2019年05月24日

献血に頼らず、輸血.医療に大きく貢献する成果。細胞は細胞からしか生まれない。合成生物学は、工学系とのコラボレーションが鍵となる。


「大隅典子著:人体の修理屋の血小板、乱流の活用で大量産生に光、週刊ダイヤモンド、2019.4.20」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.人体に不可欠な修理屋の血小板だが、これまで人工的に増やすことは困難だっが、昨年、日本人研究.者の活躍で、大量産生の見通しが立った、血小板は約2μmのサイズで、
赤血球や白血球よりもずっと小さい。ただし、数は多く、1mLの血中に1.5億〜4億個も含まれている。
2、けがをしたときが血小板の出番である。まず傷口では、血管内皮細胞という細胞の刺激によって.血小板の表面に「細胞接着分子」という糖タンパク質が現れる。この細胞接着分子は"のり"のような役目を果たすので、血小板細胞は傷ついた血管内皮にくっつき、さらに血小板同士が集まって塊となって傷口をふさぐ。これが止血の第一段階である。
3、続いて第2段階では、血液凝岡因子と呼ばれるタンパク質が放出され、血液中に存在する「フィブリン」という線維状タンパク質が凝固する。さらに、血小板だけでなく赤血球なども引っ掛かって、「止血栓」となる。つまり、傷口にできる痂皮(かさぶた)は、血小板やフィプリン、赤血球などの塊が乾いた状態となったものである。
4.血小板数の減少や機能低下によって血液凝岡は阻害される。このような患者では、あざができやすいので「紫斑病」という病名が付き、治療には血小板を輸血する必要がある。血小板製剤は、献血により得られた血液から、血小板成分を分離して作られるが、献血の量が足りず、慢性的に不足状態にあることが問題となっている。
5.そもそも体内で血小板はどのように作られるのか? 実は血小板は「巨核球」という血液細胞の「細胞質」の部分がちぎれてできる。巨核球は、最大で'直径100μmにもなる巨大な細胞で、成熟するにつれて巨大な核を有する。この細胞の小さな断片が血小板である。
6..従って、血小板には普通の細胞が有する「核」が存在しない。1個の巨核球からは、数千個もの血小板が生まれる。現在の最先端のバイオテクノロジーでも、細胞そのものを合成することは不可能である。何らかの細胞を人工的に作るには、何らかの細胞を基にして作るしかない。効率よく血小板を作るのは、寒都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らがチャレンジし、多能性幹細胞であるヒト・lPS細胞から効率よく血小板を産生する方法を開発した。
7.江藤教授らはまず2010年にヒトiPS細胞から直接、血小板を作る方法を発表した。画期的な発見だったが、あくまで実験室で血小板が作れることを示したもので、大量に血小板が必要な医療応耶には程遠い段階だった。そこで作戦を変史し、血小板の前段階である巨核球を・lPS細胞から作ることにした。この研究のポイントは、自己増殖が可能な巨核球を作り出すことにある。生体内では、巨核球は血液幹細胞から供給され続ける。
8.14年、江藤教授らは自律的に増殖して自分と同じ巨核球を生み出すことに成功した。つまり、毎回・lPS細胞から血小板を作るのではなく、中間段階の巨核球を大.量に産生できる条件を確疏したことは大きな前進である。しかも、巨核球からであれば5日程度で血小板を産生できる。iPS細胞から直接血小板を作るには1カ月近くの時間がかかっていたことと比べ、はるかに時聞短縮が可能になった。
9.だが、医療応用に向けてまたしても難題が立ちはだかる。それはスケールアップの問題である。輸血に必.要な血小板の量は数十億個と見積もられている。江藤教授らは自己複製可能な巨核球を用いることで、10mL.の培養液で、1mL当たり200.万〜400万個の血小板を作製できるようになった。理論上は10Lの培養液があれば200億個の血小板を産生できるはずだった。
10.ところが、事はそう単純ではなく、単に大きなバイオリアクター(培養装置)を作ってスケールアップしても、予測ほど血小板を大量産生できなかった。そこで、江藤教授らは科学者としての原点に立ち返ることにした。つまり、血小板が生体内でどのような環境で作られるかを、注意深く観察することにした。
11.まず、生きたマウスの頭蓋骨の骨髄を観察できる特殊な顕微鏡を開発し、血小板が巨核球からちぎれる様予をリアルタイムに捉えることに成功した。その際、血流の方向と流量をコンピューターで解析すると、血小板がちぎれるには「乱流」が重要であることを突きとめた。
12.乱流とは、速度や圧力などが不規則に変動する流れで、川の流れや煙突から立ち上る煙などを想像すればよい。培養装置の中でうまく乱流を発生させられれば、大量の血小板を産生できる。江藤教授らは工学系の研究.著と協働し、円筒形の培養装置に、斜めに配したプレードを組み合わせることで、血小板の産生に最適な乱流を生.み出す条件を突き止めた。その結果、8Lの装置で.巨核球細胞株を培養し、ついに約1000億個もの血小板を産生することに成功した。
13.この成果は18年7月に米科学誌「セル」で発表され、世界的に注目されている。将来的には、献血に頼らず血小板製剤を安定供給できる点で、輸血.医療に大きく貢献するものといえる成果である。細胞は細胞からしか生まれない。生命科学研究者の合成生物学へのチャレンジは続いているが、工学系とのコラボレーションが今後の鍵となると筆者は考える。


yuji5327 at 06:27 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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