2019年06月28日

5Gを活用した安全で快適な自動運転の実現に向けた動きは加速する。メーカーや通信会社やIT企業ど、開発競争が熾烈になる。


「森川郁子著:隊列走行、無人走行、AR自動運転がもたらす新世界、週刊東洋経済、2019.5.25」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.渋滞や交通事故を劇的に減少させると期待されている自動運転車は、今や自動車メーカーだけでなく、さまざまなベンチャーや大学の研究室などが開発に取り組んでいる。自動運転の実現に向けて、5Gは重要な技術である。高速大容量通信が可能になることから、自車の位置を正確に認識し、交通状況に応じた運転を行うために必要な高精度の3次元の地図をリアルタイムで受け取り、車に搭載されたセンサーやカメラなどの情報をサーバーへ瞬時に送り返すことができるようになる。
2.4Gでは0・5〜0・6秒ほどの遅延があるため、無人車の遠隔制御の実用には対応できなかった。危険を察知してブレーキをかける指示を送信しても、車が実際に指示を受信するまでのタイムラグが生まれ、すぐに停止できず、危険を同避できない。タイムラグが4Gの10分の1程度と超低遅延の5Gならば、無人車の実用化も視野に入る。
3.5Gを使った自動運転車として、積極的な開発が進められているのがトラックである。運送業界はドライバー不足が深刻化していることから、国土交通省・経済産業省が主導し、「隊列走行」実験を行っている。隊列走行は、先頭を走るトラックをGPS〔全地球測位システム)でトラッキングして得た位置情報と、ソフトウェアから読み取る制御情報をデータ化し、後続のトラックに5Gを使った通信で即時に伝送する。後続のトラックはデータを基に、一定の車問距離を保ちながら隊列を組み、前方の車両の加減速・ハンドルの動きに合わせて走行することができる。
4.将来的に、高速道路の専用レーンを後継車が無人で走行することを想定した実験である。ポイントとなるのが車両間の通信技術である。現在は760MHz帯の電波を使った無線通信、携帯電話回線による通信、WiFi通信の3種類を併川している、.メインに使われている無線通信は車両同士の通信に適した仕様だが、周波数帯域幅が狭いという特性上、高速化は難しい。携帯電話回線は4Gの場合、遅延が大きいのが難点である。WiFiを使っても0.4〜0.5秒ほどの遅延が起こるため、時速80kmで走っている先頭者がブレーキを踏んだ場合、後続車は先頭車から10mほど余分に進んでしまい、追突するリスクが上がる。セキュリティーの信頼性が高いとはいえず、メインの通信方式には適さない。
5.隊列走行システムを開発する先進モビリティの青木啓二社長によると、5Gになれば、低遅延の特性を生かして遅延時間を縮小できる。さらに〔車車間の5Gを使った直接通信が可能になれば、基地局圏外でも通信を途切れさせず、セキュリティーも担保できる」と期待を寄せる。制御ソフトの精度やパソコンの処理速度の向上、専用レーンなどインフラの整備などが進むことで、早ければ2020年代前半ごろに実現できるという。
6.5Gを使った自動運転車を待ち望.むのは、タクシーやバス業界も同じである。無人の自動運転車を遠隔地にいるオペレーターが運用・監視し、緊急時には遠隔制御するような技術が5Gによって現実になりつつある。公道を走る複数の自動運転車を5Gの技術を使って遠隔監規する日本で初めての実験が、2月に愛知県一宮市で行われた。KDDIが主催し、高精度3次沌マップの作成を手がけるアイサンテクノロジーや自動運転のソフトゥェァを開発するベンチャーのティアフォーなど7機関が参加した。
7.自動で走行する車から500mほど離れた施設には、複数台の大きなモニターがあり、5G通信で車から基地局に伝送された映像が映される。モニター室にいるスタッフの前には、ハンドルとアクセル、ブレーキが設置されている。これは遠隔操作を行うためのものである。ただし、ティアフォーの加藤真平会長は「われわれは自動運転車の自律走行を基本にしており、遠隔制御を使うのは緊急時だけ。時速40kmまでならば、4Gでも遠隔操作できる。
8.5Gの恩恵が大きいのは遠隔制御ではなく、遠隔監視のほうである。4Gでは複数の車両から得られる大容量の動画データを瞬時に送信するのが難しく、遅延も発生するため、正確な情報が得られない。5Gを使えば、その問題が解消できる。政府も遠隔型の自動運転の実用化を後押しする。現行の道路交通法では、車1台につき必ず1人が状況を監硯できる状態になければならない。ただ3月8日に道路交通法の改正案が閣議決定された。レベル3(緊急時にはドライバーが対応する)以上の自動運転装置を使用している場合、運転中の携帯電話やカーナビゲーションなどの操作や注視を認めるようにする。この改正によって、1人で複数台の車両の遠隔監視を行えるようになる。
