2019年04月17日

我が国では、約100 万人が心不全に罹患し、医療費の約30%が心血管疾患の治療に用いられている。心不全罹患患者数の増加に伴う医療費の増加が予想される。

「日本心臓リハビリテーション学会標準プログラム策定部会長 井澤英夫著者:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2009 年度合同研究班報告)、慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)」は参考になる。「心不全の長期予後は劇的に改善」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.高齢化が急速に進んでいる我が国では、約100 万人もの人が心不全に罹患し、医療費の約30%が心血管疾患の治療に用いられている。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬とβ遮断薬が広く使用されるようになり、心不全の長期予後は劇的に改善したが、これら有用な薬物治療にもかかわらず、心不全が増加する症例は数多く存在する。今後も心不全罹患患者数の増加とそれに伴う医療費の爆発的な増加が予想されることから、心不全の治療ターゲットとして長期生命予後の改善に加え心不全増悪による入院回数を減らすことは、今日、喫緊の課題となっている。
2.心臓リハビリテーションは1970 年代に急性心筋梗塞発症後を対象に早期離床と社会復帰を目標に実施されるようになった。その後、急性心筋梗塞後のみならず、冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス手術後を含めた冠動脈疾患全般に対して、運動療法や患者教育、カウンセリングを包括的に行う心臓リハビリテーションが運動耐容能を改善するとともに、二次予防に有用であることが確立された。
3.心不全に対する心臓リハビリテーションも、運動療法が神経体液性因子や炎症性サイトカイン、血管内皮機能、骨格筋代謝等の改善を介して、運動耐容能を改善し、再入院率の低下や長期生命予後の改善に有効であることを示すエビデンスが蓄積されてきている。このような多面的効果を有する心臓リハビリテーションは先進的治療であるとの認識が広がりつつあると同時に、最近では多職種チームが関与して実施する疾病管理プログラムとしての有用性も認識されるようになっている。
4.本邦では心不全急性期に血行動態を安定化させるための治療には力が注がれるが、血行動態が安定した後に必要な疾病管理プログラムの系統的な患者教育や生活指導、運動療法の実施は未だに十分ではない。さらに、退院後はかかりつけ医に逆紹介されることが多いため、入院中に開始した運動療法を含めた心臓リハビリテーションが退院後も継続されることは少なく、外来心臓リハビリテーションの実施率は甚だ低い。
5.心不全の疾病管理プログラムとして、退院後の外来心臓リハビリテーションは大きな課題である。現在わが国では、「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」が策定され、基本的な方針や実施概要は記載されているが、臨床現場における具体的な手順については記載されていない。日本心臓リハビリテーション学会では臨床現場で役に立つ標準プログラムを作成することとし、「心筋梗塞急性期から回復期標準プログラム」 (2014 年) を公表している。
6.心臓リハビリテーションの適切な実施と普及を目標に、主に入院前の日常生活動作(ADL)が十分に自立していた心不全患者で、運動療法の禁忌に該当しない症例における標準的な包括的心臓リハビリテーションプログラムを作成した。この「心不全」標準プログラムが目的とするアウトカムは、1. 生命予後改善、2. 再入院予防、3. 身体機能低下予防である。
7.この「心不全」標準プログラムは、心不全入院後、急性期離床プログラムから開始して血行動態安定後の運動療法の導入、退院後に外来通院しながらの心臓リハビリテーション実施までを時間軸に沿って記載した。慢性期の症例を主として診療する医療機関でも心臓リハビリテーションを行う際に十分に参考となる内容となっている。
8.この標準プログラムの内容は、日本循環器器学会をはじめとした関連学会合同研究班作成の「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012 年改訂版)」に準拠するが、心不全の心臓リハビリテーションの細部にわたるエビデンスは十分ではなく、エキスパートの経験や意見に基づいて記載されている部分もある。
9.具体的には、血行動態安定後の病態評価に基づいた運動プログラムの作成と、生活習慣や服薬アドヒアランス、合併症の評価と管理、心理的カウンセリングなどの疾病管理、更に、退院後の医療連携や医療福祉サービスの確認や再入院予防に向けた外来での疾病管理までの各項目の具体的評価、介入、到達目標を、必須項目と努力項目とに分けて示した。また、最近増加の一途をたどっているフレイル症例、両心室ペーシング (CRT) や植込み型除細動器 (ICD) 、補助人工心臓 (VAD) 植込み患者のプログラムについても最後に記載した。
10.疾病管理プログラムとしての包括的心臓リハビリテーションは入院中のみならず、退院後および社会復帰後にも継続することが必要である。心不全患者の治療・管理に多職種チームの介入が必要なことに、コンセンサスが得られつつある中で、心不全の増悪による再入院を予防し長期生命予後を改善することを目標に、心不全チーム医療の核として、国内各施設で標準プログラムに基づいた包括的心臓リハビリテーションの実施を望みたい。


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健康 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
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〇日展入選有

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