2019年07月17日

デジタル化は、農村は不便という固定観念を打破できる。農業をデジタル化し、もうかるビジネスがあり、住みやすい農村を実現できる。


「三輪泰史(日本総合研究所創発戦略センターエクスバート)著:スマート農業、無人トラクターや収穫ロボ「普及元年」で変わる農家像、週刊エコノミスト、2019.6.11」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.IoTやAIを駆使して農業の省力化や高収益化を進める「スマート農業」が実用段階に入っている。自動運転トラクター、農業用ロボット、ドローンといったスマート農機が昨年度末までに相次いで発売され、現場で使われ始めた。政府も今春から普及を加速させる取り組みを始めており、2019年はスマート農業の「普及元年」と位置づけられる。
2.日本の農業生産額は直近3年連続で上向いているものの、農業就業人口は減少の一途をたどつている。日本総合研究所の試算では、15年の約220万人から、20年後の35年には約100万人となり、半数以下に落ち込むと見込まれている。さらに、平均年齢も既に約67歳と高齢化しており、生産基盤の弱体化が危ぶまれる中、スマート農業は、高齢化や人手不足といった日本の農業が抱える課題を解決する手段として期待されている。
3、自動運転トラクターは人が乗らなくても、事前に専用ソフトによって算出された最適な走行ルートを、GPSで位置を確認しながら進む。圃場の傍らでタブレット端末を使い、複数台のトラクターを同時に運転することもできる。農業者1人当たりの作業面積は飛躍的に増え、結果としてコメ1粒、キヤベツ1玉当たりのコストは大幅に削減される。
4.露地野菜、果樹、温室栽培といった分野では、収穫ロボットや除草ロボットも実用化が進む。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市)などが開発したイチゴ収穫ロボットは、搭載したカメラでイチゴの着色度を判定し、収穫に適したものを選別。既に民間企業が商品化している。トマトやアスパラガスといった野菜でも、自動収穫ロボットの実用化が見えてきている。
5.1台で除草や圃場の見回り、運搬などさまざまな作業に対応できる多機能型の農業ロボットの開発・実証も進んでいる。筆者も開発に参画し、日本総研が大学、民間企業と共同で開発を進めてきたマイ・ドンキーは、農業者の後を追従走行して農作業を支援するロボットである。野菜や果実を運ぷほか、取り付け器具を取り替えることで、肥料や農薬をまいたり除草したりと多種多様な作業に対応できる。このため、特定品目の収穫時期しか稼働しない単機能ロボットに比べ、年間の稼働率は極めて高ぐなり、結果的に1作物当たりのコストを大幅に抑えられる。
6.GPSで位置を確認しながら動くマイ・ドンキーには、1mメッシュで作業の履歴や、作物の生育状況といった情報を自動取得する機能もある。これらのデータをクラウド上のデータプラットフォームで解析し、農業者に提供することで、経営改善や生産性向上を支援している。
7.ほかにも、スマートフォンやタブレット端末で水田の取水・排水バルブを自動制御・遠隔操作する自動給排水システムや、農薬散布の農作業用ドローンといった技術が徐々に普及し始めている。
8.スマート農業の普及を加速させるため、政府は今年4月から、新たな取り組みを2つスタートさせた。1つは、農林水産省が約50億円の予算を投じ、全国約70ヵ所で行う実証事業である。各地の農業法人や農業協同組合(JA)などにモデルとして、最新のスマート農機を導入してもらい、費用対効果を実証することで、他の農業者への波及も狙う。農水省は、25年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践している状態を目指している。
9.もう1つは、農業データのプラットフォーム(連携基盤)「WAGRI(ワグリ〉」が稼働し始めたことである。内閣府が主導する大型研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で研究開発が進められていたもので、340を超える企業・機関が加盟。気象や農地の形状、土壌、肥料・農薬などの膨大な農業関連データを企業や農業者団体間で共有できるようになった。
10.これまでは、IoTを使った農業サービス間の相互連携やデータの互換性がなく、スマート農業が広がるうえでの課題となっていた。WAGRIのスタートで、どう変わるかは、例えば、最新の研究成果を基にした農研機構の米収穫予測を、各農機メーカーなどが提供する栽培管理システムに実装でき、経験の浅い農業者のノウハウ不足が補完される。誰でも農業ができるような環境が徐々に整いつつある。
11.普及が加速するには、導入コストの低減と、使い方のモデル確立の2.つが欠かせない。まずコスト面では、自動運転トラクターを例に取ると、現時点では通常のトラクターよりも数百万円高い。まだ黎明期であり、製造コストの削減が進んでいないこと、生産ロットが少なくスケールメリットが発揮されていないことなどが要因である。この点に関しては、農水省の全国的な大規模実証事業の2年間で、ある程度の削減が実現すると期待している。
12.2つ目のポイントは、スマート農機は1家に1台は必要ない、という問題である。モニタリング用ドローンや自動運転トラクターなどは効率が良すぎるがゆえに、農業者がそれぞれ所有しても稼働率は低くなる。これでは、従来より価格が高い新型農機を導入する形となり、結果として農業者の収益にはつながらない。高効率なスマート農機を効果的に使いこなすには、農業者ごとに農機を所有しない利用形態、つまリシェアリングや作業外注が重要となる。例えば、近隣農業者10戸で1台のドローンを共同で導人し、一括してモニタリングをする。自動運転トラクターについても、地域で共同購入し、1人が複数の農業者の農地をまとめて耕す、といったシェアリングモデルが効率的である。
13.スマート農機やドローンを導入して、農業者の代わりに作業やモニタリングを請け負う作業外注も出てきている。スマート農機は高いから普及しない、という否定的な意見も聞かれるが、従来と異なる使い方が必要なだけである。ドローンの飛行や農薬散布、自動運転トラクターの公道運転などの規制緩和も同時並行で進めることが求められる。
14、スマート農業により、デジタル化の波が農業者にも及ぷと、作業の現場だけでなく農村自体が変わっていく可能性もある。農業への関心の高まりを受け、若者やUターン人材など、いろいろな人が新規就農や農村移住を志しているが、残念なことに、農業の難しさや不便さゆえに短期間で断念していることが多い。この点を解消しなければ、日本の農業・地域の明るい未来は見えてこない。
15.農業と農村の双方にテコ入れするうえで重要な堤となるのが、AI、IoT、ロボティクスといった最先端のデジタル技術である。農業と農村全体をデジタル化することで、もうかる農業と住みやすい農村を両立できる。スマート農業の副次的だが重要な効果として、ベテラン農家がスマートフォンを購入し始めている。これにより、高齢のベテラン農家も離れた都市部に居住する親族や友人とSNSで密なコミュニケーションをとることができるようになったり、インターネット通販を使えることで「買い物難民」から脱却することもできる。
16.デジタル化の波は、「農村=不便」という固定観念を打破できる可能性もある。農業・農村全体をデジタル化し、もうかるビジネスがあり、かつ住みやすい農村を実現することで、日本の農業・農村はより魅力的な存在となる。スマート農業の普及が始まった令和元年だからこそ、スマート農業の先にある新たな農村の姿を描くことが重要である。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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