2019年06月21日

高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、中間貯蔵施設の候補地すら見つからない。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。


「風間直樹著:安全性も必要性も乏しい破綻状態の核燃料サイクル、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「お願いした確認事項に対する追加説明は、求めたものと違っている。再度説明をお願いしたい」。と原子力規制委員会の核燃料施設の審査を担当する田中委員はH本原燃の説明内容への不満とし、審査を継続することを告げた。国策として進められる原子力発電の核燃料サイクル政策。中核となる日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村〕の安全審査の先行きに不透明感が増している。
2.再処理工場は、原発で発生した使用済み核燃料を解体し化学処理することで、核物質であるウランとプルトニウムを取り出す施設である。両者を混ぜてウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工し、原発で利用する仕組みを核燃料サイクルという。
3.ウラン資源の有効活用につながるとして、六ヶ所再処理工場は1993年に建設が始まっていたが、相次ぐ施工不良の発覚、技術的なトラブル、福島原発事故後に強化された新規制基準への対応などで、20回以上も竣工時期を延期している。運営する日本原燃は現在、再処理工場は2021年度上期の竣工、同じ敷地に建設中のMOX燃料工場は22年度上期の竣工を目指している。ただし両工場の竣工は規制委の審査に合格することが条件である。再処理工場の審査は申請から5年以上が過ぎ、今年3月末には審査書案が了承され、合格が内定するとみられていたが、その草案が公開されると、委員から多くの論点で追加説明を求める指摘があり、審査会合が再開されることになった。
4.原子力規制庁幹部も、今までの説明を繰り返すようでは、もっと時間がかかる、と話している。委員からは航空機落下の影響や活断層評価など、広範な論点が提起されている。
再処理工場など核燃料サイクルの施設には、安全性に関わるこれらの論点について、規制委以外の専門家からも懸念の声が上がる。4月9日、航空自衛隊「沢基地の最新鋭ステルス機F35Aが青森県沖に墜落した。再処理工場の南約10キ。瞬地点には三沢基地の訓練区域があり、自衛隊機、米軍機が訓練を行っている。日本はF35Aを次期の主力戦闘機としている。日本原燃はこうした航空機落ドについて、総重量20tの戦闘機が150m/sの速度で再処理工場に衝突しても、建屋.の損壊は免れると主張するが、それ以上の重量や速度での影響は評価されてない。
5.東芝で原子炉格納容器の設計グループ長を務めた後藤政志氏のは、150m/sの衝突速度でも総重量が30tに至れば全体が破壊される危険性があるという。墜落したF35Aの最大離陸重.量は30t強である。「六ヶ所村の核燃料サイクル施設は、活断層の上に建てられているようなもの」と話すのは、東洋大学の渡辺満久教授〔変動地形学)である。施設の一部にかつて十和田カルデラからの火砕流が到達したことも確認されている。
6.仮にこうした安全性の論点をクリアし、審査に合格したとしても、そのための補強工事を実際に行う必要がある。再処理工場は06年に使用済み核燃料を用いてプルトニウムを抽出するアクティブ試験に着手しており、内部はすでに広い範囲が放射性物質で汚染され、人間は立ち入れない。補強工事の難しさは通常の原発の比ではない、と市民団体代表浅石紘爾弁護士は話している。
7.安全性へのさまざまな懸念に加え、核燃料サイクルの必要性についても、建設開始当初とは状況が大きく異なっている。当初の構想では、発電しながら消費した以上の燃料を生み出す高速増殖炉が本命視されており、ウラン資源の飛躍的な利用効率向上につながると語られてきた。しかし国は16年末に高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決定。MOX燃科で発電するプルサーマル炉の原発も、稼働は現在4基で、ウラン燃料よりはるかに高コストで経済的合理性はない。
8.日本はすでに国内外に47tのブルトニウムを保有している。日本は日米原子力協定により例外的に再処理を認められた非核保有国だが、プルトニウムは核兵器の材料にもなり、余剰については海外から厳しい視線が注がれている。
9.原子力委員会は従来の方針を転換し、保有量が現在の水準を超えることがないように再処理認可を行うと決定した。つまり現在のようなプルトニウムの余剰が続く限り、事実上再処理.工場は動かせないことになる。
