2019年05月09日

独裁専横で国民を殺し、自分の親族、兄さえ殺した金正恩と統一大統領が、仲良く机を並べて仕事ができるとは思えない。韓国の繁栄を目にすれば、北朝鮮の人々は金王朝の嘘に気づく。


「大前研一著:トランプと金正恩、お粗末な会談の裏側、PRESIDENT、2019.4.29」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.2月末にベトナム・ハノイで行われた2度目の米朝首脳会談は決裂に終わった。双方ともに合意文書を用意して協議に臨んだが、結局は北朝鮮が求める「制裁解除」とアメリカが求める「完全非核化」で交渉が折り合わなかった。金正恩委員長はすでに一部の稼働が停止している核施設を廃棄する見返りとして経済制裁の解除を求めたと思われる。しかしアメリカは北朝鮮にある300カ所以上の核関連施設の所在をほとんど調べ上げていて、トランプ大統領はそれを示しながら核関連施設のリスト提出と全施設の廃棄、さらには生物兵器や化学兵器、長距離弾道ミサイルの放棄まで要求したという。
2.金委員長としては「完全非核化=交渉力ードを失って丸裸になる」ことを意味するから絶対に応じられない。一方のトランプ大統領からすれば、寧辺の核関連施設の廃棄だけでは制裁解除の条件に足りない。「北朝鮮は制裁の全面解除を求めてきた」というトランプ大統領の説明に対して、「要求したのは全面解除ではなく、民生分野の解除のみ」と北朝鮮側は反論した。
3.民生分野の制裁を解除しても北朝鮮に流れ込む物資はまともに国民の元には届かない。これまで同様、軍が奪い取るだろうから、制裁がなし崩しになるような一部解除もありえない。なぜ会談は決裂したかは、当事者同士の交渉能力の欠如が問題の中核であった。企業のM&A交渉などはまさにそうなのだが、交渉事というのは本来、互いに要求をぶつけ合いながら、それでも物別れにならないように首の皮一枚で合意点を見出そうとするものである。[But][However][on the other hand]などと言いながらなどと言いながら協議を重ねていく。そういうニュアンスまで含めた交渉をする器量が2人の首脳にはない。自分が用意していた合意内容に一本調予でこだわって、「受け入れられないならサインも昼飯もなしだ」と席を立ってしまった。トランプ大統領が知っているのは不動産ビジネスの世界だけ。不動産屋というのはディールベースで売るか買うか、オール・オァ・ナッシングの判断しかしない。
4.ホワイトハウスでも自分を肖定してくれる取り巻きの中でしか仕事をしたことがない。一方、30代の金委員長も複雑な議論をした経験がない。何しろ周りを自分の命令に従う人間ばかりで固めて、意に沿わない人間は排除してきた。そんな2人の話し合いが、たやすくまとまるはずがない。シンガポールでの最初の米朝首脳会談は世界が注目する中でパグしたり、シェイクハンドするスタンドプレーが、両者にとって大事だったから、それでよかった。シンガポール会談の合意が何の意味もなかったことは、その後何一つ動かない進捗状況が物譜っている。事務レベルの協議不足を指摘する声もあるが、2度目の会談に向けてのじ事前協議は何度も行われていた。しかし、会談の命題は何か、どこでどういう妥協をするのか、事務レベルの担当者は各々のトップが何を考えているかわからないから話がまとまらない。結局は成り行き任せのトップダウン交渉となって、決裂した。
5.国と国との交渉、つまり外交は「次の次」を考えることが非常に重要である。日ロ交渉では「日本が第二次大戦の結果を受け入れることが交渉の大前提」とか「日本の領土でもないのに『北方領土』とか『返還』という言葉は使うな」などとロシア側は圧力をかけているが、基本的には「平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を日本に引き渡す」という1956年の日ソ共同宣言をベースに交渉を進めることで両国は合意している。となると次は「日ロ平和条約」で、「次の次」は2島返還ということになる。
6.2島返還については、施政権は渡すけれどロシアの軍政は維持するという沖縄方式を求めてくる可能性が高い。日本に戻った2島にすぐさま米軍が駐留するようでは、ロシア国内で批判が高まってプーチン政権が持たない。さて、めでたく平和条約を締結して2島返還にこぎ着けたとしても、施政権はあっても、軍事権はロシアが握ったまま。そんな島を返してもらってどうするのかとなる。菌舞群島はほとんど人が住んでいないが、色丹島には約2000人のロシア人が暮らしている。先住の彼らがそのまま暮らせるように保障する、場合によっては希望者に永住権や日本国籍を与えるくらいのオプションを用意しなければ、住民が反対して返還は実現しないだろう。とはいえ、ロシア語しかわからない2000人ほどの島民付きで施政権を返してもらって、何の施政をするのか疑問である。
