2019年05月11日

ファーウェイは中国政府の戦略的産業としている。中国共産党はこの領域で、保護貿易や低金利の貸し付け、税・補助金の制度、外交的サポートで独占状態を保証している。

週刊東洋経済 2019年4/20号 [雑誌]
週刊東洋経済編集部
東洋経済新報社
2019-04-15

「杉本りうこ(本誌)著:ファーウエイ巨大帝国の光と闇、週刊東洋経済、2019.4.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「米政府は負け犬の振る舞いをしている。競争では勝てないからといって、われわれを不当に打ちのめそうとしているのだ」。通信設備の世界大手、中国ファーウェイ(華為技術)の郭平・輪番会長は3月29日、中国・深圳で開いた決算発表会見で挑発的に言った。
2.米政府は咋夏からファーウェイに対する制裁方針を鮮明にしている。他国でもファーウェイ製品の採用を見合わせる動きが官民に広がった。そうした逆風にもかかわらず、ファーウェイの2018年の叢績は売上高が前年比19%増の11・6兆円、純利益は同25%増の9577億円と増収増益を守った。2月には折り畳み型スマートフォンを発表し、開発力の高さも誇示した。
3.会見の席で米国を挑発してみせたファーウェイ経営陣には、未曾有の経営危機を迎えつつあるという自覚があるはずである。18年は増収増益だった、一方で、稼いだお金の実額を示す営業キャッシュフローが2割強減っている。過去5年間になかった大きな減少幅で、在庫が急増していることが要因である。懸念される事態に備えて、部材の確保に走ったのだろう。懸念される事態とは、米政府がファーウエイ制裁に踏み切ることである。
4.「国家安全保障上の米国の利益を保護するため、省庁間で力を合わせ、ファーウェイに対し確実に制裁拮置を実行していく」。1月、米司法省はファーウェイと関連会社、創業者・任正非氏の実娘である孟晩舟副会長を対イラン不正取引などで起訴。この会見に出た商務省のウィルバー・ロス長官はこう宣戦布告した。ロス長官が示唆する制裁措置とは、米国からファーウエイを追い出すだけでなく、世界の企業にもファーウェイとの取引を見直させる力を持つもの。現実になれば、ファーウェイは部品・材料を国外から買いにくくなる、現状、相当程度の部品・材料を海外に依存している以上、製品が米国などに売れないことよりも、部品・材料を買えないほうが企業存亡の危機に直結する。だから今、在庫を積み増す動機が十分ある。
5.米国がファーウェイを制裁する手段は、主に3つある。1つ目は18年8月制定の2019年国防権限法〔NDAA2019〕に基づく、政府調達からの排除である。国防権限法は、ファーウェイやZTE〔中興通訊}など中国ハイテク5社を、安全保障を脅かす企業と指定、政府はこれら5社から製品・サービスを購入しない方針である。さらに20年夏以降には、5社の製品・サービスを利用している企業や団体も政府調達から排除する。しかも政府と直接取引する1次サプライヤーだけでなく、そこに製晶を提供する2次、3次サプライヤーも対象と想定される。例えば、「米政府と取引するコンピューターメーカーに電子部品を供給している日本の製造業が、社内の通信ネットワークにファーウェイ製の機器を使っていた」場合は、この日本企業も排除の対象になる。
6.運用次第では幅広い企業が打撃を受けかねないため、5月中旬にまとまるとされる細則が注視されている、細則が厳格なら、日本を含む各国には「米政府関連の取引を選ぶか、ファーウェイとのビジネスを取るか」の選択を迫られる企業が続出する。
7.2つ目は、国防権限法に盛り込まれる形で新たに成立した、輸出管理改革法(ECRA)による技術輸出の制限措置である。AI(人工知能〕やロボティクス、先端素材などとくに重要な技術をリストで指定し、安全保障上の懸念がある先への提供を規制する内容である。この措置の「破壊力」は、米国からの直接輸出だけでなく、他国を経由した再輸出もコントロールできる点にある。例えば日本企業が国内拠点でファーウェイのような「懸念先」と共同開発を行っていた場合、開発現場が日本でも、懸念先に技術を輸出したとみなされる。その日本企業に対しても懸念先同様、米国の指定技術の供与が制限されるため、やはり「米国と付き合うのか、中国の懸念企業を取るのか」の判断が迫られる。
8.これら2つの制裁は、どちらもまだ発動しておらず、運用ルールの発表が目下の注目点である。これに対し、3つ目の商務省輸出管理規則(EAR〕に基づく禁輸措置はすでにある制裁の枠組みである。。いつ発動してもおかしくない。
