2019年06月13日

イチロー選手が、「自分のバッティングに影響するため、下手な人のバッティングは見たくない」と言った。自身の動作に影響を受ける。

「藤田一郎(大阪大学教授):ヒトや動物が生まれつき持つ光の点から動きを検出する力、週刊ダイヤモンド、 2019.5.11」は面白い、概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.面接などにおいて相手の顔を見て話すことは重要であるとよくいわれる。目と目のコンタクトをしっかり取ることが有能さや誠実さといった好印象を与えるからである。これに加えて、あまり語られることのない注点がもう一つある。
2.私たちは、思っている以上に他者の動作に敏感である。他者の振る舞いのほんのわずかな変化を見ることで相手の意図や感情を読み取り、自分の次の行動や相手とのコミュニケーションに役立てている。これは.時に無意識のうちになされる。
3.ヒトがこのような能力を持つことは、グナール・ヨハンソン博士初めて示した。彼は、主要な関節に豆電球を取り付けた人物に暗闇の中でさまざまな動作をしてもらい動画を撮影した。この動画は、黒の背景に十数個のドットが動いているだけだが、それを見ると人物の動作がビビッドに感じられる。歩いているのか、走っているのか、ダンスをしているのかがはっきりと分かる。
4.ほんの十数個のドットの中に動作に関する情報が含まれている。その情報は想像以上にリッチである。私たちは、このような動画から動作の種類だけではなく、人物がどちらに向かって歩いているか、自分なのか他者なのか、男性か女性かが分かり、場合によっては感情まで読み取ることができる。この能力は「バイオロジカルモーション知覚」と呼ばれる。
5.十数個のドットから成るこの刺激は容易にかつ厳密に操作ができるという利点があり、それを利用して魅力的に見える動作はどのようなものかも研究されている。得られた結論の一つは、「速く歩く人は魅力的に見える」ということである。面接の話に戻ると、面接者が志願者から受ける印象は、志願者が人室して着席するまでの間にすでに形成され始めていることを意味している。のろのろ、もたもた歩くよりも、すたすたと席まで歩くことが大事である。
6、バイオロジカルモーションを示す刺激には、ドット集団が織り成す形の変化と、ドットの動きそのものの二つの要索が含まれている。これらの情報は、運動前野、側頭葉上部、縁上回など大脳皮質の複数の場所が処理.している。加えて、間脳の一部である視床でも処理されていることが、香港大学のドリータ・チャン教授、脳情報通信融合研究センターの番浩志研究.員らの最近の研究により明らかになってきた。
7.バイオロジカルモーション刺激が持つ動きの要素のうちでも特に大事なのは、ドットとドットの間の相対的な関係である。例えば、腕を振って歩いているとき、手首の関節は肘の関節に対して振り子運動をしている。私たちの視覚系はこのような相対運動を検出している。相対運動を検出する仕組みは、他者の動作を読み取るときだけではなく、他の物体の動きの知覚にも使われている。その良い例は、自転車の車輪に貼った小さなシールが回って動いて見えることだ。実際にはシールはサイクロイドと呼ばれる軌道に沿って動いている。
8.サイクロイド軌道は、平行移動〔自転車の進行方向への移動)と回転運動(車輪の回転方向の移動〕の組み合わせで生.じている。シールは空問の中ではサイクロイド軌道に沿って動くが、平輪中央のハブに対してはその周辺を回る回転運動をしている。脳は、後者の運動すなわちシールのハブに対する相対運動を計算しているのだ。
9.バイオロジカルモーション知覚は、ヒトだけでなく、サルやネコやハトも持っている。ジョルジオ・ヴァロルティガーラ博上は暗室で育てたひよこに、親烏が歩く様子を示す刺激と対照刺激(ドットの位置をスクランブルした刺激Vを見せて、どちらに歩み寄るかを調べた。ひよこはこのテストを行うまで視覚経験がないにもかかわらず、前者の刺激を示す映像の方へ近づいていった。
10.同様に、生まれて2日目のヒトの赤ちゃんがバイオロジカルモーション知覚を持つ.ことも実験的に確かめられている。ヒトでもニワトリでも.バイオロジカルモーション知覚は生まれつき備わっている。
11.他者の動作を知覚し現解する能力は、学習や経験の影響を受ける。スポーツやダンスの経験者は、自分の専門種目の動作に人並み外れた鋭い感受性を持つ。自身の経験によって、他者の動作の観察が精密になる。また、その逆に他者の動作を感じることが自身の動作に影響を及ぼすこともある。
12.池上剛博士とゴウリシャンカー・ガネッシュ博上は、ダーツのエキスパートに素人がダーツをしている映像を見せ、標的のどこに命中するかを予測してもらった。予測のたびに正解を伝えると、エキスパートはやがて素人のパフォーマンスを正確に予測できるようになる。驚くべきことは、そのようになったとき、エキスパート本人のダーツの命中率が落ちてしまう。ところが同じような映像を見せながら、予測が合っていたかどうかの正解を伝えないという実験を行うと、エキスパートは素人のパフォーマンスを予測することができるようにならず、自身のダーツの成績は高いレベルが保たれていた。
13.つまり、最初の実験でエキスパート自身の命中率が下がってしまつたのは、素人の下手な動作を見たこと自体が原因ではない。そのことが原因であるならば、2番目の実験でも自身のダーツの成績は下がるはずだからである。この実験結果は、他者の動作の結果を予測する仕組みと、自分の動作の結果を予測し、動作を正しく実現する仕組みが脳の中で共有されていることを示唆している。
14.かつて、ある新聞記事の中で野球のイチロー選手が、「自分のバッティングに影響するため、下手な人のバッティングは見たくない」と語っていた。他者の動作を見て、どういうスイングをすると打球はどのように飛ぶかを真剣に検討する選手ほど、自身の運動の予測シミユレーション、動作の実行が影響を受けてしまうのである。イチロー選手はそのことを実感していたのか興味ある。



yuji5327 at 06:48 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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