10.安全性への懸念に加え、時代の変化で必要性も失われた核燃料サイクルだが、政府や原子力事業者はその旗を降ろしていない。むしろ施設が集中する青森県内の自治体への関与を、より深めている。3月末、東通村が東北電力からの4億円に続き、東京電力ホールディングスから2億円の寄付を受けることが明らかになった。また、むつ市は市内に立地する使用済み核燃料中間貯蔵施設に関連し、国から10億円の新交付金を受けることになった。両市村は原子力施設の稼働による固定資産税収入などを見込んで事業を進めてきたが、福島事故以米、再稼働や工事再開のメドが立っていない。
11.原子力施設の立地するむつ市、大間町、六ヶ所村、東通村の4市町村長は2月、世耕弘成経済産業相と面会し財政支援描置を要望。前述の計16億円の寄付・新交付金につながった。原発や核燃料サイクル施設の立地に伴う電源三法交付金や核燃料物質等取扱税(核燃料税)、そして固定資産税や寄付金。こうした「核燃マネー」は、財政基盤が弱い自治体にとって、もはや欠かせない。青森県内への電源三法交付金は、開始から総額で3300億円を超える。その典型が核燃料サイクル施設の集中する六ヶ所村である。村内にある文化交流プラザ「スワニー」の大ホールで開催されるコンサートには著名なアーティストが招かれ、併設する村民図書館には約5・5万冊の蔵書がある。同施設の総事業費33億円のほとんどは電源三法交付金で賄われた。
12.人口約1万人の同村への交付金総額は600億円に上る。六ヶ所村は国策に翻弄され続けてきたと、村内で長らく反核燃活動を続ける種市信雄氏(84)は言う。大規模な工業地帯開発計画が頓挫して村が荒廃した80年代前半に、突如浮上したのが核燃料サイクル計画だった。村を二分する対立がしばらく続いたが、89年の村長選挙で開発「凍結」を掲げて当選した村長が就任後に推進へ転じたのを機に、反対派は激減した。「今では周囲でも8割ぐらいは身内に日本原燃の仕事の関係者がいる。村内で核燃料サイクル反対を公言できるのは数人しかいない」と種市氏は言う。
13.日本原燃は社員の約6割を青森県内出身者が占める。昨年の村長選でも、核燃料サイクルの推進を唱える現職が約95%の得票率で反対派候補を圧倒した。県内の他立地自治体も事情は同じで、経産相と面会した4市町村長の要望書には「核燃料サイクルの推進」と明記されていた。下北半島に深く浸透した核燃マネーは今、県都の青森市へ向かう。
14.日本原燃は核燃料サイクルのPRを行う情報センターを青森市内に移転開設した。移転先は東奥日報新町ビルである。県紙・東奥日報を発行する東奥日報社が、創刊130周年事業として建設した5階建てのビルには、情報センターが2階の一角を占めるほか、5階、4階には日本原燃とその関連会社が入る。青森市内には17年に中部電力、18年には東電、関西電力が相次いで事務処理などのサポート拠点を設立。地元出身者の採用など雇用への貢献をアビールしている。さらに東電は、19年度上期中に青森事業本部を設置し核燃料サイクル事業を最大限支援するとしている。
15.核燃料サイクルの見通しが立たない中でも、国や事業者が地元貢献をアピールする背景には、「使用済み核燃料の行き場さえ確保できれば、当面はそれでいいという本音がある」と元青森市長の鹿内博氏はみる。原発の再稼働が進む電力会社では、使用済み核燃料の保管場所の確保が懸案となっている。六ヶ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールはすでに満杯である。
16.電気事業連合会によれば、3月末時点で各原発の使用済み燃料貯蔵量も管理容量の7割を超える。保管場所の確保は原発稼働の必須条件である。中でも再稼働で先行する関電は原発によっては管理容量の8割に至っている。立地する福井県には県外で中間貯蔵地を選定すると約束しているが、昨年末の期限を越えても見つからない。東電などが手がけるむつ市の中間貯蔵施設の共同利用の検討も報じられた。
17.高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、青森県外では中間貯蔵施設の候補地すら見つからないのが現状である。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。だから六ヶ所はずっと"試運転〃をしていればいい。動くと言い続けないと、原子力の神話が崩れてしまう、と自民党の大物幹部(故人)がかつて語っていたとおりのシナリオで進みつつある。
18.六ヶ所村の核燃料サイクル施設を中心に、青森県に核のゴミをすべて押し付ける。最終処分とは決して言わないが、事実上の「永久の中間貯蔵」として。原発がこうした壮大な国家的フィクションの上に乗っている限り、脱炭素化のための中核電源と位置づけられることはない。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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・謙慎展(現在理事)
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