制裁を下す条件はすでに整つている輸出管理規則はデュアルユース品目と呼ばれる軍需・民需双方に使える技術・製品を、懸念先に輸出されないよう制限する仕組みである。昨年、ファーウェイに先立ちZTEがこの規則による禁輸措置を受けている。商務省の管轄当局がZTEへの制裁を発表したところ、インテルやマイクロソフトなど米国ハイテク大手がZTEとの取引を即日凍結し、その結果、ZTEは多くの製品の生産・販売の活動停止に追い込まれている。また輸出管理改革法と同様、日本や各国を経由した再輸出も対象である。違反した海外企業は、米国での貿易権限が剥奪される。事実上、米国市場から締め出される。
9.この制裁は、米政府が恣意的に運用できる余地が大きい。実際に安全保障を脅かす行為がなくても、「懸念がある」と合理的に主張できれば発動できる。企業の海外法務に詳しい柳田国際法律事務所の柳田一宏弁護士は、「一般論でいえぱ、1月に司法省が起訴した時点で、輸出管理規則の制裁をファーウェイが受ける条件はすでに整っている」と指摘している。
10.3つの制裁手段はどれも、米国内の法律・制度である。それが他国の行動まで制約することは、国際法の観点では大きな問題がある。だが少なくとも既存の輸出管理規則について、日本を含む先進国はこれまで、米国に協調してきた。米国市場から締め出されれば、多くの企業が存亡の危機に瀕するためである。米国市場を手放してまで付き合いたい取引相手など、そうないだろう。
11.米国はここまでファーウェイたたきにこだわる理由は、巷問で指摘されるサイバースパイ疑惑については、それを証明する事実が米図や他国から示されたことはなく、現状では懸念にとどまる。この疑惑よりも揺るがぬ論点は、ファーウェイがナショナル・チャンピオン、つまり政府の庇護の下に市場を寡占する企業という点であだ。18年4月、米連邦議会の超党派諮問機関である米中経済安全保障調査委員会は、報告書「米連邦政府の情報通信技術サプライチェーンにおける中国による脆弱性」を発表した。この中には、米政府のIT調達に関わっており、なおかつ安全保障上の不安をはらむ「中国の懸念企業」が15社挙げられている。これらの企業の大半は、人民解放軍を大口取引先とする軍需企業や、政府系の資本が入る国有企業である。
12.ここで名前が挙がったファーウェイは民間企業だが、報告書は次のように指摘している。「(ファーウェイは〕中国政府が定める戦略的産業を事業領域としている。中国共産党はこういった領域で、保護貿易や低金利の貸し付け、税・補助金の制度、海外市場における外交的サポートといった方法で自国を代表する企業に独占状態を保証している。こういった領城で共産党政権の支援と承認なしに成長することは不可能である」。
13.世界の通信設備・機器市場における躍進は政府の支援があって初めて実現したもので、ファーウェイはその恩義への対価として、政府の戦略に沿って事業活動を行う、という論法である。しかもその企業が、米国でもいよいよインフラ整備が本格化する5G(第5世代)通信で技術的アドバンテージを握っているとなると、「今排除しなければ取り返しがつかない」という意識がいっそう高まる。
14.米国の歴代政権はこれまで、中国の自由化・民主化に積極的に関わる「エンゲージメント政策」を堅持してきたが、今、米国の政治家の多くは、もっと強硬な政策に転換すべきと考えている。合弁の強要といった手段で先進技術を強引に吸収し、米国の経済覇権を脅かす中国。世界貿易機関に迎え入れたことすら失敗であり、修正するのは今しかないこの中国観がある限り、ファーウェイへの何らかの制裁を米国が諦めることはない。
15.現在のところ、海外各国は必ずしも米国の姿勢に同調してはいない。だが米国が実際に制裁に乗り山した場合、それを無視することも難しいはずである。日本のある電機メーカーは1月、緊急の社内通達を出した。「ファーウェイおよびファーウェイの関連会社と取引がないか、至急確認してください。対象法人との間の販売・調達品について、代替品を探すなどの対応を適宜検討してください」。このメーカーにとってファーウェイは大口取引先だったが、米国発のきな臭い空気が漂う中、経営リスクだと認識し始めた。米国と中国の巨大企業の間で、日本はどう振る舞うべきか。戦略が問われている。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
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 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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