2019年07月12日

日本の半導体産業の本当の問題は、CPUのような高度な技術を必要とされる製品に移行できなかったことである。付加価値が高いのは、DRAMではなくCPUだからである。


「野口悠紀雄著:日本の半導体産業の衰退、その根本的原因は何か?、週刊ダイヤモンド、2019..06.08」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.1980年代に、日本の半導休産業は世界のトップにあり、生産額で世界の約半分のシェアを占めた。特に重要なのが70年代から生産が始まった大型コンピューター用のDRAMの生産だった。ところが、その後、日本の立ち後れが目立つようになった。まず、DRAMはパソコン(PC)用が主になってきた。性能が低くとも価格が安いものが求められるようになり、韓国のサムスン電子は大規摸な設備投資でコストを引き下げ、シエアを拡大した。
2.他方で、アメリカのインテルは中央演算処理装置(CPU)に進出した。こうした変化に日本のメーカーは対応できず、シェアが下がった。そして、90年代後半からは、半導体メーカーの再編成が始まった。2002年11月にはNECからNECエレクトロニクスが設立され、03年4月に日立製作所と三菱電機からルネサステクノロジが設立された。10年4月にNECエレクトロニクスとルネサステクノロジとの経営統合によって、ルネサスエレクトロニクスが設立された。同社は赤字に苦しんだが、13年9月に官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)や自動車メーカーが出資した。
3.その後も成績は芳しくなく、10年に4万6000人いた従業員は、現在は約2万人にまで減っている。19年5月には、国内外の13工場で異例の長期生産停止に踏み切ると報道された。グループ従業員の5%に当たる1000人近くの希望退職を募っているといわれる。
4.他方、DRAMとは別の記憶用半導体である「フラッシュメモリー」を手掛ける東芝子会社だった東芝メモリは、米投資ファンドを中心とする日米韓連合の傘下となった。80年代後半には50%を超え、90年に49%であった日本企業の集積回路(IC)市場シェアは、17年には7%まで低下した
5.このようになった理由で、しばしば指摘されるのは、次の2点である。第1は、技術の流出である。サムスンは、高給で日本企業の技術者を引き抜き、あるいは週末に秘密裏に韓国へ呼び寄せるなどして、技術を盗んだといわれる。第2は、日本の経営者がサムスンのような大規模投資を決断できなかったことである。こうした問題は確かにあったが、それが日本の半導体産業哀退の根本的な原因だったいうのは疑問である。
6.仮に技術流出が起こらず、また日本の経営者の果敢な決断によつて、日本が低価格DRAMに舵を切れたとしても、その後の日本の半導体産業の発展に寄与したかは、2DRAMはそれほど高い技術を必要とする製品ではないので、新興国の低価格製品はいずれ生産されただろう。そうなれば、日本の半導体産業は、それらとの価格競争によって、疲弊してしまっただろう。
7.こうしたことは、その後、液晶についても起こった。液晶だけでなく、製造業の多くの分野で、製品がコモディティー化し、価格競争が激化した。日本の半導体産業の本当の問題は、CPUのような高度な技術を必要とされる製品に移行できなかったことである。なぜなら、付加価値が高いのは、DRAMではなくCPUだからである。インテルは技術力によつてCPUの生産を独占した。そして、マイクロソフトのOSとの組み合わせによって、後にウィンテル体制と呼ばれるものを築いて、PC産業を制覇した。
8.日本の半導体メーカーは、なぜCPUの生産に移行できなかったのかは、基礎開発力が十分でなかったからである。半導体は「科学産業」と呼ばれた。80年代ごろまでの日本には、半導体分野での基礎開発力があったが、技術の中心がモノや材料から情報にシフトしてくるにつれて、対応できなくなった。
9.CPUで重要なのは、半導体チップそのものではなく、そこに書き込まれた計算回路というソフトウエァなのである。同じことは、他の分野でも起きた。例えば、カメラはフィルムカメラからデジタルカメラに移行した段階では.日本のカメラメーカーは対応できたが、その後、スマートフォンが用いられるようになり、いまや重要なのは、AIの画像認識機能をスマートフォンで提供することになりつつある。
10.レンズという「眼」というよりは、その後ろにあって画像情報を処理する「脳」が必要になってきている。この分野で日本の基礎開発力は、著しく後れている。結局、日本の半導体産業が90年代以降の世界の潮流に立ち後れた根本的な原因は、新しいものを生み出す力が欠けていたことで、情報に関連した分野でそれが決定的に欠けていたことである。
11.新しい技術は企業からも生み出されるが、それだけでは十分でない。大学における基礎研究が重要な意味を持っている。アメリカの大学は、80年代にアメリカの産業が弱くなった時代においても強かった。時代の変化に応じて、大学の研究・教育体制が再構成され、中身が変わっていったことが重要である。それがインテルを生んだ源泉であり、その後のIT革命やAIを切り拓いていく源泉になった。
12.日本では、80年代に半導体産業が世界を制覇したときには.それに関連した学問の世界でも、日本は強かった。半導体に関する国際学会では、日本の学者が世界をリードしたが、そうした状態を継続することができなかった。その後、日本の研究能力は落ちた。例えば、論文数の世界ランキングを見ると、全米科学財団が世界の科学技術の動向をまとめた報告書によると、16年の科学技術論文数の世界ランキングで、第1位は中国である。
13.分野別の世界の大学ランキングを作成しているが、19年版のコンピューターサイエンスの分野を見ると、世界1位は中国の清華大学である。日本の第1位は東京大学だが、世界のランキングでは135位である。最先端分野で日本の大学が世界の進歩に立ち後れてしまった。社会の変化に応じて研究・教育体制を再構成していくことができなかった。成長が止まると、大学の再構成ができなくなる。そのために社会が要請する分野の研究ができず、経済が成長しない。
14.経済規模が拡大しない社会において、大学の構成を変化させていくには、どうしたらよい、そのために、どのような仕組みをつくればよいのが大変難しい課題である。しかし、われわれは、その答えを見いだしていかなければならない。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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