9.遠隔監硯や緊急時の遠隔制御サービスの提供については、既存のタクシー会社のほか、ディー・エヌ・エーなどの異業種企業も名乗りを上げている。今後は技術開発だけでなく、スタッフ1人で何台まで監視できるようにするのか、監視と制御は同じ業者が担うべきなのか、といった実際に運用していくためのルールも同時に詰めていくことが必要になる。10.自動車メーカーも、5G対応を進めている。日産自動卓で自動運転や通信領域を統括する村松寿郎コネクティドカー&サービス開発部主管は、「自動運転の性能そのものの精度を高める3D地図のデータ取得が5Gによって容易になることが大きい。そのほかにも、提供できるコンテンツが変化し乗客の体験が大きく変わる」と話す。
11.日産がNTTドコモと協力して開発している近未来のコンセブトイメージ「I2V」の実験では、AR(拡張現実)の技術を使い、3Dのパーチャルアバター(分身)を車内に出現させ、乗客とリアルダイムで会話させることに成功した。これも5Gの高速大容量、低遅延の特性を生.かした技術である。「5G通信の開通.おめでとうございます」。身に着けたARゴーグルを通じて、目の前に出現したガイド風のバーチャルアバターからそう話しかけられると、車内の乗客は驚きの声を上げ、思わず手を振った。
12.アバターの正体は、車から離れた場所にいる女性である。彼女.がアバターの動作を操っている。その動作や音声はデータ化され、クラウドトに有線でアップロードされる。そのデータを5G回線でクラウドから基地局へ、基地局から移動中の車のサーバーへと絶えず伝送し続けることで、乗客とアバターが会話できるようになる。ARの場合、周囲の風景になじませる形でアバターを登場させることができる。
13、今年3月に行われたこの実験の目的は、次世代の車のあり方を探ることである。自動運転の時代がやってくると、ドライバーが運転に費やしていた時間を別のことに使えるようになる。あるときはビデオ会議を行いながら移動する、あるときは目的地に着くまで映画やゲームの娯楽をじっくり楽しむ、といった車内での時間の過ごし方の多様化が進んでいく。現在販売されている新車のインテリアに、モニターの大画面化の傾向が見.られるのは、車内の情報娯楽の拡充を迫られているからである。
14.5Gが普及すれば、こうした機能をさらに充実させることが可能である。一般車両だけでなく無人タクシーなどのサービスカーの場合でも、安全運転のための遠隔監視だけではなく、無人の車内の様子をモニターしたり、乗客の要望に遠隔で応えたりする機能が求められるようになる。I2Vに登場する3Dアバターは、観光ガイドやさまざまな要望に対応してくれるエージエント(代理人)としての活用が期待されている。
15、一方で、5Gを使った自動運転の実用化には課題もある。1つ目は基地局の整備である。5Gは電波の飛距離が短く、4Gに比べて基地局を多く設置する必要がある。.いくら5Gのメリットが大きいといっても、電波が使えなければ絵に描いた餅である。総務省は4月10日、携帯キャリア4社に5Gの電波を割り当てたが、同省幹部によると「各キャリアの基地局の開設計画では、自動運転を実現するには数が全.然足りない」という。整備を加速させるため、同省は信号機や道路標識に基地局を設置できるように、水面下で動いている。2つ目はハードの開発である。5G通信に対応できる車載チップを各サブライヤーが開発している。KDDI主催の実証実験では、100kgほどの大型無線機を車両に搭載し、データを超高速処理していた。これが車載チップに概き換わるには、巨額の投資と2〜3年近くの時間がかかるとみられる。
16.3つ目は、乗用車同士の直接通信(車車問通信)の規格と周波数帯の国際的な標準化である。通信規格については、5GAAという自動車閲連企業の同際業界団体で協議が進められている。無線通信を使った「DSRC」と呼ばれる方式と、5Gの直接通信を使った「セルラーV2X」という方式の2つがある。日本では01年ごろからDSRCに向けて整備をしてきたが、近年は欧米や中国でセルラーV2Xのほうが高性能という意見が優勢になっている、そのため、日本はセルラーV2Xへの対応に向けた準備が必要になる。またセルラーV2Xで使う電波は、5・9GHz帯とするというのが国際的な流れになっている。だが日本の場合、5・9GHz帯はすでに放送無線システムが利用しており、どの周波数帯を使うのかは議論の最中である。
17.課題はあるものの、5Gを活用した安全で快適な自動運転の実現に向けた動きは加速する。自動車メーカーやサプライヤー、通信会社やIT企某など、多くの企業が人り乱れた開発競争が、今後ますます熾烈になる。

yuji5327 at 07:01 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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