同盟国に相談せずに発表した。こうして、イギリスがブレジット後に当てにしていた、グローバルな同盟関係やルールに基づくシステムは大きく揺らぐことになった。だが、イギリスの経済的利益と安全保障上の利益が世界中に存在していることは変わらない。アメリカの協力が見込めないなら、もっと友好的で考え方が似ている国々との関係強化が不可欠である。その明白な候補がEU諸国である。中国との関係性が弱体化したことも、当てが外れた変化だった。ブレグジット投票当時、中国はイギリスの新しい強力なパートナーになるかにみえた。
4. 15年10月の習近平国家主席の訪英時は、総額400億ポンドの貿易・投資合意がまとめられた。ところが今,その輝きはずっと弱々しくなった。中国はアメリカとの貿易戦争や、成長減速、一帯一路構想の実現に伴う問題の拡大、そして華為技術〔ファーウェイ・テクノロジーズ)の問題に対応するのに忙しく、イギリスに構っている余裕はない、という雰囲気である。
5. EUの共通市場からも関税同盟からも離脱すれば、取引相手としてのイギリスの魅力は著しく低下する。18年2月のテリーザ・メイ英首紺の訪中は、かなり地味な扱いを受けた。10年続いた「英中経済財政金融対話」は無期延期され、フィリップ・ハモンド英財務相の訪中も立ち消えになった。EUから離脱したら、イギリスは単独で中国や世界の国々と交渉し、貿易協定を結ばなければならない。そうなれば、今や経済的に圧倒的な優位にある中国は、イギリスのエネルギーや通信などの重要インフラへの投資を拡大するべく市場開放圧力を強める。
6. イギリスは、EU諸国と足並みをそろえることに、これまで以上に大きな利益を有する。頼れるのは結局EUだけ16年の国民投票で、イギリスの民主主義を「外国人から守る」と主張するグループが僅差で勝利したとき、ロシアなどの国がソーシャルメディアを使ってイギリス政治に潜入し影響を与えていたことは、ほとんど知られていなかった。フェイスブックとケンブリッジ・アナリティカによる個人情報流用事件もまだ発覚していなかった。だが今は、ロシアがツイッターでEU離脱をあおるメッセージを国民投票当日も流していたことが分かっている。
7. イギリスだけではなく、米下院情報特別委員会は、ロシア企業インターネット・リサーチ・エージェンシーが、16年の米大統領選の際、フェイスブックに3000件以上の広告を投稿していたことを明らかにした。フェイスブックはこうした問題に対処すると約束したが、ソーシャルメディアを通じたロシアの選挙介入は、18年の米中間選挙でも続いた。イギリスの場合、こうした介入を阻止するのは難しい。大手ソーシャルメディアは、イギリスに拠点を置いていないからである。
8. 現在、イギリスの民主主義に最善の防御を提供しているのはEUである。今年5月に欧州議会選挙を控え、EUが圧力をかけた結果、グーグルは広告に透明性ルールを適用すると発表した。政治広告の出稿者に、EU市民であるかEUに拠点を置く企業であることを示す書類の提出を義務付けるた、EUの東方戦略作業部会は、ロシアやベラルーシなどEUの東隣の国々で、EUの政策や重要課題を正しく説明しデマや風説を告発するリポートを発行するなど、地道な虚偽情報対策をしている。
9. さらにEUの行動規範は、テクノロジー企業にヘイトスピーチの早期削除も要請している。たとえ最高の粂件がそろっていたとしても、イギリスにとってEU離脱は大仕事になっていただろう。だが、16年以降の世界の変化により、合意なしのブレグジットのリスクは著しく高まった。こうした環境下で、イギリスは今こそ、親しいEU諸国の助けを必要としている。



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
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〇日展入選有

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