7.日本人が2000人ぐらい移住して島民の半分が日本人になるなら施政の意味もある。しかし、わずかに残っている日本人の元島民は皆ゆうに80歳を超えていて、2世、3世を含めて自由に墓参りはしたいと思っても、住みたいと思っている人はほとんどいないだろう。結局、在留ロシア人の要望を受けて病院や学校を造り、マイナンバーを与えて健康保険や年金にも加入させることになれば国中から貧しいロシア人が押し寄せてくる。そこに強面のロシア軍も駐留している。
8.観光や漁業権といった経済的メリットもない。観光資源が豊富なのは択捉島で、漁場が豊かなのは国後島の南側にある黄金の三角水域である。「次」の日ロ平和条約には意味がある。ロシア産の天然ガスや電気を日本に直接引き込めるようになれば、エネルギー問題だけでも多大なプラスが見込める。しかし、「次の次」にはメリットがほとんどない。自由に渡航したいなら、かつてのサイパンのような国連の信託統治でいいではないかという考え方もある。国益と領土問題の難しさを考慮すれば、「次の次」よりも「次」の平和条約交渉に力点を置くべしという判断も出てくる。
9.米朝の交渉も朝鮮半島情勢の「次」や「次の次」の絵を描くと行方が見えてくる。「次」は朝鮮戦争の終結であり、平和条約の締結。「次の次」は南北統一ということになる。そこで統一コリアの統治機構は、USA方式、UK方式、UAE方式などモデルはいろいろあるが、シンプルに北と南の代表から統一大統領を選ぶ形になるとすれば、南は選挙で文在寅のような代表が選ばれる。北は金王朝だから代表は金正恩しかいない。候補になりうる人材はすでに殺されるか粛清されている。さらに民主的な選挙で一人の大統領を選挙で選ぶとなれば、人口比で優位な南から選ばれるに決まっている。しかし、たとえば文在寅が統一大統領で金正恩が副大統領という統治体制がありうるか? 
10.独裁専横で国民を殺し、自分の親族、兄さえ殺した金正恩と統一大統領が、仲良く机を並べて仕事ができるとは思えない。それに南北の行き来が自由になって韓国の繁栄を目にすれば、北朝鮮の人々は金王朝の嘘に気づく。恨み骨髄で「生かしておけない」ということになれば、ルーマニアのチャウシェスク元大統領と同じ運命をたどることになる。11.米朝協議の当事者はこうした「次の次」を誰も考えていない。ただ一人、金委員長だけが自らの末路を正しく見通していた。だからシンガポール会談の事前協議でも、金王朝の体制保証を必死に求めた。韓国の文在寅大統領は朝鮮戦争を終結させ、平和条約まで持っていきたいという。そこまでは老えやすい。平和条約が結ばれて米軍が韓国に駐留する理由がなくなれば、北朝鮮も武装解除しやすくなる。最高権力者である金委員長のグリップも利く。ところが平和条約の先、つまり「次の次」には金委員長の居場所はなくなる。文在寅大統領がそこまで考えて南北統一に執着しているならたいした策士である。
12.しかし、彼は次のフェーズのことしか念頭にないだろう。近い将来、当事者能力を失うことが明らかなリーダーと重要な交渉をまともにやる意味はない。交渉を急がなくても金王朝はどのみち自減するし、トランプ政権の行く末も微妙である。ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官からすれば、大統領がいつものスタンドプレーで適当な愛協をするほうが困るので、会談決裂は「大歓迎」である。
13.米朝会議決裂後、北朝鮮が核実験やミサイル実験を再開するという見方も出たが、それはない。「俺のおかげで核やミサイルの脅威はやんだ」というトランプ大統領の思い込みが、米朝会談の最大の拠り所であり、トランプ再選の推進力である。核実験やミサイル発射実験を再開すれば、アメリカが金委員長を標的に攻撃する「鼻血作戦」を実行に移す公算は大きい。当人がそれを一番わかっている。「体制保証」という意味不明のフレーズも、こう考えるとかなり明確に見えてくる。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
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(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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