2019年07月14日

日本損害保険協会によれば、台風21号の保険金支払額は、これまでの最高であった1991年の「りんご台風」を大幅に上回り1兆円を超える見込みである。


「木本昌秀(東京大学海洋研究所・教授)著:今年もどうなるか気掛かり、進化している台風の予測、週刊ダイヤモンド、2019.06.08.」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.今年も台風シーズンを迎える。昨年9月、25年ぶりに最大風速毎秒45mの「非常に強い」勢力を保ったまま上陸した台風21号が、3mを超える高潮を伴って海に囲まれた関西国際空港を浸水させ、また、強風に煽られたタンカーが空港への連絡橋に衝突したため. 一時8000人を超える人々を孤立させたことは記憶に新しい。
2.日本損害保険協会によれば、台風21号の保険金支払額は、これまでの最高であった1991年の「りんご台風」を大幅に上回り1兆円を超える見込みである。過去には59年、上陸時の最大風速毎秒60mのスーバー台風が強風と高潮で5000人以上の死者・行方不明者を出す惨事をもたらし、災害対策基本法の制定を促した。
3.今年の夏はまだエルニーニョが続くとみられるが、エルニーニョ発生時には、統計的に強い台風が多めに発生する傾向がある。接近・上陸数には有意な傾向はないが、注意するに越したことはない。
4.台風は、中心付近の活発な上昇気流の中で、水蒸気〔気体)が雲水〔液体}に変化する際の凝結熱が、さらに上昇気流を強め、周囲の空気を台風中心へと収束させ続けることでその勢力を維持する。
5.周囲から中心の低気圧へ向かう気流は、地球の自転の影響を受けて反時計回りの渦を形成する。台風中心付近の風は、周囲と中心の気圧差が大きいほど強くなる。上空で凝結した水分は雨粒に成長し、地表に達する。従って、台風のエネルギーは、凝結・落下した水、すなわち台風に伴う雨の総最で見積もることが可能である。一つの台風の総雨景を200億トンとすると、これに伴う凝結熱のエネルギーは人類全体の1カ月分の消費エネルギーに相当する。
6.ヨウ化銀などの雲凝結核を散布して台風の進路を人工的に制御する考えが今までなかったわけではないが、これだけのエネルギーを伴うシステムを制御するのがいかに困難かが分かる。台風が来るのは仕方ないが、なるべくその被害を小さくするよう、備えを万全にすべきである。
7.台風をエネルギー機関と考えると、外部との熱のやりとりは、水蒸気の流入と、より低温の上空での放射冷却による熱の放出の差の分が、台風の風が海面をこする仕事に変わっていると見ることができるので、台風のないときの海面水温や大気環境場から台風ができたときの到達可能強度を求めることができる。気候に対する見積もりを参照すれば、生涯最低気圧895hPaの伊勢湾台風はまさしく最強クラスである。
8.温暖化時の見積もりでは、もっと強い台風が現れても不思議ではないことになる。より精緻な計算でも、温暖化が進めば強い台風の割合が増えることが予想されている。気象に携わる者として、良い予報を早めに出し、避難や対策が可能にしたい。2009年から気象庁の台風進路予報が、それまでの3日先から5日先まで延び、南海上の台風が自分の生活圏に来そうかどうか、近ごろでは結織早めに分かるようになってきた。
9.台風の進路は、台風そのものの内部構造の詳細よりも、亜熱帯高気圧、偏西風など、より大きな空間スケールでの上空の大気の流れに左右される部分が大きい。コンピューダや予測モデルの進展のおかげで、進路予報は着実に精度を上げているが、雲や雨、気圧分布など、台風内部の詳細により大きく左右される台風強度の予報については、精度を上げることが困難であった。どの程度の強さの風がどんなタイミングで吹くのか、鉄道の運行や治水などの対策には強度の定量的な情報が不可欠である。進路予報が5日先まで延長されても強度の予報については3日先までしか発表されていなかったのだが、今年3月、気象庁は満を持して台風強度についても5日予報を開始した。
10.コンピュータと予測モデルの能力向上、統計手法も加味する工夫、他国の予測も参照する等々の技術開発と試験を重ねた上でのことである。最新鋭の計測システムを使って、当時のデータで伊勢湾台風を再現する実験も行われている。当時の予報も決して悪くはなかったようだが、進路・強度共に.再現性は良好だと報告されている。
11.風も、台風に伴う降雨も、著しい局地性を伴っている。高潮は、台風の進路の微妙なずれでその高さが大きく変わる。このような詳細については、やはり時々刻々変わる実況の監視が必須である。台風以外の大雨でもそうだが、「ちょっと様子を見に行ってみよう」というのは絶対に避けるべきである。
12.台風の監視・観測といえば、実は翫年までグアム島の米軍による台風中心付近の航空機観測が行われていた。1日2回、決死の覚悟で台風の目に飛び込んだ米軍機から落とされるドロップゾンデの電報は、数字ばかりの数行のものだったが、データのほとんどない洋上では、実に貴重であった。
13.世情の変化もあってか、米軍が中止を決めたものの衛星観測の利用や予測モデルの向上によって、予測の精度の向上が果たされているのは幸いだが、研究目的で実施された近年の観測をみると、航空機データのインパクトは小さくない。多大な危険を伴い、予算も掛かることなので、安直に「やるべきだ」などと言えないが、台風の仕組みの解明や予測のさらなる向上には、リモートセンシングも含めて、より充実した観測が不可欠である。


yuji5327 at 06:31 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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