2019年05月07日

走行中の駆動モーターは、100℃以上の過酷な高温環境で使用されるので、ホンダやトヨタなどメーカー各社は、永久磁石に重希土類を数%から10%添加することで耐熱性を高めてきた。


「浅島亮子(本誌記者)著:ものつくるひと、重希土類フリー駆動モーター、貝塚正明(ホンダ技研主任研究員)、週刊ダイヤモンド、2019.4.6」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「ホンダがハイブリッド車(HV)を造れなくなるかもしれない」と、ホンダの100%子会社、本田技術研究所の貝塚正明らモーター開発陣に戦慄が走った。2010年、尖閣諸島をめぐり日中関係が悪化したときのことである。中国政府が日本への制裁措置として、中国に偏在するレアァース(希土類)の輸出を制限したからである。
2.HVなど電動車の駆動モーターには、世界最強の磁力を持つ永久磁石が搭載されている。従来、その磁石にはレアアースの一種である重希土類(ジスプロシウムやテルビウム)の使用が不可欠とされてきた。永久磁石には高温になると磁力が低下する性質があり、一定の温度を超えるとモーターが働かなくなってしまう。走行中の駆動モーターは、100℃以上の過酷な高温環境で使用されるので、ホンダやトヨタ自動車などメーカー各社は、永久磁石に重希土類を数%から10%(重量ベース)添加することで耐熱性を高めて、磁力の低下を抑えてきた。
3.11年前半には、重希土類の価格が平時の300倍にまで跳ね上がり、一気に投機リスクが高まった、と、貝塚氏は当時を振り返る。300倍という数字は、自動車の開発現場では、車1台当たりのコストが1円上昇しただけで見直しの号令がかかるレベルである。それが、レアアースの高騰により、1台当たりのコストが1万〜2万円上がってもうけが吹き飛ぶ世界だった。ホンダの開発現場は大騒ぎになった。
4.コスト上昇は悩ましかったが、それ以上に深刻な事態は、仮に中国からレアアースを調達できなければ、主力車のHVを世に送り出せないという最悪のシナリオをホンダ開発陣に突き付けられた。貝塚氏がホンダへ入社したのは、1991年、衝突回避など車の安全技術に関わる仕事をしたい、という志望はかなわなかったが、入社1年目にして、会社挙げての新規プロジェクトに登用された。それが、二輪や四輪の電動車向けのモーター開発プロジェクトである。
5.90年に米カリフォルニア州で発効した環境規制が引き金となり、自動車の電動化が待ったなしの情勢になった。HVや電気自動車(EV)などの電動車両において、モーターは車の性能を左右する重要部品である。だが、当時はガソリン車隆盛の時代「F1(フォーミュラ・ワン)や二輪で電気系をかじったエンジニアが集められたが、社内でモーターについて知っている人など誰一人いなかった。ゼロから猛勉強すれば、モーター開発の第一人者になれるチャンスが転がっていた」というが、開発チームには緊張感があった。レースに照準を合わせてマシンを仕上げてきたF1出身の先輩エンジニアから「1週間で結果を持ってこい」と厳命が下るなど、開発速度のアップに関しては徹底的に鍛えられた。
6.同時に、モーターの数値計測にコンピューターシミユレーシヨンが採用されるなど、開発プロセスにITが入り込む「はしり」の時期でもあった。世にないものをゼロから生み出す創造力、F1仕込みの開発速度、開発プロセスの刷新、そしてチームワークの醸成などが課題である。「エンジン屋」など旧来型の自動車エンジニアとは異なる下積み時代の蓄積があったからこそ、その後、貝塚は偉業を成し遂げることができたといえる。貝塚のモーター開発に挑む基本姿勢は、常にゼロベースである。既存技術に頼って守勢に回ることはなく、新技術の導入に寛容で、チームをまとめる能力に長けている。だからこそ、レアアース危機に立ち向かうこともできた。
7.この緊急事態に先んじて、06年にホンダは重希土類を100%使わないHV向けモーターの開発を進めていたが、いよいよ焦眉の急となった。完成まで苦節10年、16年9月に発売されたHV「フリード」に、世界初となる重希土類ブリー駆動モーター」が採用され、開発は結実した。
8.成功のポイントは2つある。1つ目は、11年に協業をスタートさせた磁石メーカー、大同特殊鋼の技術力である。一般的な磁石メーカーとは異なり、「熱間加工法」というユニークな製造方法を得意とする。量産には向かないが、磁石の粒子が小さく耐熱性が高いという特徴にホンダが着目、タッグを組んだ。2つ目は、重希土類の含有率を「減らす」ではなくて「0%」に執着した開発姿勢である。モーター回転子の「ローター」に組み込まれる磁石の配置を変えたり、ローターの形状を変えたりすることで、磁石の耐熱性を高めた。
9.12年ごろの重希土類の価格が落ち着いた時期に、この開発の必要性を問う声が社内にあったが、貝塚は「世界で電動化が加速しているのは事実。開発で重要なのは、経営の選択肢を増やしておくこと。近視眼的なコストだけではなく、環境負荷や資源偏在を考えれば重希土類をフリーにすることがリスク軽減になる」と言い切る。
10.昨年には、「1モーター(小出力)のフリードに続き、2モーター(大出力)のHV「インサイト」にも新モーターを搭載。矢継ぎ早の展開に、競合メーカーのエンジニアも「先を越されたと思った」と打ち明ける。「将来的には、自動車で培ったモーター技術を家電などで社会に広く普及させたい」。自動車メーカーの枠にとらわれない貝塚の自由な発想が、新たなシーズを生むきっかけになるかもしれない。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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